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偶然の出会い

‥‥‥はっきり言って、あの巨大ゴーレム搭乗者の方が個人的に気になるけど、今回はきちんと主人公視点でお送りいたします。

SIDEリュー


ドッカァァァァン!!

「どわぁぁっ!?」


 突如として響き渡った爆発音のような音に、リューは驚きのあまり昼寝から目覚めた。



「なんだ今の音?」

【何かあっちの方ででかい爆発があったようですね】

【昼寝中に邪魔するとはいい度胸しているカナ】

【スヤァ…‥ピキィッ‥‥‥】


 ハクロとファイも起きたようだが、ピポはまだ寝ていた。




 

 音がした方角を見てみれば、もうもうと煙が立ち込めており、なにかが爆発したのが分かる。


「ん?」


 ふと嫌な予感がして、空を見てみれば‥‥‥何かの破片が降ってきていた。



「やばっつ!?ハクロ、ファイ急いであの破片を全部止めろ!!」

【【了解!】】

【みゅにゅ‥‥了解だよ!】


 二人が同時に返事し、ついでに今ので起きたらしいピポも状況を素早く把握したようで、自ら動くようである。



 ハクロは糸を網状にして宙に打ち出し、破片をまとめてとらえてそのまま誰もいないところに投げ捨て、ファイは水魔法や風魔法で破片を受け止めたり消し飛ばす。


 ピポは手足から炎を吹き出して空に飛んで、大きめの破片を砕きまくって、ハクロたちが止めやすいようにできるだけまとめて二人の下へ行くように蹴り飛ばしまくった。




 素早い対応のおかげで、なんとか被害は小さく済んだが、その次が問題である。



【あっちの方に、大きなものがいるよー!】


 ピポが指さした先には、爆発の発生地と思わしき場所で、煙がもうもうと上がっている中から何かが出てきていた。


「なんだありゃ‥‥‥」



 ゴーレムにしてはでかすぎて、まるで巨大ロボットのようなものを思わせるものが、そこから動き出していた。



 デザイン的には今一つだが、暴れられたら確実にやばそうな代物である。




 とはいえ、ここで戦うなんて手段はとらない。


‥‥‥流石に戦闘しようにも、目測50メートル越えぐらいだし、まだそこまで巨大な相手の戦闘経験もないのでここは逃げるが勝ちという言葉があるだろう。



「全速力でこの場から逃げるぞ!」


 素早くハクロの背中にリューがしがみつき、皆で駆けだそうとしたその時である。




ズゥゥゥン!!


 ビキビキビキッツ!!


「‥‥‥え」



 あの巨大な物体が、一歩足を踏み出したようだが、その重量故か、それともここの地面が柔らかかったのか、はたまたその両方か。

 いや、昼間の授業では硬いとか言っていたし、多分重量の方だろう。



 一気に地割れが起こり、その端と端の間にちょうどりゅーたちがいる状態となった。



 地面が割れて、その割れ目にちょうどいるのであり、つまりは…‥‥


「またこのパターンかぁぁぁぁ!!」

【今度はそうはいきませんよ!!】



 リューは落ちるのを覚悟したが、ハクロの方は以前の七不思議騒動の際に学んでいたようで、すばやく糸を手から噴出し、地割れの壁に張り付けたようである。


【こちらもこの手があるカナ!】


 ファイも足の吸盤を活かして素早く伸ばし、壁に張り付いて落ちないようにし、ピポは言わずもがな手足から火を出して宙を飛んでいた。



 それぞれが素早く対応し、なんとか助かったのである。



 ふぅっ、と皆で一息を突いたところで‥‥


ビキッツ バキッツ


「【【あ】】」



‥‥‥重量オーバーと言うべきか、それとも地割れができるほどの衝撃でもろくなったのか‥‥‥糸がついていた岸壁と、吸盤が張り付いていた岸壁は見事にそれぞれその部分が崩落し、結局皆落ちたのであった。















‥‥ぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺち


【‥‥‥主ー。大丈夫ピキッツ?】

「っ…‥ピポか」


 ふとリューが目を覚ましてみれば、目の前でピポがその小さな手で一生懸命起こそうとしていたのか、頭の上でぺちぺちとリューの額を叩いていた。



 起き上り、状況を見渡してみれば…‥‥



「どこだよここ?」

【落下したすぐ下にあったよー】


 ピポが発火し、全身から火の明かりで照らして見えやすくしているのだが、なにやら人工的な部屋のようである。


 土とか岩盤ではなく、きちんとしたタイルのようなものが敷き詰められており、上を見ればリューたちが落ちてきたと思われる大穴が開いていた。



【下の方に蜘蛛の巣をとっさに張ったおかげで、どうにかクッションになったようですね】

【硬い床に激突していたらそれこそ危なかったカナ】


 と、どうやらハクロたちも無事に起きていたようで、すぐにリューのそばに寄って来た。


「あの地割れの下に、こんな部屋があったのか‥‥‥?」

【多分、それで間違いないと思われますよ。なんでこんな地下にこのような部屋があるのかはわかりませんが…‥】

【あ、もしかしたらあれカナ?】


 ふと何か思いついたのか、ファイがポンっと手を打った。


「あれって?」

【主殿、ほら先生が言っていたではないカナ?この都市は元々機械魔王の住みかであり‥‥‥】

「!?つまりその跡地の、残された地下室のような場所か!」


 ファイの言葉から、すぐにリューは昼間の授業を思い出した。


―――――――――――

『その機械魔王の技術って失われたとか言いますけど、この都市ってその機械魔王の住んでいた場所の跡に作られたんですよね?だったら地面を掘ったら地下室とかがあって、そこに技術の塊のようなものがあったりしないのでしょうか?』

『あー…‥‥その可能性は無きにしも非ずらしいぞい。ただ、この辺りの地層は固いゆえに、中々発掘作業ができず、しかももう失われたものであると皆が考え、あちこちに既に建造物ができ、現状発掘できない状態なのだぞい』

―――――――――――



 この辺りの地層は固いらしい。


 その為、この地下までの発掘調査とか藻行われていなかったようだが、今回まだ詳細は不明とはいえ、あの謎の巨大物体が引き起こした地割れによって、偶然にもリューたちはその機械魔王の住んでいた場所の、地下室のような部屋に入り込めたようであった。



【地上までこれなら登れることは登れますけど‥‥‥ある意味この場所も歴史的発見ですよ】


 上を見て登れる希望はあるようだが、ハクロが少し興奮しているかのように話す。


 あの巨大物体は緊急事態だが、こちらの隠されていた地下室のような場所の方がどこかロマンを感じさせるのであろう。




 とはいえ、先ほどの地割れ同様ここも下手すりゃすぐにでも崩壊の可能性があった。


「名残惜しいけど、一応とっとと逃げるためにすぐにでも上に…‥ん?」



 ふと、リューはその地下室の隅っこの方に何かが反射したような気がしたので、気になったのでその場所を見た。


「‥‥‥棺桶?」



 近づいてみてみれば、どこかドラキュラとかが入っていそうな、人が入れるほどの棺桶がそこに鎮座していた。



【ふむ‥‥‥あ、ここになんか書いて、いや彫られているカナ?】


 ファイがまじまじとそれを見ると、なにか見つけたようである。


【これは‥‥‥『機械魔王ヴュリュヴャミビュ:最後の作品』って書いてありますね】


 まさかの機械魔王の最後の作品が入っているらしい棺桶であった。



【最後の作品…‥‥そう彫っていますけど、少し字が汚いですね。この棺桶のようなもの自体が相当な高度を持っているようなので、字を彫るのに何度が高そうなのは納得ですけどね】


 ミミズがのたうち回ったような字とはいえ、苦労を感じさせるからまぁ良いだろう。


 おそらくは、その中にある作品を守るために作られたんだろうけど‥‥‥


「全部自爆したとかいう話じゃなかったっけ?」



 確か、授業でも先生はそう言っていたはずであり、機械魔王の技術は失われていたはずである。


【いや、自爆していない物を作っていたもおかしくないカナ。そういう技術力とか、なにかに自身がある奴ほど全てを独占して無くすのではなく、その生涯をかけて最高傑作なる物を創り上げてもおかしくはないはずカナ】


 ファイのその言葉に、リューたちは思わず納得した。



【ん?ピキッツ、主、ここになんか手の形で彫られているよ?】


 と、ピポがその棺桶のようなものの表面にまた何かを見つけたようである。


 見てみれば、手の形のように彫られたくぼみがあった。片手文で、その中央部分は黒いでっぱりが…‥‥ガソリンスタンドとかの、静電気をとるやつに似ているな。



「ここにこうやって手でも置くのかな?」


 なんとなく、自然にリューはそのくぼみに手を入れた時であった。



ビィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!


「【【【!?】】】」


 突然、警報のような音が中から聞こえてきた。


「やべっ、トラップとかあった!?」



 慌ててリューたちは一歩後ずさる。



『‥‥‥魔力波長及び魔力量基準値オーバー確認。機械魔王様の設定により、この魔力の持ち主を新たなご主人様として認定決定』


 何部から聞こえてくる音に警戒しつつ、リューたちはその様子を見ていた。




 ギギギと、蓋がずらされ、中から誰かがゆっくりと立ち上がった。



 ピポの炎の明かりのおかげで室内は明るく、出てきたその人物の容姿は直ぐにわかった。



 着ている服がなぜかメイド服だが、ゆったりとしているけど身体つきの良さがなんとなくうかがえる。


 手の造形は人のようだが、わずかながらに光沢を放ち、完全な人の皮膚ではないのがうかがえる。


 顔を見ればこれまた美人とでもいうかもしれないし、髪は黒髪ロング。


 ただ、耳に当たる部分にはヘッドフォンのようなもので覆われており、よく見れば斜めにアクセントなのかアンテナのようなものが立っていた。




 そのままこちらに顔を向けると、黒目の光彩の奥が少し赤く光り、リューを覗き込んだ。



『初めまして、新たなご主人様。私は機械魔王ヴュリュヴャミビュ様の最高傑作にして、最後の作品でもある「The strongest mechanic madeの10番機」、通称「TSMM:10」デス』


 そう言いながら、そのTSMMの10番機という謎のメイドは深々とお辞儀したのであった。



‥‥‥おい、機械魔王。そのセンス的にお前もしかして前世あるやつか?


 リューのその心のツッコミを分かってくれる人がいるのだろうか‥‥‥‥



機械魔王最後の作品を偶然にも見つけ、起動させたリューたち。

新たに表れたその謎のメイドは、果たして何者‥‥‥って、もう名乗っているか。

次回に続く!!


‥‥‥今回は少し大人な風貌にいたしました。この魔物使いシリーズを読んでいただいた方たちの中でも、わかる人はおそらくわかるでしょう。

なお、一応あれだけの重量が一歩踏んだところで地割れができるかどうかのツッコミはご勘弁ください。

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