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「!」


 マイケルは二度目の頭に受けた衝撃と頬に当たる石の痛みで目が覚めた。


「マイケル! お前、とんでもないことをしてくれたな! ジリアンを連れて逃げるなんて、何を考えているんだ!」


 目の前にいるのは村の男衆だ。男衆の中には親友のミックの姿もある。

 村長の家に戻らぬジリアンを探して、マイケルの家に来た村の者が二人の逃亡に気付いて、追いかけて来たのだろう。


 その後は殴る蹴るの暴行が待っていた。

 騒ぎで目が覚めたジリアンがマイケルへの暴行をやめさせようと叫んでいた。

 だが、彼女自身も荷馬車に乗せられ、村に連れ戻されようとしている。


 結論からいえば、マイケルは一回目と同様、村長の家の納屋に監禁された。

 監禁から解放されたのは前よりも早かった気がする。


 扉が開き、かけられた言葉はジリアンの死を知らせるものだった。


 家に戻ったマイケルは数日、呆然としていた。

 二人で暮らしていた家は、今やガランとしていて、どこにもジリアンがいない。

 ジリアンが作った物。ジリアンが気に入っている物があって、今にもジリアンが話しかけてきそうな空間であるにもかかわらず、ジリアンだけがいない。

 いや、ジリアンはもういない。


 マイケルの家族がパンや野菜のパイといった簡単な食事だけは運んで来てくれるが、「なんであんな真似をしたの。お前のせいであたしたちは肩身が狭くてたまらない」と嫌味を言われる。

 勿論、これはまだマシな対応だった。

 今までと同じように村にいることはできないとマイケルも思っていたが、村人たちもマイケルを村に置いておく気はなかった。


 マイケルは旅支度を整え、村を出て行った。

 そして、隣の村で冒険者ギルドに登録すると、勇者を倒す為に冒険者になった。住んでいた村で子どもの頃に冒険者ギルドの登録もしていたが、それは抹消されていて、最低ランクからの再出発だった。

 マイケルは冒険者として勇者を倒せる力を手に入れようと必死になって、その途中で死んだ。

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