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目覚めさせたのは何だろうか

主人公、微妙にわき役気味回?

ちょっとシリアスかも?

SIDEハクロ


【状況が好転しませんね‥‥‥】


 マンイータープラントたちの攻撃を、糸で防いだり、縛り上げたり、切断しながらも、ハクロはそうつぶやいた。


 決定打に欠けており、中々この状況が好転せず、段々形成が不利になってきているのである。



 どうしたものかと、ハクロは考え、戦闘しながら他の皆と議論しようと思ったその時であった。




――――――ドクン

【っつ!?】


 突然、何かが逆流し、流れ込んできたような感覚をハクロは味わった。


 不快な物ではないのだが、はっきりと感じ取れたのである。



 ふとピポたちの方を見てみれば、彼女達も同様の感覚を味わったのか、戸惑うような表情になっていた




 直感で、リューの身に何かがあったのかもしれないと思ったハクロは、その主の方へ向き、驚いた。


【‥‥り、リュー様?】



 主であるリューの周囲に、黒い何かが渦巻いていた。

 

 もやのような、煙のような、言い表しにくいような不定形なものだが‥‥‥それから感じられるのは、「力」の一言であろうか?



 見る見る間に黒い渦は収束し、リューの体を覆った。


 そして、その形態はまるで衣のように、リューの身体を包んで風になびいた。



 リューの顔をハクロが見てみると、その目は光を失っており、死んではいないのだろうけど、心ここにあらずと言った、無表情になっていた。



「‥‥‥‥」


 何かをつぶやいたかと思うと、リューは高く飛びあがった。


【な、何をするんですかリュー様!?】



 己の大事な、大好きな主の突然の変貌と行動に、ハクロは一泊遅れて何とかそう問いただす。


 だがしかし、返事はない。



 空中に浮かび上がったかと思うと、マンイータープラントたちの方へ体を向けて、手を空中にかざした。



「‥‥‥‥」

【?】



 何かをつぶやいたようだが、ハクロには聞こえなかった。


 だがしかし、何かの魔法を唱えたようであり、その途端ぞっとするかのような気配をハクロは感じた。



 リューの体に纏われていた黒い衣が動き始め、前に出していたその手へ絡みつき、形を形成して一つの大きな両手剣へと変貌する。


 黒い光を纏わせ、鈍く光りながらも美しい造形の剣となった後、リューはそれを天高く掲げた。



 そして、黒い光が剣に集中していき、元々黒かったそれが、更に黒さの限界を超えて、本当に何も見えないような、暗闇とはまた違う黒い光を纏わせた。



「‥‥‥‥!!」


 何かをつぶやき、リューがその黒さを増した謎の剣を振り下ろす。


 すると、その途端に剣からその黒き光が放出され、一直線にマンイータープラントたちの中心へと向けて飛び出していく。



 身の危険を感じたのか、マンイータープラントは次々と大きな顎を持つ分身とでもいうべき部分を地面から飛び出させて、かばわせるかのように身を守った。


 だがしかし、その黒き光にはまったく意味をなさなかったようである。



 どんどん防いでいるその体を削り取り…‥‥いや、その黒い光の中へ引き込んでいるかのような、まるでものすごい重力で中に引き寄せてブチブチとえぐり取っていき、飲み込んでいく。





‥‥‥その光景を見て、ハクロはいつぞやか、初めてリューが発動させた『重力圧縮砲グラビティプレスカノン』の魔法を思い出した。


 あれは己の魔力が満タンの状態で、一気に消耗して解き放たれる魔法。


 その魔法に似ていると、思ったのである。



 ただ、その魔法と異なると擦れば黒い球体を生み出さず、黒い光を生み出し、剣にして放出した事。


 そして、無差別ではなく、明らかにマンイータープラントだけが飲み込まれていく点から考えて、全く異なる物であろう。





 防げないと判断したのか、マンイータープラントが逃げようと動き出す。


 だがしかし、防ごうとしてその黒き光に触れた時点で、彼らの運命は決まってしまっていた。



 逃げることもかなわず、マンイータープラントのみが吸引され、飲み込まれていく。


 すさまじい嵐のようにえぐり取っておきながら、マンイータープラント以外は飲み込まず、ただどんどんと飲み込み、そして消し去っていく。




 そして、最後の一片まで消し去り、マンイータープラントは根も残さずすべてが無くなった。



 その光景に皆があっけにとられながらも、ハクロは上空にいるリューの方に目を向けた。


 マンイータープラントを飲みこんだ黒い光が消えるのとほぼ同時に、リューの身体を纏い、剣にもなっていた謎の黒い力のような物は消えていく。


 そして、完全に消え去って…‥‥リューの身体が自由降下し始めた。



【まさか‥‥‥魔力切れ!?】


 魔力を出し尽くしたのか、その反動でリューはどうやら気絶したらしい。


 慌ててハクロは飛び上がり、リューを空中でキャッチしつつ、糸を利用して衝撃を弱めて地面に着地した。


【ピキッツ!!主はどうなっているの?】


 慌ててピポやファイ、ワゼが駆けつけ、ハクロの腕に包まれたリューの様子を見た。


 あの黒い衣のような物は完全に消え去り、元のリューへと戻っていた。


【何が起きたのカナ‥‥‥?】

『ご主人様の魔力、残り1と測定。魔力切れによる気絶のようですが、健康に異常はないようデス』


 気絶しているリューの容態を診察し、ワゼはそう告げた。


【リュー様・・・・一体何を貴方はやったのでしょうか…‥‥】



 ハクロに抱えられ、眠るように気を失っているリューには聞こえていないと分かりつつも、思わずハクロはそうつぶやいていた。


 ずっと、出会ったあの日から一緒にいた相手。


 家族であり、主であるリューの、先ほどの変化に驚きつつも、そっと優しく抱きしめ、気絶したその体をいたわるハクロ。


 不安を抱きつつも、今はとにかく主であるリューが命令を皆に下せない今、各々の判断で一旦この場から避難すべきだと一致し、ハクロたちはその場を離れるのであった‥‥‥




――――――――――――――

SIDEワゼ



…‥‥リューの気絶後、ワゼは彼を診察した。


 その体に異常は起きておらず、しいて言うなれば魔力を一気に消費したが故の魔力切れによる気絶状態であることぐらいであろう。


 ほとんど消費してしまった様であり、起きるにはおそらく魔力が回復しないとだめだろうと、判断した。


 


 そして、先ほどのリューの変化をワゼはしっかりと記録しており、何が起きたのかを理解していた。


 既に大昔の人物とはいえ、ワゼは機械魔王によって創られた作品。


 そのデータベースは膨大な量であり、最適な回答を導き出していたのだ。


 けれども、その回答にたどり着いたゆえに、ワゼは心の中で驚愕していた。





‥‥‥本当は、彼女はあのような化け物が出る可能性を知っていた。


 ミニワゼたちで不審人物を見つけ、何を企んでいるのかを把握し、その証拠もすべて押収した。



 でも、その企みを止めることはせずに、己の主の成長のために役に立ちそうだと判断し、一応万が一に備えて一気に敵をせん滅することもできたのである。


 けれども、その手に移る前に…‥‥主の成長をワゼが願っていたとはいえ、何かを目覚めさせてしまったようなのである。


 まだ片りんであり、完全なものではなく、すぐにその目覚めは終わり、眠りについた。



 だがしかし、その目覚めは、将来的に主にとって有益となるか、害となるか‥‥‥‥その判断は今のワゼにはつけがたい。



 もしかしたら、パンドラの箱のような物を開いてしまったのではないだろうかと、ワゼはこの時、初めて「後悔」と言う物を学んだのであった‥‥‥


 


果たして、今回のこの件はどうなるだろうか。

リューに何が起きたのかは、まだわからない。

けれども、その不安を抱きつつも、ハクロはリューを優しく抱きしめながら、目覚めるまでそばにいるのであった‥‥‥

次回に続く!



【一応、窒息しないように足も持ってお姫様抱っこの状態で‥‥‥】

【‥‥‥ハクロ、それ多分あとで主殿のメンタルにダメージがありそうカナ】

【背中に乗せればいいと思うピキッツ】

『‥‥‥一応録画中デス。あとでご主人様が目覚めたら見せましょうかネ』

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