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たまにはドカンと

本日2話目

頭痛がして、頭痛薬を飲もうとしたら切れていた。

きちんと残りがどれだけか、把握する必要があるんだよねぇ…‥‥

SIDE夢追い人(ドリーマー)育成学園:職員室


「ど、ドーラ学園長…‥‥この企画を今年やるのでしょうか」

「そうするつもりなんだよねぇ。今年はどうも、何処の学園でも問題が起きているようで、陰欝な雰囲気を吹き飛ばすためにという事で、決まったんだよねぇ」



 職員室にて、集まっていた教職員たちは、ドーラ学園長のその言葉と、渡されてきた細かい資料を見て驚いていた。


「おっもーしろそうな企画だっけーど、大丈夫なーんっですかい?」


 企画書類を読みながら、教員の一人のドッゾッウがドーラ学園長に尋ねる。


「ああ、大丈夫だ。そもそもこの夢追い人(ドリーマー)育成学園の生徒たちは、将来的に夢追い人(ドリーマー)となって社会へ羽ばたいていく者たちだねぇ。当然、依頼やその他の機会に様々な階級の者たちや、国々へ向かう事もあるだろうし、これは仮の予行演習に過ぎないだろうねぇ。けれども、これが成功すれば、毎年恒例の行事としても取り入れる価値はあるかもしれないねぇ」


 その質問が来たが、ドーラ学園長はしっかりと答えた。


 

「この国の4大教育機関‥‥‥『ロイヤルード学園』、『フラッター学園』、『ゼウストリア学園』、そして我が『夢追い人(ドリーマー)育成学園』合同主催、大学園祭の開催決定を、ここに宣言しよう!!」






――――――――――――――――――――――――――――

SIDEリュー



「‥‥‥っと、腕を掲げって勢いよく学園長は宣言したのだっが…‥‥グキリと音を立てて、そのまま医療機関へ搬送されちゃったんだよね。ワッターシから見ても、あれは痛-っつ!!って感じだったーよ!」


 学園長の悲劇を聞きつつ、クラス内ではどことなくドーラ学園長を哀れに思った。


 今日の放課後間近の、滅多にないホームルームの授業。


 そこで、最近カイゼルひげからちょび髭に変えようと悩んでいるらしいドッゾッウ先生は、ある知らせを告げてきた。


「先生!!大学園祭ってつまりいつも以上に規模が大きい学園祭という事ですかね?」


 クラスメイトの一人が、そう尋ねた。


「ああっ!!とんでもなく規模が大きい学園祭だぁぁっつ!何しろっ!!この国の学園4つが合同で行う故に、それぞれの学園から線を引いて、距離が等しい場所に特設会場が作られるんだ!!」




 学園祭‥‥‥それは本来、各クラスが出店を出したりして、そこを回って楽しんだりする行事である。


 この夢追い人(ドリーマー)育成学園でも毎年秋ごろに行われているのだが、その規模は小さい。


 出店というよりも、小さな縁日程度の規模であり、そこまで盛り上がるわけもないのである。


 他の学園も同様、あまり大きな規模のものはやっていなかったそうなのだが‥‥‥今年は各学園で様々な事があったからと言う理由があるそうだ。



まず、王族や貴族が通常通う『ロイヤルード学園』では、今年になってこのザウター王国の第1,2王子たちが、いつも以上にきちんと盛大なものをやろうと計画をしていたらしい。


 次に、貴族や平民が一緒に通う『フラッター学園』ではこの時期になると既に噂が来ていたのだが、あの第3王子が廃され、ベルモアという神聖国のスパイらしい人物を入れてしまったという事で、何人かの教員が汚職などもしていたことを含めて一斉検挙。そのせいで学内が少々お通夜状態に。



 また、職業訓練に近い平民用の『ゼウストリア学園』では、粉塵爆発がなぜか発生し、校舎が半壊。幸いにも死者は出なかったのだが、こちらはこちらで屋根なしの教室になったりと悲しい状態に。



 そして『夢追い人(ドリーマー)育成学園』は、夏休み前の七不思議騒動…‥‥何とか解決したとはいえ、トラウマが残っている人など、やや尾を引いているようなのだ。



 それぞれの学園での騒動などを考え、ちょっと悪いムードになりそうだからという事で、今年は各学園で合同で大学園祭を行う事が決定したようである。


 今回その大学園祭が成功すれば、売上金が多く手に入り、それぞれの学園に均等に配付されて、改装工事をしたり、壊れた個所の修理などがしやすくなるし、この際各学園との交流を深めてみようという事が、主な目的なのだとか。



「他が困れば、皆で助けあう!!助け合うついでに、皆で楽しめるようにっつ!!という事で決定したのだっつ!!」


 ついでに、アレン国王なども視察しに来る予定らしく、うまいこといけば各学園の良いアピールになるはずでもある。


「そこでっつ!!その大学園祭でっつ、このクラスも出店をするなら何かいい案がないか、張り切っていこう!!」


 ぐっとポージングし、張り切るドッゾッウ先生。


 久しぶりに見たような気もするが、どうもこの学園祭を亡き学園長の分まで楽しみたいというのがクラスの皆に伝わった。


【いやリュー様、学園長は搬送されただけで亡き者になっていませんからね】

「そういえばそうだったな」


 生きているのに、ついうっかりで亡かった者にしかけました。


 というか、搬送されたというけど駄学園祭とやらに学園長は出席できるのだろうか?




 とにもかくにも、面白そうなイベントに、クラス内は盛り上がり、開催までに良いものをやってやろうと一致団結し始めるのであった。





―――――――――

SIDE???


「‥‥‥そうか、あの馬鹿の利用はもうできないか」


 ザウター王国内のとある森林。


 その奥地に隠された洞窟の中で、集まっている者たちがいた。


「ええ、せっかく快楽やその他を教え込み、沼にはまるようにしてあげたけど‥‥‥馬鹿ゆえに、馬鹿をやらかして利用価値がないと分かったからもう切り捨てたわね」

「しかし、馬鹿ゆえに情報もあまりなく、改めて調べれば古すぎる者ばかりとは・・・・・・こういうのもなんだが、本当にこの国で賢王とも暴れん坊将軍とも呼ばれるほどの男の息子だったのだろうか?他の王子二人はまだそれだと分かるが‥‥‥」

「親が良くてもその子が良いことは限らない例としてはわかりやすいことだけどね」


 

 彼らはそれぞれこの国で得た情報を話し合い、交換して確かめ合っていく。


「ま、何とかそれらしい情報は得たけどね」

「本当か」

「まぁ、情報というよりも‥‥‥おそらくターゲットになるような物を見ちゃったかしら」


 そのうちの一人‥‥‥かつて偽名でベルモアと呼ばれていた者は、ニヤリと笑みを浮かべた。


「馬鹿王子が、その人物の周囲にいた従魔を得ようとしたけど、迂闊に騒ぎを起こさないように丸めたときがあったのよね。‥‥‥その従魔の持ち主が、おそらくこの時代に魔王として現れる可能性が大きいと分かったの」

「勘か?お前のそれは当たりにくいのだが…‥‥」


 ベルモアだった者の言葉に、他の者は疑わしいような顔になる。


「失礼ね、トランプとかならまだしも、確かにルーレットなどだと100発全部外れるけど…‥‥こういう人に対しての勘は余り外れないわ」

「外れることもあるのだと言っておるのも同義だが‥‥‥して、根拠は?」

「魔王というのは、大抵何かがとんでもないものがある者たちが多いのよね。例えば、機械魔王だったらゴーレムに関する技術のように、人並外れた部分があるのよ。で、今回その候補として思えた人物は‥‥‥占めてもいない、まるで夜を思わせるような漆黒の黒目黒髪の男ね」

「黒目黒髪・・・・確か、異質な力を持つ人物に出る色だったか」

「その力までは見ていなかったけど‥‥‥間違いなく、本物の異質な存在だと思えたわね。ただの少年のように見えるけど、秘めている力はすさまじい、そんな感覚があったのよね」



 その時の事を思い出したのか、ベルモアだった者は背筋を震わせた。


 あの日、馬鹿王子と共に居たときに見かけた少年。


 雰囲気は普通のはずなのに、それでも何かを持っているかのような感覚があったのである。


「それに、彼は従魔を連れていたから魔物使いなんだろうけど…‥‥その従魔もとんでもないわね」

「ギガンテスやオーガでも引き連れていたのか?」

「いや、それは単に恐怖を与えるだけのやつね。彼が連れていた従魔は‥‥‥見る限り、おそらくはホーリアラクネ、フェアリースライム、スピリット・スキュラ、となんかメイドっぽいゴーレム。細かい部分はわからないけど‥‥‥そもそも戦力的に見ても、わかる人なら多分、相当なモンスターだとわかるわね」


 深刻そうなその言葉に、ごくりとその場にいた者たちは唾をのんだ。



「人型のが多かったということか」

「そうね、でもみんな‥‥‥美人だった。女の私が自信を無くすぐらい、本気で着飾って化粧されれば、多分この先、男を惑わす自信を無くすぐらいね…‥‥モンスターなのに、人の求める美を突き詰めたような容姿ってありなの!?魔王とかよりも、もうこの際改めて美についての追求のための修行の旅に出たくなったのよ!!」


 途中から泣き始め、心からの叫びを放つベルモアだった者に、その場にいた女たちは同情し、男は声がかけづらくなった。


 魔王云々よりも、女としてのプライドを砕かれたようなものであり、一応わかってやっているとはいえ、汚れ仕事のようなことをしていた己に彼女は悲しくなったのであろう。


 それでもこの場から抜けないのは、ここで逃げたらさらにみじめになるとわかっているからである。



「な、なんかすまん‥‥‥」


 これには、この場で進行役をしていた者もなんとなく謝りたいような気持ちになった。



「と、とにもかくにもだ‥‥‥その魔物使いの少年とやらが、魔王になる可能性があるということでいいな」

「恐らくね。まだ可能性というだけで、確定というわけではない。けれども、そもそも連れている従魔がとんでもない者ばかりという時点で相当な脅威だけどね」

「ふむ‥‥‥ならば、魔王だと仮定して、目覚める前に亡き者にしたほうが良いか」

「今の時期が一番チャンスかもね。彼は確か、この間貴族たちと決闘して全勝したと言う話があるわ。その中で、まだギリギリ生き残っている者たちの中でそそのかせるものがいたら、そいつを利用したほうが良さそうね‥‥‥」


 話し合われ、練られていく企み。


 しかし、彼らは知らなかった。


 ようやくその彼らの居場所を突き止めた存在が、誰にも気が付かれないようにずっと記録していたことを。


 そして、逆にその企みを利用して、その者の元が仕える主の成長に役に立てようと、彼らの計画を更に変更して練られまくっていたことを‥‥‥

『仕える御方に害があるのであれば潰しマス。ですが、烏合の衆が考える様な愚者のような企みであれば、逆に仕える方の成長や、力を与えるために利用をしてやるのもまた手なのデス』

馬鹿をやらかしそうなもののリスト作成、悪事の材料や、モンスターの分布などもついでに確認されていく。

利用できるのであれば、利用しつくしたほうが面白そうですかね?

次回に続く!


…‥‥なんだろう、機械魔王の作品が、魔王以上に魔王らしく裏から操っている感があるよ。

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