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襲撃後の後始末

その日の夜ってところかな?

SIDE王城



「…‥‥つまりは、今回のあのバカ騒ぎの原因は神聖国エルモディアのせいという事か?」

『ハイ。証拠品、会話・指示に関しての書類や映像記録、そしてトドメにどさくさに紛れて処分する気だだったのでしょうが、間者やマンイータープラントを封印していたと思われる魔封印石の破片などを押収完了いたしましタ』


 マンイータープラントによる被害があったその日の深夜、王城に戻り、今回の件に関して調べていたアレン国王と、ミニワゼを介してワゼの二人が事の詳細についての情報交換をしていた。


『どさくさに紛れて、あのマンイータープラントによって間者たちもしょぶんする意図があったようですが、捕食前にミニワゼたちによって麻痺させ、全員の命は今のところ無事デス。口内などに独訳などが仕込まれていて自害されるということも考え、念のために身体検査を行い、文字通り身包みを剥いで防ぎましタ』

「しかも、その中にはあのバカ息子……いや、もう縁も切り捨てた大馬鹿野郎を見事に騙しおおせたベルモアとかいうやつもいたという事か‥‥‥」



 ワゼからミニワゼを介して渡された資料などを見て、アレン国王はそうつぶやいた。


 確かに、愚鈍で馬鹿で、傲慢で他人をさげすみ自分を棚に上げるどころか、自分至上主義に走っていて周りが見えていないやつだったとはいえ、元第3王子はそれでもアレン国王の息子である。


 血のつながりが疑われるが、本当につながっていた息子。



 既に縁もズバッと切り捨て、余罪を調べると出まくって罪人として処分して、温情でまだギリギリ生きるほどの刑に処したのだが…‥‥それでも、そんな元息子をたぶらかして道を踏み誤らせたというのは、アレン国王にとっては許しがたいことであった。


‥‥‥いつか本当に道を踏み誤るだろうとは思っていて、それが早まっただけなのかもしれないが。




「出してきたのは案の定、あの宗教狂いの自称神聖な国だという神聖国エルモディアだというのが癪に障るな‥‥‥出兵して責任を取らせたいが、うまみもないのが憎らしい」


 徹底的に叩き潰すために戦争を起こすことも視野に入れたのだが、生憎神聖国エルモディアは、戦争を仕掛けたところで利益がなさすぎるのが分かっているのである。


 腹立たしくて潰したいが、利益が出ないというのは出るだけ無駄であろう。



 だがしかし、そう考えてもやはり腹の虫は収まらないのである。


『正直言って、私もその国が大嫌いデス。そもそも今回の襲撃の理由としては、調査で分かったのですが‥‥‥‥』




 念のために、ワゼはなぜその国がこの王国に仕掛けてきたのか気になり、調査をしてみたのである。


 その結果、あることが分かって来た。


『何でもかんでも、十数年ほど前、その神聖国とはまた違った国ですが…‥‥その国に預言者として、齢300歳ほどのヨルバァと呼ばれる人物がいたそうデス』

「違う国か?」

『ええ。そのヨルバァは、その十数年前のある日、当然預言を言い残し、この世を去ったようですが…‥‥その預言の内容が、魔王についての事でしタ』


 その内容は、魔王に関しての説明と、その特徴であった。


 ワゼなりにわかりやすくまとめ、アレン国王へその内容を語った。


『「正しき心であれば人々を導き、繁栄へと導く清き者へ。悪しき心であれば人々を害し、絶望へと導く怪物へ」と、そのような存在である魔王が生まれると預言したようデス。正確に言うならば神託と言っていたそうですが‥‥‥』


 ただ、その説明は普通の魔王に関しての物とは変わらない。


 魔王は善になるか、悪になるかのどちらかという事であり、単に生まれるだけというのではあまり預言ともいえないような気がアレン国王はした。


「その預言を聞いただけで、なぜ馬鹿狂信自称神聖国がわが国へ…‥‥」




 神聖国エルモディア内では、魔王は完全悪だと決めつけている。


 その為、そのヨルバァという人物の預言を真に受けて、魔王を探して亡き者にしようとするのはまだわかる。


 だがしかし、他の国にもいる可能性があるのに、なぜかこの国ばかりを狙っているのである。


『ぶっちゃけ、神聖国内の政治組織自体が腐ってきて、裕福そうな国を狙う侵略目的で、もう預言に関sにてはどうでも良さそうな気もしますが‥‥‥‥問題は、その続きデス』

「続きだと?」

『「どんな人物になるのかはわからない。けれども、魔王となるべきものは、自然と強者を惹きつけて、愛しい者達に囲まれる存在ともなるだろう」‥‥‥‥アレン国王陛下、この預言に関して心当たりがありませんカ?』

「心当たりか?自然と強者を引き寄せ‥‥‥愛しい者たちに囲まれ…‥‥ん、待てよ?強者と言っても、それが人間だと決めつけているわけではない。強者というのは、要は力を持つ者であり、モンスターでも条件に当てはまると考えれば…‥‥まさか!!」



 ワゼの問いかけに考え、アレン国王はその可能性に思い当たった。


『…‥‥おそらく、その予想は私と同じでしょう。今回の件で、その片鱗を見ましたしネ』


 アレン国王の考えている事と、ワゼの考えていることは一致したようである。



「しかし‥‥‥そうだと考えると、確かにつじつまがあうな。人の口に戸は立てられぬという言葉があるそうだし、噂を聞き、予想をしてかの国がその答えにたどり着いたのであれば…‥‥間違いないだろう」

『幸い、報告をする者をすでに捕縛しているため、神聖国側ではあくまであの人は(・・・・)予想の中で一番可能性がある人という考えしか持てません。徹底的にやろうにも、情報不足でしょうし、今後そう簡単に仕掛けてくることはないでしょウ』



 魔王になりそうな存在は分かっても、あくまでまだ不明であり、確実ではない。


 確実になればすぐさま戦争になってもいいから兵を差し向けてくる可能性があるのだが、現状それをするタイミングではないと分かっているはずなのだ。



「となれば、今後彼の周囲を警戒したほうが良さそうだな…‥‥もしくは、強化してもらったほうが良いかもしれん」

『同意デス。流石に機械魔王様の作品である私でも限度はありますし、そうならないためにも、仲間を集め、そして自身を強化してもらわないといけませン』

「…‥‥そして、出来ればその神聖国を」

『ぶっ潰すのが理想ですネ。もう二度と立ち上がれないほどにネ』


 アレン国王とワゼの意見は一致し、ここで手を組むことにした。


 互いの利害は一致しており、そして共通の敵を持ったからである。



『ミニワゼによる情報収集もして、そちらに報告。小さい事ですが、積み重ねれば大きくなるでしょウ』

「細かい部分はそちらでして、こっちでは大きく出てやろう。個人ではなく、国としてな」


「『最終目的は神聖国エルモディアを再起不能にまでぶっ潰せ!!』」


 互いの声がそろい、意志を確認しあうアレン国王とワゼ。


 一人と一体による、水面下での暗躍が今まさにここから始まろうとしているのであった‥‥‥‥



 


―――――――――――――――――――――――――

SIDEリュー



「…‥‥ん」


 ふと、リューは目を覚ました。


 頭がぼうっとするが、辺りは暗く真夜中な可能性がある。


 暗闇の中だが、次第に目が慣れてきて、それと同時に何があったのかリューは思い出し始めた。



 大学園祭最終日、楽しんでいたところでのモンスター出現、避難、迎撃、追い詰められて‥‥‥



「ダメだ、思い出せねぇ…‥‥」


 考えに考え、途中で意識を失ったようにリューは思えた。


 だけど、この状況から考えてあのマンイータープラントの腹の中というわけでもないようだし、何かあタ高いというか、柔らかいものに寝かされているような気がした。


 上を見てみれば、暗闇の中とは言え、浮かび上がる大きな物体‥‥‥あ、上見えねぇな。



 ふと、何だろうと思ってリューはそれに触れてみた。



「よっと・・・・・」


 もにゅん



‥‥‥ん?


 もにゅん ぽよん もにゅん ぽよん‥‥




 思いっきり柔らかい2つの物体。


 なんとなく、嫌な予感がして、リューは一気に目が覚めてそっと体をずらして周りを見渡して理解した。



「は、ハクロの…‥‥」




 暗闇で目が慣れて、何処なのかは理解できた。


 あの襲撃場所から離れた宿泊場所の一室であり、そこで皆で寝ているのというのはわかる。


 ただ、先ほどまで寝ていたのは…‥‥どうやらベッドの上。


 しかし、枕ではなく、どうやらハクロがわざわざ足を曲げて高さを調節し、人で言えば膝に当たるであろう、蜘蛛で言うところの食指と呼ばれる部分で膝枕モドキをされていたようで‥‥‥そしてその上にはつまり・・・・・




 何を触ったのかリューは理解した。


 そして、一応健全な男子であるのと、まだ体が回復していなかったのもあるのか、速攻でぶっ倒れて気絶した。


…‥‥刺激が強すぎたというのもあるだろう。



 翌日、鼻血を流して気絶していたリューを見て、ハクロがパニックを起こし、自身の癒しの効果がある糸をリューの鼻に突っ込んで、更に出血させられたのは言うまでもない。

最強で最恐の最凶なコンビ結成。

神聖国エルモディア‥‥‥やらかしたのである。

ある意味、組み合わせてはいけない者同士が、結託してしまったのは神聖国エルモディアの過ちのせいであろう。

次回に続く!!


…‥‥一応、リューだって健全で純情な男子です。幼い時からいたから慣れてはいたけど、改めて認識をさせられると辛いのです。


『‥‥‥ハクロ、鼻血を抑えるには、鼻をつまんでのほうが良いのですが‥‥‥なぜネギ?』

「これが鼻血に効くと、以前本で…‥‥」

『それは風邪デス。しかも対処法としても正しくありませんし、ご主人様が呼吸困難で召されかけているのですガ』

「…‥‥あぁぁぁぁぁ!?」

(‥‥‥ハクロ、後でお仕置き決定)


 薄れ逝く意識の中、リューはそう思ったのであった。


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