脚が狼を養う
この作品の舞台は一応ロシアを考えています。
ここは違うんじゃないかなど拙いところが出るかも知れませんが愛嬌と思わずどんどん指摘指定ただいて構いません。これからも宜しくお願いしまします。
扇 基衣でした☆
「……はぁ……っ。流石に冷えてきたか」
冷たい風が吹き荒ぶ雪原の夜。そこに薄汚れ、ずたぼろの布を深く着込み無造作に縫い付けられたフードをかぶり直す少年と、毛深い馬をひき少年より三つ四つ歳が上のウルキという青年の姿があった。
「おい、ヒサギ。ここらで休もう、この先歩き続けてもきっと村の一つもありゃしねぇよ」
馬を連れる青年の疲れた声は白く凍り、吹雪の中ヒサギと呼ばれた少年の耳に入る。
「ウルキ、こんな雪でもない限り、この雪原を通るのは難しい。晴れた日ともなれば“撃ち合い”は避けられない」
「死にそうな寒さと凍えが寧ろラッキーってか。わーったよ、いくよ」
二人が進む度、心なしか風が強くなって先へ進むのをこばんでいる気がした。
◆◆◆
「ヒサギッ!アレ、家じゃねえか?やったな、ここにくるまで人影は見なかったし、この辺りのも休戦してんだよ。急ごうぜ!これで一息つける、ありがてぇ」
ここは村からもかなり離れてるし、家があっても人は住んでないだろ。ましてや銃撃戦が行われている場所に人なん……て……っ!
「待て!その家は兵士のーー」
途端、ガラスが割れる音と同時に鉛の弾が飛来する。
「なんだ!?」
突然弾丸が正面から飛んできたウルキはすっとんきょうな声を上げ、よろけながら木に隠れる。敵の潜伏にいち早く気付いたヒサギも木の影に隠れる。
タタタンと軽い発砲音を上げる敵兵の弾は雪原に自生する白樺の表面を抉る。飛び散る木片が頬をかすめて小さな擦り傷を作る。ウルキの方より銃本体に近いため狙いが的確で一歩も動けない状態にいる。
「ウルキ!銃をとれ、俺が飛び出た後に隙をついて射て。弾が勿体ない、頭を狙え外すなよ」
「兎相手じゃねぇんだ、逃がさねえよ」
合図から五秒程経過した時、弾薬の補充に一瞬の間が空く。刹那にヒサギの身体は横へ飛び辺りに積もった雪を吹き上げ少し先の木に移る。
それを捉えた攻者も間髪入れず銃口を向け……。
「今だウルキ、ぶっ放せ!」
「俺の愛銃マカロフを額に味わいやがれ!」
矛先を変えた機銃の持ち主の頭を目掛け火とともにするりと抜け出した弾丸は兵士の脳髄を貫き一撃にして動きを止めた。
取り敢えず出だしは挫けなかったかなと考えています扇 基衣です!
ヒサギ君のフルネームですが出せないかもなのでここに出しときます、狩鹿瀬 楸ですはい。
ロシアがテーマなのにどうして日本名?と思うかも知れませんが、物語をおう上で明らかになる物です。交互期待です!
でわでわ、またお会いしましょう。