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大好きな君へ  作者: ユウ
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序章

初めまして、ユウと申します。

「大好きな君へ」に興味を持ってくださいまして、

ありがとうございます。


この物語がわたしにとって初めての作品となります。

独学でいろいろなハウトゥ本を読み漁り、学生時代に構想していたストーリーを

再構成して、書き始めてみました。

まだまだ稚拙な文章ではないかとも思いますがご一読を、お願いいたします。


4月中旬

この時期の生徒会活動には特にやるべきことがない。

先日、入学式が終わったばかりで、退屈な授業が終わったら帰ってしまっても構わないのだ。

それなのにこうして最終下校の時間までこうして生徒会室に残っているのは、

「なぁ、次は屋上に忍び込んでみようぜ」

目の前で屈託なく笑う少年との時間がとても楽しいからだ。

「えっと、どうやって?」

俺たちの通っている学校では屋上につながる扉には鍵が締められていて入ることはできない。

昼飯を屋上で食べたりすることに憧れるのだけれど……

「どうするのかはこれから考えるのだよ……まぁ、正攻法では無理なのだから、〝忍び込む”なんだけどね」

彼は日夏 善弘、クラスメートでかつ悪友。

屋上に忍び込むとか言い出すあたり、生徒会役員なのに生徒の模範ではない。

「ところで紗枝はなにかいい案ない?」

思いつきで口にしたものの方法は全く考えていなかったようで、

質問をそのまま善くんの隣に座っている二年生に放り投げた。

「………えっ?」

突然話を振られた彼女は困ったように小さなこぶしをあごにあてて、なにか言葉を絞り出そうとしている。

彼女は笹島 紗枝ちゃん。

生徒会では書記を任されている二年生だ。

小柄でおとなしい、生徒会のマスコットのような女の子だ。

ちなみに今座ってる椅子は足が地についてない。

そしてあきれ半分の愛想笑いを浮かべる彼女の表情はとてもかわいい。

「えっと……」

「ごめんごめん、気にしなくていいから、というか答えなくていいから」

紗枝ちゃんは、悪だくみや嘘がつけない性質なのだろう。

「それに、今日は特にやることもないから帰っちゃってもいいよ」

生徒会といっても毎日参加しなくちゃいけないわけではない。

卒業式とかイベントの時さえ参加すればいいのだ。

ちなみに俺と善くんはほぼ毎日、放課後はこの教室にいる。

パソコンが置かれてあり、基本的に生徒会メンバー以外が立ち寄ることのない場所。

俺たちが自由に扱える教室。

つまりは居心地が良いのだ。

「先輩はこれからどうされるんですか?」

「俺も、もうここを締めて帰るよ」

窓から外を眺めてみると遠くの山際に触れそうな夕日が暗くなりつつある空を明るく染めている。

「じゃあな」

「お先に失礼します」

ふたりに気をつけてねとあいさつを返し、いつも仲いいな~~とほっこりしながら見送る。

さて、俺も帰るとしよう。


階段を降りると、サヨナラしたばかりの善くんがいた。

「何やってんの?」

「紗枝の奴、教室に忘れ物したらしくてさ」

なるほど教室に取りに行ったわけだ。

一緒に行けばいいのに……

「ところで俺も生徒会室にスマホ忘れちゃってさ、紗枝とは下駄箱で集合ってことになってんの」

………


善くんのスマホを回収した俺たちは校舎の中庭を抜けて玄関を目指す。

下駄箱に到着すると紗枝ちゃんがいた。

「あ、善くん!! と神橋先輩!?」

紗枝ちゃんが控えめに手を振りかけて、そのまま固まってしまった。

「やぁ」

俺と一緒とは思わずふたりの時のテンションで善くんに呼びかけたことが恥ずかしかったのだろう。

紗枝ちゃんは目線をそらしてうつむく。

マフラーから覗く頬が紅く火照って見えるのは、気温のせいだけではないだろう。

「そうですよね。日夏先輩は生徒会室に戻ったんだから神橋先輩とも会いますよね」

善くんも恥ずかしがっているのか顔をそらしている。

いつも一緒に帰って、名前で呼び合ってるんだから、もう付き合ってるって認めちゃえばいいのに。

青春しているふたりを見ているとこっちまで恥ずかしくなってくる。

実にうらやましい。

「そういうこと、今度こそバイバイ」

とっとと帰ってしまえ、と

ひがみの感情を3割ほどのせた手をひらひらと振った。


………


ふたりを見送った後、なんとなく中庭に目を向けた。

特別なものなど何もない見慣れた校舎。

冷えた空気を、差し込む陽光が温めている。

さっきの夕日はそろそろ山に触れる頃だろうか……

どうでもいい疑問の答えを求めてそのまま空に目を向けてみた。

とても眩しくて目を細めた。

暗くなるまではもう少し時間があるようだ。

ふと我に返って視線を落とすと、目の前にクラスメートが立っていた。

どうかしたのだろうか……

「なにを見てたの?」

「ん?」

特別なにかを見ていたわけではないので返答に困る。

首をかしげて自分に問いかけてみた。

さて、俺は何を見ていたのだろう?

「……なんか、ごめん」

どう応えようかと悩んでいるうちに謝られた。

なにか悪いことをしてしまったような気持ちになる。

「じゃあ、また明日ね」

「……うん、じゃあね」

と、手を軽く振る。

えっと、クラスメートであることは覚えていたのだけれど。

一体誰だったっけ……


これが、俺たちの出会い。

時間にしたら1分未満の邂逅だった。

「大好きな君へ」を読みくださり

ありがとうございました。


いかがだったでしょうか、

とはいえ、まだ主人公とヒロインが出会った? だけの段階です。

これから少しずつではありますが、二人の物語を進めていきます。

またあらすじで書きました通り、こちらは物語の半分になります。

同時に連載を行います「大好きなあなたへ」もご一読いただけましたら、

書き手であるわたしにとってこの上ない喜びとなります。

そして、ご意見やご感想をいただけましたら、ありがたく存じます。




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