現状確認
それとなく呟いた。
「母さん……。
母さんは異世界から来たの?」
「そうよ」
「父さんもそうなの?」
「いいえ……。
違うわよ」
「じゃ、俺は?」
「私と久志さんの子供よ」
「母さん、俺は……」
「和樹さん、貴方は間違いなく私の産んだ息子よ」
「……」
「そんな顔をしないの」
「それじゃ怜奈は、母さんと一緒の世界……」
「怜奈ちゃんは、私とは違う世界の人間よ」
「……」
(え? じゃ怜奈は……)
駄目だ、頭の整理が追い付かない。頭ん中、真白だ。俺は怜奈に逃げた。
無意識の衝動は、怜奈の左手に集中した。いままで片手で触っていたのが両手でガッチリホールド体勢へと、もうね、自分でも驚くぐらい、これ見よがしに。
『家の子は……』母さんが呆れ顔になりがらも、語り始めた。
「母さんね、長い間。
自分の居た場所に帰れないか色々試していたの。
それで、少量の魔力を使えることがわかったから、ゲートの魔法術式を編み込んでいたんだけど、また失敗しちゃったみたいなの。
それでね、怜奈ちゃん達の住む世界と繋げちゃった……」
繋げちゃった、て……。ゲームの世界をリアルにするってどんな『魔法術式』なんだよ。
ご免なさい。勝手に妄想を膨らませるのは、よくないよな。人の話は最後まで聞かないと駄目ですね。
(ほんとに……)
母さんは繋げただけで、ゲームを現実世界にする力なんてないのに。
聞いたら平手打ちで頭を叩かれた。パチコンってイイ音が鳴ったけど、痛くはなかったが。
「貴方って子は……」
肩をフルフル震わせちゃって、可愛い笑顔なのに、俺は血の気が引いて怖いのは、何故だ?。
身震いして漏びりそうだよ。
まるで『ね』と、言いながら嫌と言わせない圧迫感。それに圧倒的な強者を前にした子鼠の気持ちにいつもさせられている。
小さい時から嘘や悪いことして誤魔化そうとしたりすると、何故なのか直ぐに嘘れて泣かされていた。
母さんには内緒だけど、子供ながらに『あ、僕このまま死ぬんだ』て、思っていたし。それぐらい怖いってこと。
(だが! 今日の俺は一味違う)
側に怜奈がいるからだ。怜奈は怖いのか必死に腕にしがみついているし。それに俺は柔らかい感触を堪能できるくらいの余裕はある。
普段なら耐えるだけだが、怜奈という拠を得たのだ。こんなに心強い味方はいない。違う意味で。
(決して疚しい心がある訳じゃないぞ)
母さん。そんなに威圧すると怜奈が怯えて困るんだけど、手が付けられないからさ……。ま、手遅れですがね。ちょ、コラ!。
あの怜奈さん『貴方この状況何とかしなさいよ』って睨むのやめて。いくら怖いからって俺に八つ当たりはよくないよ。
(本当に)
「母さん、怜奈が怖がっているから」
「あら、ごめんなさい。
いつもの癖で……」
無意識に威圧に殺意を混ぜるの、ほんと、やめてほしいよ。