星探しと 幸せと あったか牛乳
冬童話2021投稿作品です。
昔は夕方「いちばんぼーしみーつけた!」なんて言いながら、星を探すだけで楽しかった思い出。そんなのを思い出しながら書いてみました。
今夜、夜のお散歩のお供にいかがですか?
ふゆの よるは ほしが よくみえるって おとうさんが おしえてくれた。
はじめての よるの おさんぽは ちょっと どきどきする。
「おとうさん あのみっつ ならんだ ほしは なんていうの?」
「あれは オリオンざだよ。そこから ななめうえと ななめしたに みっつの ほしをかこむように よっつ ほしが みえるかい?」
「えっと……」
みえない。ぎゅうっと めに ちからを いれる。
「あ! あった!」
おとうさんの いうとおり みっつの ほしを かこんで よっつの ほしが みえた。
「ほしって すごいねぇ」
「そうだね。きれいだね」
「きれいだけど それだけじゃなくて ないと おもったのに じっとみると いるの。それにね いっかい みつけると もうずっと そこに いるの」
「おもしろい ところに きがついたね」
おとうさんが あたまを なでてくれる。
「ちゃんと みることの たいせつさを ほしは おしえてくれるのかも しれないね」
「うん! ちゃんと みないと やさいいための ピーマン まちがえて たべちゃうもんね!」
「それは たべて ほしいなぁ」
おとうさんが わらう。
「まえに おかいもの いった ときも おかあさんに いわれた あたらしい おみそ みつからなかっただろう?」
「おみせの ひとに きいたら すぐだったね」
「そうだったね」
「ちゃんと みてたら みつかったのかなぁ」
「きっとね」
ちゃんと みてたのになぁ。
「だいじなもの すてきなものは ちゃんと みないと みつけられないのかも しれないね」
みつけられないのは やだなぁ。
「ちゃんと みても みつからない ときは どうしたら いいの?」
「だれかに おしえて もらえば いいんじゃないかな」
「おみせの ひととか?」
「いろんな ひとにね」
おとうさんは にっこりした。
「おとうさんが おかあさんと せなに みつけて もらった みたいにね」
「なにを?」
「しあわせ」
「……しあわせって なに?」
おとうさんは うえを むいて うーんと いいながら かんがえてる。
「そうだなぁ。あったかくて やさしくて あまくて うれしい。そんな感じかな」
「あったか ぎゅうにゅうだ!」
「うーん にてるけど ちょっと ちがうかなぁ」
「ふーん……」
よく わからないけど おとうさんは うれしそうだし おとうさんの おてつだいが できたなら うれしいな。
「あ! おとうさん あのほしは なに?」
「あれは…… カシオペアだな」
ぴゅうっと かぜが ふいた。からだが ぶるっと ふるえる。
「そろそろ おうちに かえろうか」
「うん」
「おうちに かえったら あったか ぎゅうにゅう のもうね」
「うん!」
ほしみたいに しあわせって いうのを みつけられると いいな。
読了ありがとうございます。
普段あまり見ない夜空を改めて見ると、新しい何かが見つかるかも知れません。個人的には美少女が落ちてくると嬉しい。
子どもは星那君でも星奈ちゃんでもお好きな方でどうぞ。
明日のクリスマスイブには、クリスマス短編を書こうかと思いますので、よろしければご覧ください。