首相になったおっさんの1000年後の預言
「音楽やアニメで病気が治せるか!映画やドラマで飢餓が救えるか!漫画や歌で戦争が止められるか!」
首相になったばかりのおっさんは、人類全体に関わる新たな価値観をSNSで提案し問題提起した。
「生きていく上で必要のない娯楽はいずれ全て禁止にすべきだ。不要な娯楽は淘汰され消滅する
『勉強なんて生きていく上で必要あるの?』と聞く子どもがいるが、逆に問おう。『娯楽なんて生きていく上で必要あるのか?』と」
SNSは当然炎上した。賛同する意見は殆どない。しかし、おっさんは反論する。
「娯楽は文明を発展させる妨げとなるものだ。娯楽している暇があるなら少しでも文明の発展に時間を割いた方が有意義である
娯楽なんてものは全く必要ない無駄な物だ。無駄を楽しむのが娯楽だ
必要のない物はいずれ自然淘汰されていく。遠い将来に娯楽はこの世から全て消え去って行くだろう」
SNSは炎上し続けた。各国からも非難を浴び、辞任を求める声まで沸いた。
「今は理解されない考えかもしれない。しかし、いずれは『時代が追いつく』
これに反発する人間が多いのは今の時代には早すぎる価値観だからだ。進化論や地動説と同じだ。今は理解されなくても1000年後には正しい考えとして理解されている」
今はまだ理解して貰えない。しかし、1000年後にはそれが普通の考えになっている。そう予言した上での発言だ。
だが、この考えを今の時代に理解してくれる人は少ない。文化や伝統に関する理解がないという批判も相次いだ。
「娯楽には伝統がある。しかし、人類は伝統や仕来たりにいつまでも縛られている存在ではない!」
さらに持論を展開する。
「身体を鈍らないようにするためにはスポーツは必要だ。だが、極論筋トレとランニングさえしていれば他のスポーツもいずれは要らなくなる」
さらに彼は最終的な人類の将来の到達目標まで予言する。
「人類はいずれ管理社会のシステム下で生活するようになる。人類は運動も食事もシステムによって管理される。その管理システムの完成こそ人類が最終的に到達するユートピアだ
名付けて『完璧なユートピアシステム』!!
完璧なユートピアシステム下では、娯楽もなく、ダイエットの心配もない
健康状態を完全に管理された完璧なユートピアシステム。それは全人類に平等の幸福をもたらす物だ。娯楽で堕落や怠惰する事もなく、暴飲暴食で健康を害する事もない
完璧なユートピアシステムは1000年から数千年後には誕生するであろう」
彼の預言が実現するかは誰にも分からない。1000年先まで生き延びない限り。
完璧なユートピアシステムを拒絶するのはプライドが高いせいだ。プライドが邪魔をし、実利を無視している。
プライドが高い故に、管理される事を嫌う。それが物事の合理性を妨げている。
プライドの高さは時に慢心を産み、時に実利を度外視させる。非常に効率の悪いのが高いプライドだ。大事なのはプライドよりコンプライアンスだ。
プライドの高さは人を盲目にさせる。正しい選択をプライドが邪魔するのだ。プライドばかり高くても全く意味はない。
プライドとはすなわち感情論だ。感情論を議論に持ち込むのは蛇足だ。




