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サッド・ウォー  作者: 桜野ヒロ
2/3

煙上がる夜の街

随分と投稿が遅れました、遅筆作者でございます笑

どうしようか話を練ってたわけなので許して♡

そのために1話以外削除という暴挙に出た訳ですが( ˙-˙ )

 反乱分子達を始末し、車を走らすこと数十分。

 車のフロントガラス越しから鬼滅軍愛知県支部の旧名古屋市役所が見え始めたのをいい頃合いとみて、ポケットから携帯を取り出して愛知県本部の作戦会議室に直接繋がる番号を打った。

 数回のコールが鳴り、先程この俺に怒声をあびせた男、北条綱氏が電話に応じた。


『こちら愛知県支部作戦本部』


「茨城県支部総司令、風魔秋夜だ。

 そろそろ其方へ着く」


『ご無事で良かったです、風魔少佐。

 それと、こちらでもう一度、念の為に増援を要請してまわりました。

 しかし、殆どが愛知は突破されるなんて前提で防衛に手を回すから無理だ、と一蹴されてしまい......」


 なるほど、状況は未だに暗雲が渦巻いているというわけか。


「了解、指揮は私が執ることとする。

 連絡で状況を把握し、指揮を取るようにしているのだろう? それはあまりにも非効率的な行動だ。

 君が戦えない身なのは承知している、仕方の無いことだ。

 だから、こちらの一部の兵を連絡要因として組み込む。一時間に一度連絡を取らすようにするから、君達はひとまず本拠地の防衛、及び各県に状況を逐一知らせる連絡要員となってくれ。

 そうしないと他県も優位な状況なのかそれとも不利なのか、そして自分達の領地に少数が紛れ込んだのではないかと不安になるだろうからな。

 最後はともかく、状況がよく読めないのは他県も援軍を出しづらい一つの要因でもあるだろうからな」


 増援はいらないと言った筈だが......まぁ仕方の無いことだ。

 普通、不安でしかない。一人だけの援軍など。

 春朝兄さんや、白虎さんなら一騎当千しうる方々なので単騎でも案ずるだろうが、俺は何故か各要人方からは不信に思われている。

 ......まぁ、身内を引き入れたり、白虎さんが上になってから急に威張り出したりと器量が小さいから不安視され

 ているのだろうが。

 俺は最後に、本部の者達に気合いが入るよう言葉を掛けた。


「諸君、君達の得意分野は防衛戦だろう?

 ならば、期待している。否、信じている。

 君たちの硬さをお上に見せつけて、更に自分達の地位を向上させていきなさい、そして突破されるなどと腑抜けたことを考えた他県の無能共に、その脳みそはお飾りだと馬鹿にしてやれ」


 これでコイツらが士気を向上しなかった場合は、コイツらの意識の問題だ。となれば俺は普通に上の人に告げ口をして罰してもらうつもりではある。

 しかし、そんなことはする必要ないようだ。

 機械越しだというのに、闘志に満ち満ちた彼らの空気が伝わってきたのだから。


『当たり前です!!

 我々愛知県民の意地を他県の鳥頭共に見せてやりますよ!!』


「よく言ってくれた、諸君らの健闘及び働きぶりを期待しよう。

 それでは俺はこれで失礼する」


 彼らの意気込みに安心して電話を切り、騒がしいにも程がある方へ車を走らせ、戦場の渦中に入りに行くのだった───。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 戦況は七分三分で自分達鬼の有利。

 だというのに何故その状況が停滞したままでいるのだろうか?

 その謎が募り、苛立ちとなった時に痺れを切らした今回の愛知攻略を引き受けた鬼の大男、龍雅は怒る龍の咆哮のように怒声を周囲の配下たちに散りばめた。

 首筋まで伸びた白い髪に、鋭い目つき。

 そして鱗のように荒れた肌。それらの要素が重なり彼の名の通り、龍のような威圧感があった。


「オイ!! なんでいつまで経っても愛知落ちへんのや!!

 早よ落とさな他県の奴らが早急に守りを固めてもう一、二県落とせんくなるやろが!!」


「そ、そう言われましても、事細かな指揮を出して頂かなければ連携が取り辛いもんでっせ!!

 文句言うなら先ずは大将がなんか考えてくだせぇよ」


「じゃかあしいわコラ!!

 ワシがんなモン考えれるかどうかはお前らやって分かるはずやろうが!!」


 ───そう、まさに攻めてる側に起こっているこの状況こそが、愛知を陥落しそこねている原因だった。

 本来ならば、指揮官、または軍師が早急に次の手、次の手と策を講じ、指揮するのだが龍雅が率いているこの軍内には指揮をとれる者は誰一人として居ないのだった。

 今回、軍の編成を考えた上層部が強大になりすぎた龍雅という一つの不穏分子を取り除こうと思い、敢えて指揮をとれる者達を編成に組み込まなかったのである。

 そうすることで、力任せに暴れる彼等は疲弊し、その隙を突かれて戦死するだろうと考えたのだ。

 龍雅は死ぬ。しかし残っているのは、疲弊した愛知のみ。

 期間を空けずにすぐさま愛知に攻め込めば陥落するのは自明の理だったのである。

 人間を屠る為に強くなった龍雅であったが、その強さを目の当たりにして、反乱された場合を恐れてしまった上層部の意地の弱さ、そして龍雅自身の運の悪さが仇となった今回の特攻作戦。

 それに気付いている者達は虚しくもいなかった。

 皆、同胞のために命をかけて死に物狂いで強さを得たもの達ではあるが、その同胞を信じるあまり、自身達の腕っ節を信じてのことだと決めつけてしまっていたのだった。


「そりゃ、大将や俺らがそんなこと考えれる頭持ってるワケありません。

 でも、その頭を何とかして動かしてくだせぇよ、それが大将の務め、それが今回俺らにとっては命綱なんでっせ!?」


「......分かっとる。分かっとるんやそんなことくらいは。

 せやけどなぁ......!!」


 腰掛けていた指揮官用の座椅子から立ち上がり、龍雅は更に吼えた。


「やっぱ、獲物が前におるんなら喰いたいもんやろうがい!!」


「た、大将!?

 ......こっちどうすんだってんだいまったく!!」


 本陣から出るやすぐさまに、龍雅は前線へと駆け出した。

 ───自身が持つ人間を凌駕する力で、忌まわしい人間達を殺し尽くしたい一心、それだけで龍雅は自身の任を捨て、前へ出た。

 そんなことをすれば軍はロクに動けず崩壊するのみ。

 ......だが、


「仕方ねぇ......オレたちも突っ込むぞ!!

 数多けりゃ行けんだろ、吶喊だ吶喊!!」


 彼らは、学が無い。

 だから、前線へと駆け出した彼の代わりに指揮を執ることはなく、こうなれば寧ろ彼の後を追って全員で敵の本拠地を突撃しようと、共に駆け出したのだ。

 一応それは、正しい判断ではあった。

 彼らの本陣の周囲の茂みには、その場に溶け込んだ姿で狙撃銃で狙いを定めていた鬼滅軍の兵達がいたのだった。

 結果論ではあるものの、彼らは大将が討たれず、また自身達も奇襲を受けずに戦力が減らずに済んだのだから。


「────バカな......!?

 本陣を捨てるだと? アイツら何考えてるんだよ......!?」


 その光景を目の当たりにした鬼滅軍の潜伏兵達は驚きを隠せず、その場で戸惑う。

 しかし、しっかりと教育されている彼らは直ぐに一先ずら連絡しようと無線を取り出したのだった───。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 戦線に着き、まず始めに俺は必死に戦い、疲れ果てているだろう周囲の兵に声を掛けた。


「諸君、援軍が来たぞ!!

 禁呪を操り一騎当千と謳われるこの私、風魔 秋夜がな!!」


 するとどうだろうか、終わりのない防衛戦に疲弊しきり、絶望をうっすらと浮かべていた兵士たちの表情は徐々に明るさを取り戻していき、活気溢れる顔つきとなっていった。


「風魔秋夜......?

 あの、春朝様と白虎様に並ぶ程の強さを持つという方か......!?

 や、やった!! そんな方が来られたんだ、これでこの県に攻め入った鬼達を皆殺しにできる!!

 死んでった仲間たちは無駄死にでなく、この時のために犠牲で済んで本当に良かった......!!」


 感嘆の涙を流す者もその中にはいた。

 彼らの死は無駄ではなかったと、そして自分達の苦労は報われたと安堵し、喜びに打ち震えて涙を流すのだろう。

 そんな彼らに、さらに士気を向上させるべく俺は一つ嘘をつくことにする。


「───そして驚くがいい鬼どもよ!!

 あと一時間もしない間に私の後ろに続いて東京本部の精鋭約一万の兵が愛知の軍に加勢し、君たちを殺すべくさらに勢いを増す!!」


 するとどうだろう。兵士たちの顔は益々明るいものとなり、疲れ果てていたはずだろうに、全員揃いに揃って残った体力を絞り尽くさんと必死に鬼達と戦う。

 ───彼らには悪いが、当然一万の兵なんぞ来るはずがない。

 彼らはまんまと騙され、踊らされたと後に落胆と怒りの感情がただただ湧き上がってしまうものだろう。

 ......ここで一気に鬼の数を減らさなければ。

 俺は、鬼達の方に視線を向け、わざとらしく大きくジェスチャーを行いながら高らかに声を上げた。


「これも全て、君たちが愛知に攻めあぐねてしまっていたことによって起こった事だ!!

 ......無様、と言い表そう。それが君たちに今、相応しい烙印、二つ名であるべきだからな」


 口角を釣りあげて鬼達を見下すように微笑む。

 するとどうだろう。

 絶望の表情を浮かべ、敗北を脳裏に過ぎらす軟弱者がいれば、俺に怒りを抱き、今にも飛びかかりそうな愚か者もいた。

 さて、後者の愚か者どもにさらにもうひとつ、油を加えるとしよう。


「ん、どうした?

 飛びかからないのか、そこの君たち。

 怒るのならそれ相応の行動をして見せろよ、虐げられすぎてズタズタになった誇りがさらに深傷を負うぜ?」


 指をくい、と曲げて煽る。

 ......それを、“罠”だと察して警戒するやつは利口だ。

 全員がそうなら、俺も俺で少しはどうしたものかと頭を悩ますのだが。

 そうじゃない愚か者がいるから、さらにこちらの士気を高揚させてくれる糧となるのである。


「「「テメェ......ぶっ殺してやる!!」」」


 我慢の限界を迎え、少数の鬼達はいっせいに俺に向かって飛び掛る。

 俺はなんの迷いもなく、詠唱を唱え始めた───。


「術式拘束、解除」


 刹那、周囲の兵士たちは顕となったソレの圧に押されて、思わず後ろへと仰け反るのだった。

 次の光景を目撃して、我らが鬼滅軍の兵士たちはさらに活気を取り戻すだろう。

 これが、禁忌の呪術を操りし最高戦力の一角の実力だと。

 そして、鬼の軍勢達の者は皆、恐れることだろう。

 これが、鬼滅軍の最高戦力の一角、その真の実力だと。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ───秋夜が戦場へと参戦した時、龍雅はというと戦線の後方の部分で鬼滅軍の兵士たちと戦闘を行っていた。

 本来ならば、人間二、三人で戦えば鬼一人は止められるくらいの戦力差である。

 しかし、この鬼、龍雅はそうはいかなかった。

 現在、奇襲兵として隠れていた兵士たちは龍雅を討ち逃してしまった穴埋めをするべく、二十数人と少数ながらに隙を狙い、奇襲を仕掛けた。

 結果として、最初の方は順調に戦線を乱すことに成功はしたが、龍雅が奇襲の情報を聞き、現れた際にはその二十数人は束となり、龍雅の相手を取るほどだ。

 しかし、それでも龍雅の強さには敵わないのであった。

 彼が握る大剣を一振させれば風圧が兵士たちを襲い、彼らを吹き飛ばすのだった。


「数束ねただけでワシの首取れるわけないやろが!!

 ワシ止めんのやったら量やのうて質や、強えやつ呼んで戦わせろや!!!!」


 咆哮にも似た怒声が轟く。

 数多にも鳴り響く剣戟の音すらも上書きするように轟く。

 その咆哮を前に、龍雅を相手にしていた鬼滅軍の伏兵達は恐怖で震えが止まらなくなってしまった。

 龍雅からすればそんな臆病者、見るだけで苛立ちを隠せないのであった。


「目障りやなおどれら......死に晒せや!!」


 鬼滅軍の兵士たちの身体目掛け、大剣を一閃。

 その剣筋は止まることなく、兵士たちの身体を切り裂き、上と下と二つに分けるのだった。

 血飛沫が吹き出し、その血を雨のように浴びる龍雅。

 その姿はまるで、腹を満たすべく、死肉を貪る飢えた獣のようだった。

 飢えた獣の隣に一人の鬼が前線での状況を伝えるために、立つのだった。

 その鬼は、酷く焦った様子で汗を流しながら龍雅に伝えるのだった。

 その、前線で起こった一つの惨事を。


「龍雅様、伝達です!!

 つい数分前に援軍としてやってきた鬼滅軍の少佐、風魔秋夜が前線の部隊の約三割を討ちました!!」


「なんやと!?

 すぐに向かうわ、お前は場所を案内せぇや!!」


「は!!」


 兵士の案内を受けて、龍雅はすぐさまに前線へと向かうのだった────。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ───複数の鬼が秋夜に目掛けて刀を振るう。

 身体を裂き、息の根を止めようと振るわれるその刀は死神の鎌のように血を求めていた。

 しかし、秋夜に死神の鎌などあまりにも速すぎる時期である。

 鬼達が秋夜を斬った、そう確信した瞬間にやって来たのは刀が空振った感覚だった。

 そのまま地面へ落下し、鬼達は何が起こったと焦り刀身を視るが─────


「な、み、見えない!?

 なんだこれ、視界が──────」


 視界が無い(・・)そう言おうとした彼らの顔は不自然に消えたのだった。

 その恐ろしく、不思議な光景の中に一人冷静に佇む秋夜の姿は鬼達にとってはあまりにも死神らしく見えてしまうのだった。

 先程の鬼達が死神の鎌を持ち、闇雲に振るう普通の人ならば秋夜はまさに、周囲の命を刈り取る死神そのものであった。

 自身のことを恐ろしく感じる鬼達に対して、秋夜はしたり顔で口角を釣り上げて作戦を次の段階へと移行させた。


「これが、俺の力だ。

 そうだな......今は貴重で使えないがミサイルのようなモノと思ってもらおうか」


 対象を任意に設定し、小さい黒い渦(ブラックホール)を放つ。

 それが秋夜の持っている切り札の一つである禁呪、『無』の極地、消滅。

 その絶大な力はこうして、鬼達の戦意を削ぐには十分すぎるのであった。

 しかし秋夜はそんな彼らに対して、まるで水をかけ続け収まりかけた炎に油を注ぎ再燃さすような行動を取るのだった。

 秋夜は躊躇わずに、鬼達の死体を足蹴にした。

 何度も、何度も何度も散っていった鬼たちを嘲笑う代わりに、秋夜は蹴るという行動に出たのだった。


「ん、なんだ見ているだけなのか?

 仲間が勇敢に戦い、無惨に息絶え、その死体が蹴られている。

 それなのに君達はその死体をただただ呆然と見るだけだというのかね!?

 フフ、なんともまぁ酷い奴等だよ。

 罠だと判断して、此方を見る。それだけを聞くと賢い判断かと思われるがそれはただの言い訳だ。

 君達はただ死へ怯え、ろくに一歩を踏み出せない臆病者なだけだ!!」


 見え見えの挑発、それを悟り鬼達は一歩も動かず、どうすれば秋夜を殺せるか、それだけを考えていた。

 しかし───目の前の空気から突如として現れた()一部(・・)の鬼達は感じ取り、すぐに後方へと跳んだ。次の瞬間───先頭にいた鬼達は皆、上半身のみが消滅したのだった。

 その、あまりにも異様すぎる流れに他の鬼達は驚愕し、戦慄した。


「な、馬鹿な......!?

 どうやって先頭にいたオレたちの同胞をこんな姿にしたんだ!?!?」


「禁呪か、禁呪の力だとでも言うのか!?

 しかし、呪術を使うにはそれ相応の詠唱が必要なハズ、禁呪なら尚更だ!!」


「知りたいか?」


 焦る鬼達を前に、秋夜は自慢げに鼻を鳴らすように笑う。

 その秋夜の動作だけで鬼達の動きは止まる。

 否、止めざるを得なくなる。

 理由を効かなければ対処のしょうがない。ならば、少しの剣戟の音すらも出さないためにここは、動くことを辞めることが正解だと、理性ではなく本能が察知したからだ。

 しかし、それを阻止するように鬼滅軍の兵士たちは甘い汁を、この好機をみすみす見逃すハズがない。


「「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」


 斬りかかりにくる鬼滅軍の兵士達の雄叫びのせいで秋夜の声がかき消される。

 鬼達はそれを躱し、反撃しようとしたが兵士たちは躱されたと分かるやすぐに後ろへと撤退したため、反撃は出来なかったのである。

 聞き逃した原因を作った兵士達を恨めしい目で鬼達は睨む。

 その一連の流れを見て、秋夜は再度笑みを浮かべたのだった。

 そして、声を張り上げ再度秋夜は、答えを一部だけ言うのだった。


「禁呪だよ。

 禁呪を使って俺は君達を殺している、それだけさ」


 力の正体を惜しむこと無く秋夜は伝え、そのままゆっくりと歩き始め、指揮を行うのだった。


「鬼滅軍各員に告ぐ、すぐに四人以上の班を組め!!

 そして今勇猛果敢にも鬼達に斬りかかった君達を連絡班と任命する。

 勘違いするなよ、この連絡班を組んだ理由は鬼達に斬りかかったその勇猛さと、斬りかかって躱された後すぐに背中を向けずに後退した君達の判断力、及び生き残れる能力を見込んでの事だ!!

 先に言っておく、班を組んだ者たちは絶対に単独行動をするな、例え友人が死にそうでもだ!!

 君が持ち場を離れた事により鬼達はその隙を突き、さらに犠牲が増える結果となることを想定しろ!!」


(......この今両軍が制止している間に、動く筈だ)


 秋夜は指揮を執りつつ、前方の遠くに目を配ると、丁度鬼の兵士一人が、背を向けて走っている姿を目撃した。

 予想的中、秋夜はしたり顔でこの後をどうするか考えるのだった。


(後数分もすればこの愛知襲撃の大将が姿を現す筈だ。

 ならばこの間に、鬼達の頭数を減らすことを注力するのは間違いないのは確かだな。

 恐らく大将であろう龍雅はどうするべきか?

 ......今は考えても仕方ない、考えるのは龍雅の力を確認してからだ。

 今はただ、龍雅に兵の数を割けるようにこの数分の間にどれだけ鬼達を殺せるかだけを考えるか)


 辺りを見渡し、秋夜は鬼達の前線の中央に丁度良い高さの廃ビルを確認する。

 建物を凝視する。

 ─────次の瞬間、廃ビルの根元が爆破し、多数の鬼達のを巻き込んで、ビルは倒れ、鬼達はそのビルの下敷きとなるのだった。

 それを確認すると秋夜はすぐに、声を張り上げるのだった。


「鬼滅軍愛知支部の各隊員よ、鬼達は怯んだぞ!!

 今のうちに撃て、撃て、討て!!!!

 銃が無い? ならば刀で斬って斬って、この戦場を戦火無い綺麗な土地へとするべく鬼達をひたすらに斬れ!!」


 秋夜の号令を受け、兵士達は力漲ると言わんばかりに活気溢れ、勇猛果敢に鬼達に攻撃を仕掛けるのだった。


4話で終わらそうと思ったけど話が延びそう......なんで???

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