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10 ボクはざまぁをされてない!

というわけで第10話です。短いです。


 その時、会場の扉が勢いよく開いた!


 現れたのは若い男。けっこう渋めのいい男だ!


 男は足早に近づいてくると、マリアンヌの足元に恭しくひざまずき、


「王太子妃殿下! ローゼンクランツとその一味が会場へ到着しました。


 準備は全て整っております」



 うわー。王族なのに呼び捨て! しかも一味呼ばわり!


 でもゴクツブシどもは悪だから許す!



「判りました。では我らもすぐそちらへ向かいます」


 ボクが誰と聞く間もなく、男は扉から出て行ってしまった。 


 まぁきっと大した位のひとじゃない。


 でも、頭のできはいいんだろうなー。



「準備ってなに?」


 マリアンヌはボクに告げた。


「殿下はこれから卒業パーティへ出席するのです」


「え? だってここが――」


「ここにいるのは私の同志だけです。


 それ以外の方々は、卒業パーティの会場にいらっしゃいます」


「いや、でも、ボク、ここに案内されたんだけど……」


「殿下が卒業パーティで、婚約破棄宣言などしないようにさせていただきました」



 えーと……。


 えーとえーと……。


 それはつまり……。


 ボクは婚約破棄宣言をしてしまったわけで。


 さんざん『ざまぁ』されちゃったわけで。


 でも、卒業パーティでは婚約破棄宣言をしていないわけで……。



「ええっっ!? ここって卒業パーティの会場じゃなかったのかっ!?」



 びっくりだよ!



「見慣れた顔はいないし、

 

 学園生にしては歳がいってる人が多いとは思ってたけど……」


 テレーズがあらためて周りを見回して、


「殿下。ここは……どこなのでしょうか?


 学園内に舞踏場と同じくらい広い場所があるなんて知りませんでした……」


「ボクもわかんないなー」


「最近、貴族どもが武を嗜まなくなったため、ほとんど使われなくなった武闘場です。


 少々改造しておいたのです」



 マリアンヌってば用意周到すぎ!



「殿下、テレーズ嬢、卒業パーティへ出席なさいますね?」 


「二度と婚約破棄とかしないからな! こりごりだ!」


「いえ、やっていただきます」


「なななぬぅ!? いっいやだっっ!」


 ボクはテレーズを抱きしめた!


「絶対にするもんか! テレーズとは離れないぞ!」



 マリアンヌは笑った。


「大丈夫です。台詞を少々変更させていただきますから」


予告!


ついにボクのターンがはじまる!

そして次も、その次もボクのターン!

ゴクツブシどものターンなんてどこにもないんだからな!


最終話『ボクはビシッとざまぁを決める!』


決めてやるぜ!


誤字脱字、稚拙な文章ではございますがお読み頂ければ幸いでございます。

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