安全という言葉はないのだろうか
道中話かな
SIDEリュー
キュッ キュッ キューのキュキュキュキュキュッツ!
「ふぅ、だいぶ縛ったかな?」
「ぎっちぎちで血管が浮き出そうになっていますわね」
「問題ないですよ。【私の糸に少しだけ癒しの】コホン、またモンスターの言葉になっていましたね」
『簡単に説明するならば、その糸で拘束されるならギリギリ生きていられる様な治療が常にされているのと変わらないという事デス』
「と言うか、捕縛するときの音がものすごく軽快な音だったような気がするカナ」
ハクロの説明を、ワゼは残りの襲撃者たちを踏みつけて縛り上げながらそう続けた。
現在、王城へ向かっての馬車の旅だが、王族であるヴィクトリアの馬車に乗せてもらっている。
そして、当然王族の印がある馬車なので襲えばただではすまないと分かっているはずなのに、なぜか襲撃をかけてくる者たちをリューたちは撃退・捕縛しているのであった。
そもそもヴィクトリア自身が強いようで返り討ちに出来ているようだし、護衛の人達もいるので対処可能だし、なんでこの人数相手に襲撃をかけて成功すると考えるのだろうか。
「こういう襲撃者たちって、王族を狙うような方々が送ってきますからね‥‥‥実力をわきまえていない馬鹿のようですけどね」
「馬鹿は馬鹿~♪【魔物使いとかにしかわからない言葉で馬鹿にし続ける~♪】」
「ピポ、それ少し人の言葉になっているカナ」
くるくる回りながらおちょくって楽しんでいるピポ。
純粋な故に素直な言葉を出しているので、ものすっごい襲撃者たちに精神的なダメージを負わせているようだ。
ちなみに、今ハクロたちは王族への謁見という事もあって、何かあってもいいように人の言葉を練習中。
普段はモンスター語で、今は人の言語になっているのだが‥‥‥やっぱり母国語?とでもいうべきモンスター語のほうが話しやすいようで、人の言葉から切り替わったりしやすい。
ま、帰るときには普段通りの言葉に戻すけどね。普段から離している言葉の方がやっぱり話しやすいからね。
襲撃者たちをこのまま連行するのもいいけど、人数が多くなってくると食料とかを考えてかなり面倒である。
「裸磔、少々落書きして放置したほうが良いかもね」
「流石にそれは‥‥‥せめて、全身脱毛の刑に処して放置すればいいかと」
「待て、そこはこの超痒くなるかゆみ止めならぬかゆみ促進薬を塗り付けて、手足を捕縛して放置したほうが良いカナ」
「んー、いっその事もいで放置する?」
『手足の骨を砕いて、地面に首から下だけ埋めればいいのと思うのデス』
「甘いわね。針とかあれば、爪の間にブスリブスリ一本一本丁寧に刺して、紙があればちょっと指先を斬って、そこに塩を塗り込むのが一番ですわ」
((((その発想の数々が怖すぎるんだが!?))))
リューたちの会話を聞き、他にいた護衛の人達は襲撃者たちに少なからずの同情を抱くのであった。
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SIDEアレン国王
「‥‥‥ふむ、襲撃者か」
王城にて、アレン国王は早くもヴィクトリアに向けられた襲撃者たちの情報を得ていた。
国王と言う立場柄、その権力を狙う者や存在を疎ましく思うような輩がいるのは理解している。
その為、手軽なところで狙ってくる者たちもいるだろうと予測し、諜報員たちを放っているのであった。
「証拠の数々も集まってきているし、これで『アレ』に向けての念のための道具として扱えるかな」
襲撃者たちの身元や依頼者などの証拠を集め、めいいっぱい利用してやろうと腹黒い笑みをアレン国王は浮かべるのであった。
「そうだ、せっかくだし城下街の方で新作のお菓子が売り出されているんだっけか。買い物に行こうかね」
「待ってくださいよ国王陛下ぁぁぁぁぁ!!」
‥‥‥最近、アレン国王の脱走の気配を察知できるようになってきた宰相のカクスケが部屋に突撃した時には、既に置手紙しか残されていなかったのであった‥‥‥
‥‥‥利用できるものは利用し、出来ないのであれば利用できるように工夫をこらす。
襲撃者が来るのであれば、その証拠を集めて利用させてもらう。
良く仕事から逃げてあちこちうろつき、臣下たちの心労を重ねるとはいえ一応これでも国王。そんなアレン国王の企みとはいったい何だろうか‥‥‥次回に続く!!




