3日目の最終日、開催前
短め
SIDEリュー
大学園祭3日目。
この日、アレン国王がこの学園祭の場へ訪問するそうで、前日のうちに全てを完璧にしようと、皆は東奔西走し、なんとかその準備を終えていた。
わざわざ国王が来るのだから、その為にも印象を強く持ってもらおうという考えからであろう。
…‥‥個人的には、あの国王は多分遊びに来る感覚に近いだろうし、そして途中で抜け出すような気がするけどね。
「その可能性の方が明らかに高いんだよなぁ…‥‥」
「お父様の事ですけど、その可能性は否定できませんわね。99%あり得るでしょう」
リューのつぶやきに、ヴィクトリアは苦笑いを浮かべてそう答えた。
ちなみに本来、宰相のカクスケという人がそばについて国王がやらかさないように見張るそうなのだが、昨日の血反吐の事で、どうやら本日休むことになって、実質的に国王を見張る者はいないそうだ。
「そんなのでいいのかこの国の国王‥‥‥」
ヴィクトリアとの婚約関係から将来的にお義父さんとも言えるのだろうけど、なんか老後の世話とか大変そうな人であろう。
心配をリューは抱えつつ、とりあえずワゼ伝いにミニワゼたちに見張らせようかと考えるのであった。
――――――――
SIDE???
「‥‥‥どうやら国王が来るようだが、首尾はいいか?」
「ああ、どうせ混乱もできるだけ大きくしてしまうためにも、巻き込めたほうが良いからな。抜かりはないはずだ」
大学園祭の最終日という事もあり、外部からの参加者たちの人数が増えている中、こそこそと動き回る者たちがいた。
「魔封印石の起動いつでも準備は完了。あとはその時が来れば、ぽちっとこのボタンを押すだけで、モンスターが解き放たれて相当やばいことになるだろう」
手元に持った起動用の魔道具を仲間に見せて、入念な準備が完了しているとその者は伝えた。
「よし、ならばタイミングの再確認だが…‥‥魔王となる可能性のある、とある魔物使いがその魔封印石の近くに最大限近付いたときで良いな?」
「ああ、それでほぼ確実なはずだ。封じられているやつは周囲に被害を確実にもたらすものらしいし‥‥‥‥まぁ、その封印を解き放った後に、我々は全速力で逃げねばいけないがな」
「巻き込まれるのは嫌だし、逃げ惑う人々に自然と紛れ込めばバレないであろう」
計画の最後の部分まで入念に話し合い、自分たちのターゲットを葬り去れるだろうし、この国に混乱を生じさせられるに違いないと、ほとんど彼らは確信していた。
‥‥‥だがしかし、実はその計画の「逃げられる」という部分が無くなっていることに、彼らは気が付かなかった。
そもそも、異国の者である彼らが他国で騒ぎを起こし、万が一にでもバレたら、彼らを雇っている国にとってはまずいことになる。
それ故に、魔封印石を彼らに送った者は、その中にいるモンスターで彼らごと葬り去って証拠隠滅をしようとしていたことに、彼らは気が付きもしなかった。
所詮使い捨て、本国へ生きて戻す気は無かったのであろう。
けれども、その企みすらも見抜く者がいた。
そして、しっかりとご迷惑をかけようとしている者たちを逃す気もなく、確実に証拠を集めようと動いていたことに、彼らも、その彼らを雇っている者たちも気が付かなかった。
すべては、その見抜いた者の手のひらの上であり…‥‥‥そして、その時は間もなく訪れる。
全てはとあるゴーレムの手の上の出来事。
されども彼女は被害を防ぎつつ、主の成長や力を付けるためにその企みを利用する。
全てが計算通りにいくとは限らないけれども、それでも成功すると考えて‥‥‥
次回に続く!!
‥‥‥なんだろう、既に裏ボス的存在が確立してしまったような気がする。
証拠隠滅?そんなことはさせないのデス。芋づる式に、根が切れる前に全て引き抜き、白日の下へさらけ出して、しっかりとその責任を取らせまショウ☆。