悩みの夜
一つのイベントかな
SIDEリュー
‥‥‥謁見後、リューたちは城下街の適当な宿屋に宿泊し、頭を抱えた。
「‥‥‥面倒事だと思っていたら、とんでもない爆弾をアレン国王が落とすとはな」
【人語からショックでモンスター語に戻っちゃいましたけど、何を言っているのでしょうかあのおっさんは…‥】
【主殿に縁談話‥‥‥と言うか、あの娘との婚約話とは、予想の斜め上を行って何をいえば良いのかわからないカナ】
【家族になるのピキッツ?それなら良さそうだよー?】
『まぁ、メリットとデメリットを考えると、ご主人様にとってそう悪い話ではなさそうデス』
リュー、ハクロ、ファイは今回の国王から持ち掛けられたヴィクトリアとの婚約相談話に複雑な気持ちでいるために頭を抱えたが、ピポは気軽に考えて、ワゼはどうなるのかという状況判断をしてそこまで悩んでもいないのであった。
「いや確かにさ、ヴィクトリアと婚約するのが嫌かと言われたら‥‥‥別に嫌ではないかな」
別にヴィクトリアをリューは嫌っておらず、気軽に話せるような友達のような感情を抱いてはいたので、今回のような婚約の話が出たとしてもそこまで拒絶することはしない。
メリットとして、王族の庇護下にあるようなことになり、面倒ごとを吹っ掛けてくるような輩をその場でつぶしたり、かけてこないようにできたりして、さらに夢追い人として生活をした際に、王城から何らかの支援を受けることが可能かもしれないのである。
だがしかし、デメリットとしては‥‥‥
「元々彼女は第2王女であり、彼女と婚約するとなれば王族とのつながりを得ることができる」
【そこを、誰かが狙っていた場合に悪意ある攻撃を仕掛けられてきそうなんですよねぇ】
権力だのそう言う事はどうでもいいが、王族に目がくらむ者たちがリューたちに悪意あることをしでかしかねないと思えるのだ。
そもそも、このメンバーの面子からしても、見た目が美しい従魔たちや、その素材も高級品だったり、能力が高かったり、機械魔王の遺産だという時点で、いつ誰かに狙われてもおかしくはないのだ。
そこに、ヴィクトリアとの婚約話が出てきたのであれば‥‥‥ほぼ間違いなく、邪魔するためにとか、抑えていた欲望を活発化させる輩が出るのは間違いないだろう。
「今日はまだ仮ということで正式にはしてないが…‥‥明日の昼には判断してくれともう命令になっていたしなぁ」
【まぁ、こういうことは最終的にリュー様次第ですね。従魔である私たちの判断ではなく、その主であるリュー様が決めなければいけません】
はぁ、と溜息をつきつつ、真面目な顔になるハクロたち。
皆で相談したとしても変わらず、結局リューの判断によって決めなければいけないのだ。
【その判断がどの様な事でも、私たちは別に異議を唱えません】
【主の言うとおりにするピキー!】
【主殿も男の子であれば、男らしくずばびしっつ!!っと決めればいいカナ】
『機械魔王様の語録から引用するならば‥‥‥「迷うならとことん突き詰めろ。そして、その最後の決定を自身の判断でしなければ、人はいつまでたっても成長はできないだろう」ですかネ?』
ワゼの制作者の機械魔王‥‥‥なかなかまともな事を言っている。
確かに、自身で決定しなければこの問題は解決しないだろう。
そう思い、リューは一晩悩み続けるのであった‥‥‥
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SIDEヴィクトリア
「ふわぁぁぁぁぁぁっ!!」
リューが宿屋で悩んでいるその頃、ヴィクトリアは王城の自室にて、ベッドにもぐりこんで顔を赤くして悶えていた。
自身の父親であるアレン国王が、まさかのヴィクトリアの婚約者にリューを誘ったことである。
返事は明日の昼までにしてもらってはいるが、心の底で好きだと思っていた人を父親に見ぬかれ、メリットなどを考えられてはいても、知られるのはどこか恥ずかしいのである。
リューが婚約者に選ばないのであれば悲しいけれど、婚約者になってくれてもそのうれしさと言う感情にどう向き合えば良いのかわからない。
ゴロゴロとベッドを転がり、悶えるヴィクトリア。
明日の昼のリューの返事を待ちつつ、まるで遠足前の子供の気持ちか、それとも死刑宣告をされた囚人の気持ちか。
どちらの気持ちなのかはっきりせず、翌日まで彼女は眠れないのであった‥‥‥
果たして、リューが出す答えやいかに?
ヴィクトリアの婚約者になるのか、ならないのか、それとも別の手があるのか。
次回に続く!!
新作を投稿開始いたしました。興味があれば、そちらもどうぞお楽しみください。
‥‥‥なお、悶えている様子はアレン国王が記録していたりして?




