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見つけた欠点への対策

襲撃から少々経過して‥‥‥

‥‥‥大学園祭に襲撃してきたマンイータープラントの事件から1週間が経過した。


 今回の騒動の元凶は、ワゼの調査によるとある自称神聖国なのだとか。


「自称って‥‥‥狂信者とかいる様な宗教国という事か?」

『それであってますネ。まともな人もいるようですけど、やっぱり相当ひどいというか、例えるのであれば、集団で決める時にたった一人だけ強情に意見を通そうとする自己中野郎な国デス』


 わかりやすいけど、その分面倒くささもよく伝わる。



 証拠品や捕えた犯行に関わった間者などを捕らえても、「そ~れ、わが国の物じゃないしぃ、関係ないよ~~~ん☆」と、どこかイラっとするような口調で関与を否定しつつ、逆に名誉棄損だとかそう言う事でこちら側の方からいろいろ持っていこうと考えるのだとか。


 何だろう、何処の世界でも面倒くさい国がある物なんだなぁ。




 そんなわけで、今回のその件に関しての追及がやりにくく、あのアレン国王も苦虫をかみつぶすような顔になるような相手だというのだ。


『…‥‥まぁ、誰を敵に回したのかはゆっくりと、思い知らせてやりマス。ご主人様を危険な目に合わせようとした愚者どもの国ですし、今のうちに精々甘い汁を吸っておけばいいのデス。近い将来、劇薬になるでしょうが‥‥‥‥』


 くっくっくっくっく、と黒い笑みを浮かべながらそう言うワゼ。


 普段の表情の変化が乏しい分、恐ろしい表情であった。機械魔王の作品であるメイドゴーレムの彼女にも、堪忍袋の緒があるようで、それを切らせたとなると‥‥‥‥終わったな、神聖国とやら。





 とにもかくにも、その話しはここで区切っておく。


 これ以上、不快になるような話は無毛だからな。



「にしても、話しは変わるけどこれはどういうことだ‥‥‥?」


 リューの記憶にはないのだが、どうやらあのごたごたの最中に、ハクロたちは見た。


 リューの身体から黒い何かが出て、衣として纏ったり、剣となって黒い光を飛ばしたという光景を。


 ワゼがしっかりと記録しており、その映像を見せてもらってもリュー自身は信じられなかった。



 一応、体そのものには変化はない様だが、念のために検査を受けてみたのである。


 その結果…‥‥

――――――――――――――――――――――――――

対象者:リュー・フォン・オーラ

使用可能魔法属性:『力』

魔力量:100000(現在も成長中)


――――――――――――――――――――――――――


 以前よりも、魔力量が増えていた。

 

 しかも、2桁分一気に増加していたのである。




 これでちょっとやそっとの魔法を使った程度で、そう簡単に魔力切れは起こらないであろう。


 だがしかし、いくら何でも増え過ぎである。


【10万の単位へ突入ですか…‥‥しかも、もうすぐ100万の単位ですね】

【どのぐらいすごいのか、いまいちピンとこないピキッツ】

【ギリギリ災害危険指定種の最底辺の魔力量へ届くか届かないか…‥‥ぐらいカナ?】

『‥‥‥‥機械魔王様にはまだ及びませんけど、どれだけですかご主人様』


 全員に、やや呆れたような目で見られたが、まだ人間を辞めているわけではないのでセーフと言いたい。


…‥‥本当にまだ人間だよね?ちょっと自信が揺らいできたんだけど。






 まぁ、魔力量の大きさは置いておいて、それ以外では特に変化はないようである。


 うん、無いのが当然だと言いたい。


「にしても、ここまで魔力量がぐわっと一気に上がったのは驚くな」

【あの黒い何かのせいでしょうかね?】

【ほぼ確実にそうとしか思えないカナ】


 魔力量の急激な増加はおそらくそれが原因だが…‥‥結局のところ、その黒い何かは不明。


 何の解決にもならないのであった。



「しかも、考えてみたらまだ問題があったんだよなぁ…‥‥」


 魔力量以前の問題として、あのマンイータープラントとの戦闘で浮き彫りになった弱点。


 このメンバーでの戦闘時、万が一にでもとんでもない強敵が出てしまった際に、決定打が無いのである。


 ワゼの内臓武器で何とか出来そうなものだが…‥‥周囲が荒野になるのを覚悟しないといけないらしいし、先ほどの話に出ていた黒い何かを扱えるようになればいけるかもしれないが、原因不明なので全く使用できず、何もならない。


「メンバー構成的に、重い一撃を食らわせられないからな‥‥‥」


 

 まず、俺自身の魔法だが破壊力のある物はあれども、扱いにくいものが多くて、そもそも皆に指示を出す立場なのでそこまで積極的に前に出られない。


 ハクロの場合、糸での攻撃で巨大な武器などを作れるのだが、基本的に皆の回復役となるので後衛に回り、支援すると言う感じであろう。


 ピポはガンガン攻めることはできても、急所攻撃以外では攻撃力としては弱いので、魔法で威力を増したりする必要性があり、ほぼ前衛でのかく乱役となる。


 ファイは水や風、氷などの魔法を組み合わせて扱え、条件さえ整えばかなり強い部類なのだが、いかんせん魔法主体攻撃なのでやはり後衛となるし、この間のマンイータープラントとの戦闘で、魔法の詠唱前に攻撃されて、回避するために魔法を使えないという事が判明した。


 ワゼは‥‥‥‥まぁ、戦場での情報収集、工作、内臓武器でのせん滅は可能だが、やはり基本的にメイドとしての能力に割いているようなので、そこまで戦闘向きではなかったりする。


『山をも砕く武器ならありますけど‥‥‥』

「強力過ぎるから逆に扱いにくいんだよ。俺の魔法と同じ扱いかな?」


 下手したら辺り一帯を焦土にしたり、クレーターにするような物は流石にダメだろう。



 ついでに、卒業後夢追い人(ドリーマー)となったらヴィクトリアが加入してくれるようだが、彼女はピポと似たような戦闘スタイルなので、根本的な問題は解決しない。



「となると、やはり魔物使いらしく…‥‥従魔を増やして解決したいな」


 魔物使いであるならば、やはり従魔を増やして解決したほうが良いだろう。



【強力な一撃を放てるような、そんなモンスターが従魔になってくれればいいのでしょうけど…‥‥そう都合よくいますかね?】



…‥‥ハクロの言う事ももっともであった。


『リストアップするのであれば、色々候補はありますが…‥‥まぁ、今の状況じゃ無理ですネ』

【でも、いることはいるんですか‥‥‥】

『ええ、ですがやはり魔物使いに従う従魔という存在は、従うべき主を探し求め、そうでない者であれば従わずに逃亡しますからね‥‥‥‥あちらから来る(・・・・・・・)という事がない限り、現状は無理デス』


 今のリューの身分は未だに学生。


 まだ学園で学ぶことが多く、卒業して自由にあちこちへ向かうまでにやはり行動は制限されるのである。



 とにもかくにも、今後はこのメンバーでの欠点を、今の状態でどうにか補う方針で決定した。


 ついでに、例のその厄介者国に関しても警戒をするようにも、皆で決めた。


 また、あのような襲撃がないとも限らないのだから…‥‥‥



【そういえばリュー様】

「ん?」

【いや、別に良いのですが…‥‥一応言っておきますけど、もしまた従魔が増えるとしたら、出来れば人型ではない、より細かく言うのなら女性ではない方のほうが良いなと…‥‥】

「…‥‥ハクロ、そう言うのはやめておいたほうが良いぞ」

【え?】

「善処はするけどな…‥‥」


…‥‥世の中には、フラグという言葉がある。


 そう告げようとリューは思ったが、既に遅いような気がしたので言うのをあきらめたのであった。

リューのその言葉、メタいかな?

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