大学園祭準備
鼻炎か風邪かわかりにくい。
こういう時に、ズバッと分かるようなものがあればいいんだけどなぁ‥‥‥
SIDEリュー
‥‥‥4つの学園が合同で行う大学園祭。
その開催場所は、それぞれの学園から直線距離で結び、ほぼ同じ距離になる位置。
結果として、その場所は…‥‥
「『シュタイ平原』ってところか…‥‥ちょうどかなり広い平野で、そこに開催場所を建築するのか」
「工事は急ピッチで、大学園祭終了後は次の学園祭があるまで、他の学園との交流のための中継地点としても扱われるそうですわね」
開催場所が決定したことが知らされ、その場所についての情報が皆にいきわたる。
【雨とかは大丈夫なのでしょうか?】
【そのあたりは天候次第カナ。時の運に任せるのみカナ】
『あ、それは大丈夫デス。天気予報機能で調べたところ、開催時期は思いっきり快晴の清々しい空が広がるようですネ』
そんな機能がついているメイドはどうなのかと言いたいが、ワゼの言う事なので間違いはないだろう。
『ちなみにですがご主人様、この天気予報の機能は屋外で洗濯物を干す際に使用しますヨ。結構重宝するんですよネ』
「意外にしっかりとした理由があったな‥‥‥」
確かに、晴れるならきちんと屋外で洗濯物を乾かせるし、雨が降ると分かれば取り込むことが出来るだろう、きちんと考えられて付けられたワゼの機能…‥‥武装よりも必要な機能じゃないか?
『まぁ、曇りや雨ならば問答無用で雲をふっ飛ばすための機能もありますが…‥‥』
前言撤回。そんなことが可能ならば、ほとんどいらなくないか?
とにもかくにも、大学園祭に向けて、夢追い人育成学園ではその準備に大忙しである。
リューたちのクラスは出店を出すことにしており‥‥‥
「やるのは射的で、ゴムパチンコもといスリリングショットでやるタイプか」
こういうのはコルク栓が弾の空気銃と思うのだが、こっちの方がマイナーらしい。
「お子様用に弱いゴム、強力なものをやりたい方には強力なゴムと、色々分ける必要性があるのですわ」
【ついでに、私の糸製の超・強力なものも作ってみましたけど、誰にも不可能でしたので没になりました】
ハクロの糸製で、しかもガッチガチにしたものと考えると…‥‥だれも使えないような気がする。
「というか、ハクロの糸ってゴムみたいにできたっけ?」
【編み込み方に工夫したんですよね。まぁ、超・強力になり過ぎて、引っぱるにも力がすごい要りますし、扱えたのが私だけでしたので、せっかく作っても私専用の武器にしかなりませんでした】
そう言ってハクロが取り出したのは、一見普通のパチンコ。
だが、試しにリューが引いてみるとびくともしなかった。
例えで言うなれば、絶対に曲がらないような鋼鉄のパイプをアリが押して曲げようとしている感じだろうか。もしくは、絶対に考え方を曲げないような頑固おやじか狂信者のような感じかもしれない…‥‥違うかな?
‥‥‥確かにこれじゃ、常人じゃ不可能だよな。というか、これをハクロが扱えるのはどうなのだろうか。
細腕だけど、意外に怪力なハクロである。生活の支障が出ないように普段は抑えていて、自分の意志で戦闘時にその力を解放するわけだからなぁ…‥‥後方支援もできるけど、その力を考えると前衛にでてもかなり強そうである。
と、そこでふとリューは気が付いた。
「そういえばハクロ、今お前それを扱えるとか言ったけど…‥‥試射したか?」
【いえ、引けることだけ確認しましたが、弾を込めていませんよ?】
引っぱって伸縮性を確認しただけのようだ。
どことなく嫌な予感がして、とりあえずリューはハクロに、人が全くいない大空に狙いを定めさせた。
「ファイ、氷の魔法で的を作ってくれ。出来るだけ簡単に割れないようなガッチガチな奴を」
【いいけど‥‥‥あ、なんかわかったカナ】
ん?とファイは首をかしげたが、リューが何を考えたのかすぐにわかったようで、魔法で言われたとおりにそう簡単に砕けないような氷の塊を浮かべた。
「ハクロ、あの氷の塊に向けて撃て」
【了解。狙って狙って~‥‥‥ファイヤー!!】
ハクロが狙いを定め、発射したが‥‥‥
ジュゴォォゥゥゥゥ!!
ボジュボッツ!!
バッキィィィィィィィン!!
一瞬で、弾が燃え盛る火の玉と化して、そのまま氷の塊を貫通し、その纏っていたソニックブームのせいか一気に砕いて、そのまま空のお星となった。いや、途中で燃え尽きたかな?
「‥‥‥ハクロ、何が起きたのかわかるよな?」
【えっと‥‥‥あれですね。超強力に作り過ぎちゃいました】
『計測結果‥‥‥レールガンレベルには届きませんでしたし、途中で弾自体が耐え切れず崩壊したようですが…‥‥』
あまりの強力さに、その場にいた全員は顔をひきつらせた。
どうやらハクロの糸で、見た目はふざけていても威力がシャレにならないトンデモ兵器が出来てしまったようである。機械でもなく、かなり原始的な武器なのにそれを超えそうな威力を誇るパチンコって‥‥‥。
ハクロとしては、適当な狩りの時にでも使用するつもりだったようだが…‥‥獲物が爆発四散しかねない。
よほど糸も編み込まれているようで、壊そうにもなかなかほどけないし、千切れない。
仕方がないので、万が一の最終兵器の一つとして、ピポの能力で収納してお蔵入りとなったのであった。
‥‥‥なお、最終兵器にはリューの魔法の一つがあるのだが、こちらはこちらで扱いにくいのが難点である。
「ハクロ、もう二度と同じものはつくるな。お前しか扱えないようだけど、世界を探せばさらに力自慢とかいるだろうし、迂闊にやったらあんな武器でいろいろとやらかされかねないからな」
【はい。幸いにもあれ1台しか作っていませんでしたし、流石にもうやめておきますね】
改めてモンスターはモンスター並のやばい物を生みだせるのだと、リューは認識したのであった。
「しかし、今まであんな兵器のような物を作らなかったのだろうかアラクネのようなモンスターは…‥‥」
【糸を大量に消費しますし、そもそも糸で遠距離攻撃もできるので必要性が実は余り無かったりするんですよね。ですので、同じようなものは無いかと】
少なくとも、アラクネの一族的に考えても利益はほとんどなさそうだし、忘れがちだがアラクネの糸は高級品で、市場に出回ることはほとんどないそうなので、同様の武器が作られることはないだろう。
‥‥‥考えたら、ハクロの糸も超高級品とも言えるのに、ホイホイ気楽に使っているよな。まぁ、良いけどさ。
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SIDEドスパラ&エレクト
その頃、フラッター学園の方ではこちらも大学園祭に向けての準備が進められていた。
高学年となり、周囲には頼れる先輩としての地位を樹立していた、リューの兄であるドスパラとエレクトはそれぞれ指示を出し、その準備を効率化させていた。
「おい、そこの材料はあの班へもっていってくれ!!」
「もうそろそろ終わるか?ならばあそこの班の手伝いをしてくれないだろうか?」
効率化のために作業を分担して班にまとめ、指示をてきぱきとだすドスパラとエレクト。
次期辺境伯爵領の当主やその補佐となるであろう二人の姿に恋い焦がれる女学生も少なくはない。
「せ、先輩!!こちらに休憩用の飲料水を用意いたしました!」
「汗拭き用のタオルです!!」
「おお、ありがとう」
「丁寧に使わせてもらうね。ただ、僕らなんかよりももっと他の人の手伝いをしてくれたほうが嬉しいかな?」
「「は、はい!!」」
にこやかにいった二人の言葉に、顔を赤くして従う女学生たち。
ある意味天然ジゴロのようなものであり、権力や金がありそうな部分には興味を持たず、その人格に惚れている人が多いようである。
「にしてもだな、やっぱり馬鹿王子がいなくなったおかげか、スムーズに物事が動くな」
「ああ、あいつがいたらほぼ確実に自分勝手な事をするだろうしなぁ」
第3王子が通っていたが、消えたことによって学内の空気が清浄化され、仕事のはかどりやすさに二人は笑う。
なお、本当は支持する立場よりも自ら率先して動きまわりたい筋肉馬鹿の知恵があるタイプなのだが、周囲の女性生徒たちがわざわざ動いて負担をかけないように頑張っていたりするのだが‥‥‥ある意味、辺境伯爵家の息子たちは、誰もがジゴロのようなものであった。
ゴリラマン?ああ、3男でしたらリューと同じ学校にて、自分のクラスのために働いています。
考えてみると、この人が一番出番少ないんだよね‥‥‥‥兄弟仲はいいけど、出演率は
リュー》圧倒的な壁》ドスパラ&エレクト》ゴリラマン
って感じかな。
次回に続く!!
‥‥‥そのうち、ヴィクトリアの兄である第1王子や第2王子を出演予定。名前がほとんど出ていなかったけど、ようやく出せそうである。ちなみに、元王子の人も…‥‥末路的な意味で出そうかな。