表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

第4話 希望



{お出口は左側です お忘れ物なさいませんようにご注意ください}


ブレーキ音を響かせながら、電車が家の最寄り駅に侵入する。


{ドアが開きます ご注意ください}


ドアが開いたと同時に、俺は電車の外に出た。


Icカードを手に持ち、改札口へと向かう。


一番最初に改札を出る。


俺は息をあげながら走る。 とりあえず走った。


家のドアを開ける前に、少し休憩をしてからドアを開ける。


「ただいまー」


そういうと、どこからか おかえり と声がした。


洗面台に向かって、手洗いうがいをする。


洗面台から出ると、そこに母がいた。


「岸森 葵って知ってる?」


そう母に尋ねた。


知っていると思った。 でも、帰ってきたのは予想外な返事だった。


「だれ? それ」


「。。。。。本当に知らない?」


「だから知らないって なに?彼女?」


そんなことをにやついて聞いてくる。


「いや、違う。知らないならいいや」


そういって、俺は自室へ向かった。


「もうすぐご飯だからすぐ降りてきてね~」


「はーい」


感情のこもってない返事をして俺は部屋のドアを閉めた。


「あいつならな、」


俺は携帯を取り出し、健志に電話をかける。


二回目のコールの後、相手から返事が来る。


「どした勇馬 なんかあった?」


電話からイケメン臭が漂っている。


俺もイケメンになりたい。


「おーい勇馬ー 喋らなくなるのやめてくれー」


「ああ、悪い悪い。 あのさ健志 岸森葵ってやつ知ってるか?」


昔は勇馬と健志と葵の三人で遊んでたこともよくあった。


「岸森葵? 誰だ?それ」


 やっぱり、覚えてないか。


「いや、やっぱ何でもない」


「あ、そういえばお前、今日どうだった? いちゃいちゃできたか?」


健志が電話越しに笑っている。


「ああ、それなんだけどな、」


「おう、どうだったんだ?」


昨日の涼葉が思い出される。


昨日の涼葉のあの目が。 まるで別人のようなあの目が。。


「じつはな、行ってないんだよ。」


「ええ、どうして」


本当の理由を言おうかと思ったけど、変に気を使われても困るので、黙っておくことにした。


「なんか、すずが風邪ひいたらしくってさ」


「お前がなんかしたんじゃないのか~?」


すこし笑っているのを感じた。 でも、なにかその笑いは何かが違っていた。


まるで気づいているかのような、少し、遠慮した笑い。


「ま、うまくやれよ、応援してるからな」


「お、おう ありがとな」


「おう じゃあまたな」


「あーい ばい」


電話が切れて、この部屋は静寂に包まれた。


「おにいちゃんー! おーい! おにいちゃん?」


「お。綾海どうしたんだ?」


綾海が声をかけてることに気づいて、慌てて声をかける。


「もーおにいちゃんやっと反応したー」


どうやら俺はずっとぼーっとしていたらしい。


「で? なんだ?綾海」


「だからごはん! 早く来てよ!」


「ああ。分かった 悪い悪い」


「もーーー」


そういって、二人は扉を開け、リビングに向かった。


その間、綾海は何か楽しげにメロディーだけの鼻歌を歌っていた。


その歌はなにか心悲しさがあるけど、何かに負けない、 という思いが込められてそうな歌にも聞こえた。 メロディーだけでも、少し感動しそうになってしまった。


そんなこんなでリビングにつき、自分の定位置の椅子に座った。


綾海がから揚げをおいしそうに頬張っている. カリッといい音が鳴った。


それに続いて俺もから揚げを頬張る。


味がちょうどいい感じにしみ込んでて、おいしい。


「どう?おいしい? 今回のはかなりうまくできた自信があるんだよね」


そう母が自信満々に言ってきた。


「ままのからあげすごくおいしい! 毎日食べたい!」


綾海が楽しそうに答えている。


「毎日はきついなあ~」


そういって綾海の意見を父が反対していた。


「おにいちゃんも毎日食べたいよね!」


綾海が俺に尋ねてきた。 その顔はとてもいい笑顔だ。


「まあ、めっちゃおいしいけど、毎日は胃もたれ、それにおなかにも来そうだなぁ」


「ええー大丈夫!来ない来ない」


一体何が大丈夫なのだろうか。


そんなこんなで、ワイワイと食事を勧めていく。


「ごちそうさまでした」


「お風呂張れてるからね 早いうちに入っちゃって」


そう席をたった俺に、母がそう言ってくる。


「あいよ、じゃあいまはいるは」


「うんそういてちょうだい」


俺はいつも風呂入るのが遅いといわれているので、今日は早く入ろうとおもった。


「ええー私が先にはいりたいぃー」


綾海がご飯を食べながらそう言ってくる。


「お前はまだ食べてるだろ」


父に言われ、綾海はしょんぼりしている。


そんな姿を横目に、俺はお風呂場へと向かった。


「ああぁぁあ~」


浴槽に入って、思わず雄たけびをあげてしまった。


今日一日の疲れがほぐれていくような気分になった。


十数分お風呂に入り、お風呂場を後にした。


歯磨きをし、飲み物を飲み、自室へと帰っていく。


そこからすぐ、眠りにつこうと、ベットに直行する。


するとその瞬間、意識が遠のいていくのを感じた。


「ぴぴぴぴっ ぴぴぴぴっ」


目覚ましを止め、時計を手に取る。


「9時か、」


眠い体を力ずくで起き上がらせ、ベットから立った。


カーテンを開け、日を浴びる。


とてもまぶしくて、気持ちがよかった。


のろのろと歩きながら、自室から出ていき、リビングへと向かう。


両親は買い物に行ってるため、家にはいない。


綾海も部活があるため、学校に行っている。


だから、今この家では、勇馬一人きりだ。


早く済ませたかったので、棚からパンを取り出し、キッチンで朝食を済ませる。


四口ほどでパンを食べ終え、冷蔵庫から取り出した、レモンティーを口に入れる。


「朝にはやっぱりレモンティーだな」


そういって、レモンティーを冷蔵庫にしまう。


朝食を済ませたら、洗面台へ向かう。


鏡が扉になっている棚から、歯ブラシと、歯磨き粉を取り出す。


歯ブラシに歯磨き粉をつけ、歯磨きを開始する。


口を大きく開けたり、小さくしたりして、音の高さの変化を楽しんでいた。


「俺、何やってんだろうな、」


そう言って、軽く笑う。


歯ブラシを洗い、コップを取り出す。


コップに水を入れ、うがいをする。


いつもの生活と、全く変わらない光景だ。


歯磨きが終わった後、自室に戻り、服に着替えた。


「俺、身長止まっちゃったかな」


そう、去年壁につけた頭の高さの印と比べて言う。


じじぃに一歩前進か・・。


悲しくなりながら、服を着替えた。


着替え終わり、外出の準備をする。


かばんを肩にかけ、玄関へと向かう。


オールドバランスのスニーカーを履いて、立ち上がる。


「いってきます」


そう、誰もいない家に声をかけ、ドアを開けた。


涼しい風が、体にあたってくる。


とても気持ちい。


俺は黙々と歩き、駅へと向かった。


途中、犬と散歩しているおじいさんとあいさつをし、外国人に「はうあーゆー」と声を掛けられ、駅へと向かった。


「やべ、電車来てる」


駅の数十メートルから走り、改札を通り抜ける。


電車にぎりぎり間に合い、一安心だ。


「お疲れ様です」


横から、息を切らしてる俺に、中学生くらいの子が声をかけてきた。


「おつかれだよぉ」


そう少年に訴えかける。


少年は困った表情をして、ファイトです。 と言ってきた。


「年下に元気づけられるとはな」


そんなことを思いながら車窓の風景を眺めていた。


何度も乗っているので、もう車窓の風景は覚えている。


電車は、最初の駅に止まり、二駅目、三駅目と順調に止まっていった。


電車が五駅目に止まったところで、俺は電車を出た。


降りる際に少年に手を振りながら・・・


Icカードを手に持ち、改札を抜けていく。


道のところどころにある看板に従って、俺は歩いていく。


途中、ドーナッツ屋があったので寄っていくことにした。


「イチゴと、チョコと、カスタードをください」


「イチゴとチョコとカスタードね。 それぞれ一個ずつ?」


「あ、はい 一個ずつでお願いします」


「はい ありがとー」


そういって、ドーナッツをトングで取っていく。


「はい、お待たせ」


「ありがとございます」


そういって、ドーナッツを受け取る。


「またいらっしゃーい」


そういわれ、俺は店を出ていく。


目的地まではあと少し。


ドーナッツやを出てから道なりに進み、ちょっと大きな交差点で左に曲がって、目的地は現れた。


「一昨日ぶりだな」


俺は病院の入り口に行き、自動ドアを開け、中に入った。


そこには、病院独特の空気が広がっていた。


足は一歩も止まらず、歩き続ける。


エレベーターに乗り、{3}のボタンを押す。


先に、二回に到着し、ほかの人が下りていく。


それと入れ替わる形で、親子が乗ってきた。


「ようちゃん 何食べたいの?」


「オムライスー!」


今からレストランに行くのだろうか。


そう考えていたら、エレベーターは、三階へと到着する。


エレベーターを降り、右に曲がる。


そこから左手奥から五番目の病室に、涼葉がいる。


その病室の前に行った。


「思い出しててくれてたらいいな、」


そういってから、俺は病室のドアを開けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ