数日経過して
本日4話目!!
珍しく4話目まで出したかな。基本1日当たり1~3話程度なので、そこのところはご了承ください。
ハクロがリューの従魔になってから数日が経過し、すでに家族のように受け入れらていた。
そもそも、ハクロの種族が「ホーリアラクネ」とかいう幻獣種の珍しいモンスターである以前に、こうやってモンスターがそばにいること自体がこの辺境だとなかなかないからであり、物珍しさがあったのだろう。
と言うか、辺境だからこそ出てほしいと思う自分がいるのはどうなのだろうか‥‥‥まぁ、安全なのに越したことはないけどね。
出ない原因としては、お父さんが毎日領内の見回りをして、剣を持って威圧をしまくっているからだという話もあるそうな。
実質的な経営権は母の方にあるらしいので問題はないそうだが‥‥‥外で愛人を作っている可能性はないのだろうかと、一時疑いを持ったことがあった。
その事が気になって、母上に相談してみたところ‥‥‥
「大丈夫よリュー。以前娼館に通っていたところを取り押さえて、ちょっと痛い目に見てもらってからそんなことはしなくなったと確信できるようになったのよね。まぁ、浮気でもしたらその当時の事を再現するだけなのよ」
と、にこやかな笑顔でそう言われた。
‥‥‥発していた雰囲気は、一瞬背筋に寒気を感じさせたけどね。なんか血に濡れた包丁を持って追いかける母の姿を幻視したのは気のせいだろうか?気のせいであってほしい。
まぁ、そんなこんなで、今日は屋敷の裏手でハクロにちょっと組み手をしてもらい、訓練を俺はしていた。
辺境伯はいわば国防の要であり、一応日々鍛えることが重要だとか。
で、先日ハクロと出会った際に魔法を覚えたり、モンスターを倒したりしたものだから、この際予定を前倒しにしようかと言って、俺に武術などをお父さんは叩き込もうとした。
家庭教師とかを呼んで、受けさせようとしたそうだけど‥‥‥ここで、ハクロがその相手に乗ってくれたというわけである。
何しろハクロは見た目的には、お世辞にも戦闘向きとは言えないけど実は結構強い。
あのでっかい鷹のようなモンスター‥‥‥そいつに一度は捕まったとはいえ、逃げる際に足を糸で切断したり、身軽な身体能力は目を見張るものがある。
あと、意外に力が強いので相手としてもなかなか不足はなかった。
‥‥‥家のお手伝いという事で、お父さんの書斎にあった本棚の整理の時に、本が詰められた状態で棚をそのまま軽々と持ち上げていたからね。華奢な腕をしているとはいえ、モンスターだから見た目以上の能力があるってか。
ついでに、ちょっと模擬戦をしていたら途中でお父さんが自分も相手をしてみてもいいかという事で、本気でやってみた結果、一瞬にしてハクロが糸でお父さんを簀巻きにして勝利したのは驚きであった。
あの後、お父さんはしばらくへこんでいたよ。
息子の前で良いところを見せようとしたようだけど、瞬殺されて心がボキッといったらしいからね。
お父さんって強いよ?でもハクロの強さが上回っちゃっただけだと何度も繰り返し言って復活させたあの労力が一番つらかったかなぁ‥‥‥
そんなどうでもいい思い出は置いておくとして、今はハクロとの模擬戦に集中しないとね。
「『重力銃弾』!!」
魔法で作った漆黒の小さな弾をいくつも創り出し、指でピストルの形を作って狙いを定めて撃つ!!
タァン!! タァン!! タァン!!
【甘いですよリュー様!!】
だが、すべてハクロは軽々と回避してしまった。
「ああー!!やっと当たるかと思ったのに!!」
【リュー様の場合、わざわざ指で狙いを定めているからですよ。その軌道を読めば大体避けることは可能ですからね】
悔しがるリューに対して、ハクロは丁寧に今の失敗の原因を解説する。
‥‥‥あの時、なぜか頭の中に思いついた魔法の数々をこうやって模擬戦をして実践してみているのだが、なかなかうまいこと行かないのが現実である。
今使った魔法『重力銃弾』は、当たれば体が一気に重くなるという効果がある魔法で、相手の動きを封じるのに使えるようだが‥‥‥ハクロがひょいひょいと身軽に回避しちゃって全く当たらない。
ハクロ強いな‥‥‥でも、あのタカのようなモンスターにやられていたことを考えると彼女も油断するときがあるのだろうな。
【考え事をしている場合ですかね!!】
「あ!?しまった!!」
ついそう考えていると、ハクロにいつの間にか後ろに回り込まれて、
ぎゅむっつ!!
【確保ー!!】
ハクロに背後から抱きしめられて、この模擬戦は俺の負けになった。
相手に背後を取られて攻撃されれば、負けのようなものであるため、背後をとれば勝敗が決まるルールなのである。
でもね、抱きしめられるとその驚異の胸囲が凶悪な威力を放つんですが!!
背後にものすっごい柔らかい感触があるんですけど!?
今の肉体年齢が5歳児とはいえ、精神年齢的には成人のようなものだからこれはこれでキッツいものがある。
‥‥‥まぁ、どうでも良くなってくるけどね。ホーリアラクネの特性故か、どうも何かしらの癒しの波動とでもいうべきものが彼女から出ているようで、まるで何か暖かいものに包まれているかのような、母性とでもいうべき様な安心感があるというか‥‥‥うん、まだ俺身体的に5歳だからセーフセーフ。
ついでに彼女の蜘蛛の部分の背中に寝かせてもらったけど、これはこれでなかなか寝心地が良い。
ついうっかり昼寝をしたりして、起きたらいつの間にかハクロが自身の糸で編んでいたシーツをかけられていたりしたよ。
ハクロの糸は高級品のようで、高値で取引されることもあるようだけど……まぁ、このぐらいの独占は良いだろうな。
‥‥‥ハクロの蜘蛛の胴体は、ちょっと毛がふわふわと産毛のように生えているイメージである。
リアルな蜘蛛は嫌いですけどね。なんか書いてしまうのはどうしてなのだろうか‥‥‥つい検索してリアルな蜘蛛の画像でビビってしまうほど作者は蜘蛛嫌いなんですけどね。