見えてきた元凶
本日2話目!!少し短いカナ?
‥‥‥夢追い人を目指す者の中には、大剣と言う武器を扱う物がいる。
でかい刃を振り回し、時と場合によっては盾にもなり、強力な武器の一種として有名である。
そんな武器を扱う人のために、学園では授業用の練習用大剣が保管されているのだが、その保管室から夜な夜な抜け出し、いつの間にか血がしたたり落ちて校内を徘徊する体験があるのだという。
『さまよう血濡れ大剣』‥‥‥そう言われている武器は、今まさにリューたちの目の前に姿を現し、
【よっと‥‥‥このぐらいぐるぐる巻きにすれば大丈夫でしょうかね?】
「刃の部分を無力化したら、あっけなかったな」
そして瞬殺されてあっという間にただの大剣と化していた。
‥‥‥正直なところ、これが一番楽だったような気がする。
幽霊とかじゃなくて、ただ大剣が飛んでくるのは余り怖くもなく、ハクロの糸で絡み取られて完全に無力化できたからね。
アラクネの糸は強靭で、そうやすやすと刃で切断されない。特に、ハクロはホーリアラクネ故により強靭な糸を作れるのでなおさら刃は意味がないのだ。
刃の部分を安全のために糸でぐるぐる巻きにして、もはや大剣ではなく糸で作った棍棒であろう。
「抑え込んだら動かなくなったな。やっぱり誰かが操っているんじゃないかこれ?」
動かなくなった大剣を見て、リューはそう予測した。
ここまでに出くわした骸骨や楽器、謎の踊る影等を見ても、なにかに操られて動いているようにしか思えなかったのである。
「となると‥‥‥この七不思議は、元をたどれば一つの元凶にあるという事ですの?」
「そういうことになるだと思うけどなぁ‥‥‥」
ヴィクトリアのその言葉は間違っていないのだが、リューは何か嫌な予感がしていた。
校舎から出さないようにされていたヌルヌルや、そして無力化したとはいえ、襲い掛かってきた大剣。
そもそも皆が校内に入って来たこのタイミングで、七不思議がほぼフル稼働しているというのも変な話のように思えてきたのだ。
【ふむ、もしかすると誰かがあらかじめ噂を仕込み、こうやって皆が来るのを予測し、そして今日七不思議をすべて決行したという事になるのカナ?】
ファイのその言葉に、リューは同意する。
タイミングが余りにも出来過ぎており、まるでこうなることが予測できていたようにしか思えないのだ。
「残る七不思議は『牙が生えた巨大な本』『アッパーをかましてくるガントレット』だけど、これも大剣やピアノ同様、誰かが操っている可能性のある物しかないんだよね」
今回のこの七不思議…‥いや6つしかないところにツッコミを入れたいけど、どれも共通していることがある。
それは、「何かしらの物体」を動かしているという事だ。
骸骨、ピアノやその他の楽器、ついでに人間、大剣と、ものを動かす能力のある物が、その黒幕にいるとみていいだろう。
「人ではほぼ無理なようなことばかり。となれば、なにかのモンスターが原因なんだろうな」
【まったく、こんな面倒な事を起こすような輩ってことは絶対何かしらのめんどくさそうなやつに決まってますよ】
最初の方ではビビっていたハクロが、この怪奇現象はモンスターの仕業かもしれないとわかるとすぐに、元気を取り戻して怒り出した。
さんざんビビったところで、それがモンスターの仕業だという可能性を聞いて、腹が立ったのであろう。
【こうなれば元凶を捕まえたあかつきには、簀巻きにしてぶんぶんと振り回して空高く投げ飛ばしてやりましょうよ!!】
怒りの炎で燃え上がるハクロ。
それだけ自分が怖がらせられたのがムカついたのであろう。
「とにもかくにも、残っている七不思議の現場へ向かおう。そこからもしかしたら元凶を叩き潰せるだろうしな」
「そうしたほうが良いですわね。解明してとっちめてやるのが良さそうだわ」
【ゴリゴリと大根おろしに元凶をかけましょう!!】
【それグロイことになりそうカナ…‥‥】
【ピキ―ッツ、炎の属性をハクロは持っていないのに、その怒りの炎が見えるよー】
ハクロの怒りが頂点に達して元凶が悲惨な目に遭いそうだが…‥‥‥まぁいいか。
でもハクロ、そういうのは大根おろしじゃなくてもみじおろしと言うのが定番じゃなかったっけ?
リューはそうツッコミを入れようかとも思ったが、とりあえず今のハクロには無駄そうなのでやめたのであった。
【‥‥‥糸でサイコロ状にカット、縛り上げて締め上げる、足で踏みつけ捲る、一応隠れた怪力で叩きのめすなどの方法もありますけどね!!】
「元凶のやつ超逃げて!!割とシャレにならないものばかりをされるよーーーーー!!」