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力づく

割と忘れがちですけど、ハクロって結構力もあるんだよね。

SIDEリュー


【ずえあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!】



 メッゴォォォゥ!!っという、物凄く痛々しい音が鳴り、そのまま牙の生えた本は動かなくなった。



【ふぅ、ちょっと興味があって糸で作ったモーニングスターでしたけど、なかなかしっくりきますね】


 ぶんぶんと凶悪な鎖付きとげ鉄球…‥‥ではなく、全部糸でガッチガチに固めた糸球を振り回しながら、ハクロがそうつぶやいた。




 七不思議5つ目…‥『牙が生えた巨大な本』、完全なる出オチである。


 この七不思議が人為的なものによる可能性で、幽霊的なものではないだろうという結論が出たた途端、ハクロが勢いづいて怒ってほぼ力業でたった今、一つの七不思議を潰したのであった。



 ハクロの先ほどの攻撃で使用したのは、モーニングスターという武器をまねて糸で作ったものである。


 ちょっと見た目がガ○○ムハンマーっぽいけど、ハクロの糸をガッチガチに幾重にも巻き付け固めてとんでもない強度の糸球が攻撃の本体となって、当たれば鉄すら粉砕できそうな威力となってしまった。



 …‥‥犠牲となった牙の生えた本よ、せめて安らかに眠れ。





「にしても、図書室に出るのはわかるけどさ‥‥‥」

「ドアを開けた途端に飛び出してきて、とっさにハクロが作った武器で潰されましたけどね」


 と言うか、ドアを開けるまでもしかしてあの牙の生えた本はそこでスタンバイしていたのだろうか?


 悲鳴とかも聞こえなかったし、まだ誰もここには来ていなかったようだし…‥‥なんだろう、物凄い哀れに思えてきた。




【よっと、もうほぼぺしゃんこのぐっちゃぐちゃカナ】


 潰された本をファイが拾いあげながらそうつぶやく。


「ファイ、その本はモンスターとかじゃないよな?」

【これ、ただの本カナ。おそらくあの骸骨や楽器同様、操作されただけの物カナ】


 ファイの見立てによると、やはりモンスターとかではなくただの本であり、何者かによって操作されていた可能性があるのだとか。



「物体を動かせ、人すらも操れるようなやつか…‥‥」



 考えられるれる黒幕として、一番可能性が高いのは‥‥‥‥


「『ポルターガイスト』あたりか?」

「『ゴースト』の可能性も無きにしも非ずですけどね」

【外のヌルヌルを考えると、『ギガントスラッグ』もあるカナ】


――――――――――――――――――――――――――――――――

『ポルターガイスト』

ポルターガイスト現象とは全く別物であり、実態を持たない特殊なモンスターである。何かしらの意思を持った集合体ともされており、建造物その物にとりついて内部を自由自在に動かせる。そして、建造物内部で人を精神的に痛めつけ、そのダメージをエサとしているらしい。ただし、殺すようなことは絶対ない(死んだらエサが無くなると本能的に知っているらしい)。


『ゴースト』

別名「幽霊」とも言うけど、ちょっとだけアンデッド寄りのモンスターである。実態を持たず、常人の目で見ることはできない存在。モノを動かしたりはできるが、縄張りの範囲でしか活動ができない。聖なる力や癒しの力を苦手としている。


『ギガントスラッグ』

名前の「ギガント」のイメージ通り、巨大ななめくじのモンスター…‥‥ではなく、小さななめくじのモンスターの集合体である。一体見かけると30体はいるとされており、某RPGのスライムのように仲間と合体して一体の巨大ななめくじのモンスターとなる。粘液を常に分泌しており、適切な製法によって美容液にもなる。汗や涙と言った体液が大好物であり、女性冒険者が絶対に出会いたくないモンスターリストの上位陣に常にのぼっているのだとか。ちなみに1位がオークとかではなく、「G」というどの世界でもやばいやつである(モンスターじゃないのと、モンスターであるのが確認されてはいるのだが、どちらにしてもひとくくりにまとめて嫌がられているそうだ)。


―――――――――――――――――――――――――――――――――




「…‥ま、とりあえずあとは『アッパーをかましてくるガントレット』か」


 ぶっちゃけ、最後のその七不思議は他との違いとして明確な物理攻撃を繰り出してくるようだが‥‥‥













【アッパー返しです!!】


 ドッゴゥゥゥ!!バキィッツ!!



‥‥‥うん、全く心配なかった。


 ハクロが見事にアッパーをかまされる前に避けて、逆にガントレットよりも固い自身の糸お手製の手袋で綺麗にアッパーをかましてガントレットが砕け散ったよ。



「ぶっちゃけ後半がほぼ力業でゴリ押しできたな」



 何にせよ、七不思議なのに6つしか聞いていない怪異のやつらは全てこれで制覇したことになる。



「後は黒幕が誰なのかが分かれば文句はないんだけど…‥」

「ここにきて、手掛かりが途切れましたわね…‥‥」



 七不思議(6つしかないけど)をすべてぶち壊したリューたちであったが、結局この騒ぎの元凶の手掛かりは、このガントレットにはなく、途切れてしまった。



【粉々ですし、もう読み取れそうな手掛かりとかなさそうですよね‥‥‥‥】

【いや、ハクロがやったよねー?】

【木っ端みじんは流石にやり過ぎカナ】


 ハクロの言葉に、ピポもファイもジト目で辛辣な声で返した。


 いや、ピポの場合どうやら眠いようで寝ないように頑張っているといったところであろうか。





 とにもかくにも、現時点でやれることはやりつくしたはずである。


 その為、ここで一旦校外に何とか出ようという問題に皆で取り組むことにした。



「窓とかは空くけど、外がヌルヌルの海に沈んでいるようなものだしなぁ」

【糸がくっつかないですし、どうしましょうかねぇ】


 うーんと皆で悩むが、いい案が思いつかない。



「しかしなんかこう人数が増えると暑いなぁ‥‥」


 七不思議で巻き込まれれ板生徒たちも合流し、そしてこの授業にほかにも参加していた生徒たちも集まっていたが、皆外のヌルヌルの海が嫌で、出ようにも出られぬ状況故に集合し、人口密度が高まっていた。


【主殿、氷の魔法で部屋全体を一旦涼しくするカナ?】

「ん?ああできるなら‥‥‥待てよ?」


 ふと、今のファイの言葉にリューは閃いた。


「ファイ、一応聞くけどさ、外のヌルヌルって氷魔法で凍らせてしまう事って可能か?」

【‥・・・ああ、なるほど!!可能カナ!!】


 リューのその言葉で何が言いたいのか理解したファイ。




 そう、外がヌルヌルのヌメヌメの海に沈んで、そこから抜け出せないのであれば。


「【氷魔法でガッチガチに固めて出ればいい!!】」


 二人の声が合わさり、皆もその案に気が付くのであった。



‥‥‥と言うか、最初からこの手段を取ればよかったよ。



――――――――――――――――――――――――――――――――

SIDE???



‥‥‥リューたちが脱出の手段を見つけた丁度その時、その様子を密かに見ていた者がいた。



「ふむ…‥‥朝まで待ってそこから一気に潰すつもりだったけど予定が狂ったナリ」


 その者が立てていた予定では…‥‥日が昇ると同時に、一気に今この校内にいる生徒たちを亡き者にするつもりであった。


 ある国で命令2つを受け、それを遂行する為だけに入念に準備し、そしてこのような機会を作り上げたが、このままではどちらの命令も達せられないまま、終わってしまう。


「しょうがない、だったらここですべて出してしまうナリ」


 そうつぶやき、その人物はそのわきにあったボタンを押し、ある仕掛けを作動させるのであった。


 命令の1つでもあり、本来であればもう一つの命令を遂行した後に、特定の人物の実を狙って発動させるはずだった仕掛け。


 だがしかし、この状況では意味が無くなってしまうと思い、その仕掛けを作動させるのであった‥‥‥

‥‥‥作動する仕掛け。

日が昇ろうとする中、リューたちの前にそれは現れる。

果たして、リューたちは無事に帰ることができるのだろうか?

次回に続く!!


‥‥‥なんか既にとある人たちにはバレていそうだけどね。

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