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歓声
「では、皆さん、計画通りに完成させましょう!」
「「お゛ーーーーー!!!!!!!!!!」」
男の呼びかけの後に歓声が上がる。
集結していたのは作業服を着た技術者たち。各々が己の持ちうる最高の力を発揮するためにここにいる。
ここは紀伊半島、高速道路の橋梁工事の現場だ。
「しっかし西田さんは相変わらず発破かけるの下手ですねぇ」
50近そうな黄色いヘルメットをかぶった男が声をかける。
「失敬な こんな皆の前でそんな事言わんといてくれ」
西田と呼ばれた青年が男の方は向かずに声だけをを返す。
「ほら、新入社員歓迎会のときもそうだった! おい、みんな聞いてやれ! この堅物部長の木っ端社員だった頃の話を」
男が語りだした。