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自由に過ごしたい魔物使い  作者: 志位斗 茂家波
最初の夏休みで章
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新技

ちょっとやってみたかったネタ。

 辺境伯爵領の屋敷に戻って数日。


 今日は皆で鍛錬をするために、裏の方にある庭でリューたちは模擬戦を行っていた。



 今の対戦は、ピポVSファイなのだが、これはこれで見どころあふれる試合となっていた。



 ピポはその体の小ささを活かしてファイの魔法の攻撃を避けたり、懐に潜り込んだりして攻撃を行ったり、ファイはファイでいくつもあるタコ足のその弾力でピポの蹴りなどをはじいたり、攻撃に使用したりと臨機応変に対応していた。


【ピキッツ!!なかなかやるねー!!】

【ううむ、的が小さいのでやりにくいけど、これはこれで面白いカナ!!】


 互いに満足がいくような試合でもあるようで、笑顔が眩しい。



「すっごい生き生きしているよなぁ」

【たまにはこういう刺激があったほうが面白いですからね。相手によって得意不得意もありますし、こういうところで鍛えられるのは本能的に楽しいですよ】


 審判役としてハクロの蜘蛛の部分に腰かけているリューに対して、ハクロは笑みを浮かべながらそう言った。


 モンスターには少なからずも成長したいという本能があるそうで、己を鍛えることが楽しいように思えるのだとか。


 成長し、経験を積み、そしていつしかより上位の進化種になりたいという事も本能的に思っているのだという。


 まぁ、そもそもハクロたち自身、モンスターの中では結構上の方にいるらしいけどね。

 

 と言うか、ピポの場合は進化を一度経験して今のフェアリースライムになっているのだが、まだまだ成長の余地はあるようだ。



 っと、考えている間に気が付くと、どうやら試合の動きが少し変わったらしい。


【ピキッツ!!新技いくよー!!】

【お?ぜひとも来いカナ!!】


 どうやらピポが何か新技を思いついたようである。


 その宣言に対して、ファイは防御態勢を取った。


【ピキピキピキ――――――ッツ!!】


 防御態勢を取ったのを見た後、ピポがその新技とやらの準備のためか、勢いをつけて空中に跳ね上がった。




【着火!!】

「【【え?】】」


 ピポのその言葉に、一瞬リューたちはあっけにとられ……そして目を見開いた。




ボゥッツ!!


「ピポが燃えたぁ!?」


 まさかの人体発火、いやスライム発火である。


 もともとピポの体色はピンク色であり、火や癒しの関係はあるだろうとは思っていたのだが、その中でも炎の方を発現させたようである。



 そのまま全身が燃えていたかと思う、いきなりピポの身体が空中で加速した。


【ピキッツ!!『ファイヤフット』式飛行!!】



 どうやら手足などから火を噴き、その反動でまさにミサイルのごとく飛行するすべをピポは身につけたようだ。


【では行くピキッツ!!新技『燃える彗星(フレイムコメット)』!!】


 そのまま勢いをつけて、急加速しながらファイにピポは向かった。



 その勢いはすさまじく、まさに赤いすいせゴホンゴホン、とにもかくにも、相当な威力がありそうである。



 受ける側のファイも流石にこの攻撃はまずいと判断したようで……


【『水壁(ウォーターウォール)』!!】


 慌てて分厚い水の壁を魔法で形成し、ピポがそれに突っ込んだ。


ジュワァァァァァァァァァァァ!!



 水蒸気がものすごい勢いで発生し、何とか消火したようで、途中でピポの動きが止まった。



【モガピキッツ、ピキーーッツ!!】

「おいファイ!!ピポが溺れているぞ!!」


 どうやら完全に勢いが死んで、水中で息ができていないようだ。



……スライムが呼吸をしているのかと言われると微妙なところだが、一応妖精のような小さな人型のフェアリースライムであるピポは呼吸しているのであろう。










【し、死ぬかと思ったピキッツ…‥‥】

【すまないカナ】

【だったらいいよー!!】

「【いいのかよ(ですか)!!】」


 手を突っ込んで取り出し、水を吐き出させて何とかピポは一命をとりとめたようである。


 ファイが謝り、リューとハクロのツッコミが入りつつも、機嫌は戻ったようだった。



「にしても、ピポが燃えて突撃するのは驚いたな」

【えへへへ!!前に夜空を眺めたときに、流れ星を見て思いついていたの!!】


 流れ星を見て、どうやら輝きながら落ちるその様子を、ふと自分で再現できないかと思ったようである。


 そして、試してみたところ輝くのは無理だったが、自分が燃えることができて、あの新技を思いついたようであった。


【ハクロと同じような癒しの力もあるし、その白い光を攻撃にしようとしたんだけど…‥‥無理だったピキッツ】

【あー、それはそうですよ。私も糸に纏わせて使用したりしますが、あくまで癒すのが目的であり、攻撃に使用しようとしても、どうも霧散してしまうんですよね】

「と言うか、癒す攻撃ってまずどんなのだよ」


 どうも彼女たちなりの苦労もあるようだが、リューにはわからないことである。


 とにもかくにも、この日ピポは新技を習得したようであった。



【簡単に燃えるから、野宿とかの際に焚き火の着火が楽だよ―!】

「あ、それはそれで結構便利かも」


【それに、燃えているから虫が寄って来ても即焼却で蚊とかも敵ではないピキッツ!!】

「おお、物凄く便利かも」


【そして!!攻撃に乗せて相手の頭頂部に乗ればその部分だけ燃えて毛を無くせるっピキッツ!!】

「結構エグイ攻撃だよねそれ!?」


……なんにせよ、新しい技を手に入れたのはいいことなのだろう。ちょっと心配事も増えそうだけど、今は深く気にしないことにリューは決めたのであった。

『燃える彗星』

ピポの新たな新技。己を燃やし、手足から火を出して反動で加速することでより威力を高めた体当たりの技となった。ただの体当たりに比べて、何処ぞの赤い奴に比べて3倍以上の威力を出せるようである。

ただし、水魔法で防がれやすいため、不意を突いたときに使用するのが効果的である。


【ついでにね、夜中にやれば人魂って感じにもなるよー!!】

「それは幽霊とかが怖い人が気絶しそうだからやめてくれ」

【ギクッ…‥‥怖くありませんよ。ええ、ゴーストとかっていうモンスターもいますしね】

【なんで冷や汗をかいてごまかしているのカナ?】


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