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ある昼休み

モフモフが欲しいのに、なぜそうならないのか…‥‥

次に従魔が出る時は、絶対にモフモフがあるやつにしたい。

 ブリテンからしばらくたったある日の昼休み、リューは食堂にてハクロたちと昼食をとっていた。


「‥‥‥ワゼが食堂の調理場へ消えたと思っていたけど」

【見た目が変わらないのに、料理の味がレベルアップしていますよね】

【というか、あのメイド、従魔なのに私たちが言うのもなんだけどより一層自由な奴カナ。うまいから良いけど‥‥】

ピキ―ッツ(おいしーい)!!】



 ワゼが調理場へ向かった時点で察するべきだったのだろうけど、昼食の味が格段に向上していた。


 そのせいか、いつも以上に皆がバクバクと注文して食べているんだよねぇ‥‥‥




 ワゼは従魔扱いのゴーレムなのだが、その本性がメイド‥‥いわば世話好きな面の影響があるのか、食堂の調理場へリューが止める前にさっさと向かい、手伝ったようなのである。


 調理が得意な様で、料理の見た目は変えずに味を格段に向上させる手腕は素晴らしいのだが、これ彼女がいなくなった場合が怖いな‥‥‥



「リューの新しい従魔でしたっけ?料理がまともにできる方がいるのは心強いですわよ」


 ヴィクトリアがそう言いながら、向かい側でいつもよりおいしそうに昼食を食べていた。


「そういうもんか?」

「ええ、夢追い人(ドリーマー)になると野宿することがあるですわよね?となれば、食料を現地調達する機会も多くなり、そこでどうやって調理をすべきか考えることが多くなりますもの。簡易携帯食のようなものはありますけど、普通持てる量も限られていますし、その場での調理によって、料理の腕がいいと士気向上できたりしますからね」


 ヴィクトリアの言葉に、リューはなるほどと納得する。


 おいしい料理があれば頑張れるけど、まずい料理だと士気が下がる。


 調理がうまい人がいる方がいいというのは理にかなっており、ワゼを従魔に出来たのは良かったことだと改めて思うのであった。



 ただ、戦闘機会もあるだろうし、その時にバランスを考えると‥‥‥前衛が少ないのが少し問題である。


 今のところ、戦闘時にはピポが前衛、リューとハクロとファイが後衛と言うバランスであり、ワゼの場合は‥‥‥最終兵器?とでも言うような構成なのだ。


 そのあたりは、夢追い人(ドリーマー)になるまでの課題だろう。


 従魔を増やしたりするのもいいし、もしくは他の夢追い人(ドリーマー)を誘うのもいいだろう。




「‥‥‥そう考えると、ヴィクトリアとかも理想的だよな」


 ふと、そう考えて思わずリューはそうつぶやいた。


「へやぁぁぁぁ!?い、いきなり何を!?」


 と、そのつぶやきが聞こえて、なぜかヴィクトリアが一瞬でゆでだこのような状態となった。



「あ、いや、俺の方のメンバーで前衛が少ないし、ヴィクトリアってぶっちゃけ前衛向きだから加わってくれた方がバランスが良いかなと‥‥なんでそんなに顔を赤くしているのさ?そしてなぜ理由を聞いてから残念そうな顔と怒った顔に、」



ドゴッツ!! バキィッ!!







「‥‥‥勘違いさせるような言葉は慎んでほしいですわね」

【いや、リュー様は天然ですし‥‥‥同情は少ししますけど】

【おーい、主殿生きている‥‥‥カナ?】

【撃沈したッピキ】


 食堂で、起きたその恐怖により、食欲が失せた生徒が続出したという。


 また、その様子を見て嫉妬や怨嗟の目線がリューに久し振りに来たのであった。


「ああ、それはそうとハクロさん。お父様‥‥‥国王陛下からリューへこの手紙が届いていますわ」


 ふと、思い出したかのようにヴィクトリアはポケットから手紙を取り出し、気絶しているリューの代わりにハクロに渡した。


「あとで部屋にて確認すればいいそうですし、とりあえず今日はここで失礼いたしますわね」


 そう言い、ヴィクトリアは食堂を去ったのであった。


【‥‥‥あれが世にいうツンデレを超えたヤンデレってやつピキッツ?】

【違うと思いますよ?と言うか、ピポはどこでそんなことを学んだのでしょうか‥‥?にしても、国王からの手紙ですか‥‥どう考えても面倒事しかないですわね】

【あったことはないが…‥‥まぁ、その反応から見て面倒くさそうな人と予想できるカナ】

『政治事で有能だけど、その分ハチャメチャな自由人だという情報はありますから、間違いないでしょうネ』

【その通り…‥って、いつの間にワゼがいるんでしょうか】



 いつのまにか横に立っていたワゼに、ハクロは少し驚いた。


『先ほどの会話からいましたヨ?【いや、リュー様は天然ですし‥‥】あたりからデス』


‥‥‥影が薄かったというべきか、それともわざとステルス性能を高めていたのか。


 ツッコミを入れようかと思ったが、今は気絶したリューを抱えて、介抱に専念するハクロたちであった。



『‥‥‥ご主人様の罪作りな体質は、多分あの方と同じ(・・)ようなものがあるのでしょう』


 その様子を見て、ぽつりとワゼがつぶやいた言葉を聞いていた者は誰もいなかったのである…‥‥


アレン国王の事だし、絶対面倒事である。

ミニワゼの諜報能力で、ワゼはきちんとこの国の国王の事を調べていたのであった。

と言うか、ゴーレムにも面倒と思われる国王とはこれいかに。

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