表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/16

現状確認

 それとなく呟いた。

「母さん……。

 母さんは異世界から来たの?」

「そうよ」

「父さんもそうなの?」

「いいえ……。

 違うわよ」

「じゃ、俺は?」

(わたし)久志(ひさし)さんの子供よ」

「母さん、俺は……」

「和樹さん、貴方は間違いなく私の産んだ息子よ」


「……」

「そんな顔をしないの」

「それじゃ怜奈は、母さんと一緒の世界……」

「怜奈ちゃんは、私とは違う世界の人間よ」

「……」

(え? じゃ怜奈は……)


 駄目だ、頭の整理が追い付かない。(あたま)(なか)、真白だ。俺は怜奈に逃げた。


 無意識の衝動は、怜奈の左手に集中した。いままで片手で触っていたのが両手でガッチリホールド体勢へと、もうね、自分でも驚くぐらい、これ見よがしに。


『家の子は……』母さんが呆れ(がお)になりがらも、語り始めた。


「母さんね、長い(あいだ)

 自分の居た場所に帰れないか色々試していたの。

 それで、少量の魔力を使えることがわかったから、ゲートの魔法術式を編み込んでいたんだけど、また失敗しちゃったみたいなの。

 それでね、怜奈ちゃん達の住む世界と繋げちゃった……」

 繋げちゃった、て……。ゲームの世界をリアルにするってどんな『魔法術式』なんだよ。


 ご免なさい。勝手に妄想を膨らませるのは、よくないよな。人の話は最後まで聞かないと駄目ですね。

(ほんとに……)


 母さんは繋げただけで、ゲームを現実世界にする力なんてないのに。

 聞いたら平手打ちで頭を(はた)かれた。パチコンってイイ音が鳴ったけど、痛くはなかったが。


「貴方って子は……」

 肩をフルフル震わせちゃって、可愛い笑顔なのに、俺は血の気が引いて怖いのは、何故だ?。

 身震いして()びりそうだよ。


 まるで『ね』と、言いながら嫌と言わせない圧迫感。それに圧倒的な強者を前にした子鼠(こねずみ)の気持ちにいつもさせられている。

 小さい時から嘘や悪いことして誤魔化そうとしたりすると、何故なのか直ぐに()れて泣かされていた。

 母さんには内緒だけど、子供ながらに『あ、僕このまま死ぬんだ』て、思っていたし。それぐらい怖いってこと。

(だが! 今日の俺は一味違う)


 側に怜奈がいるからだ。怜奈は怖いのか必死に腕にしがみついているし。それに俺は柔らかい感触を堪能できるくらいの余裕はある。

 普段なら耐えるだけだが、怜奈というよりどころを得たのだ。こんなに心強い味方はいない。違う意味で。

(決して疚しい心がある訳じゃないぞ)


 母さん。そんなに威圧すると怜奈が怯えて困るんだけど、手が付けられないからさ……。ま、手遅れですがね。ちょ、コラ!。

 あの怜奈さん『貴方この状況何とかしなさいよ』って睨むのやめて。いくら怖いからって俺に八つ当たりはよくないよ。

本当(ほんと)に)


「母さん、怜奈が怖がっているから」

「あら、ごめんなさい。

 いつもの癖で……」

 無意識に威圧に殺意を混ぜるの、ほんと、やめてほしいよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ