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自由に過ごしたい魔物使い  作者: 志位斗 茂家波
最初の夏休みで章
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やらかす人はどこにでもいる

モフモフが欲しいと思う今日この頃。

いつか出したいなぁ、超・モフモフ生物を。

SIDEリュー


 オーラ辺境伯爵家の屋敷が見えると同時に、リューたちの後方から同じように屋敷へ向かう馬車を確認した。


「おー、あれはドスパラ兄上たちかな?」

「ん?なんか様子がおかしくないか?」


 馬車の窓から身を乗り出し、確認したリューとコングマン。


 だが、その馬車の様子が何やらおかしいことに二人は気が付いた。



【んー?煙が出てますね?】

【馬の尻から煙が上がっているのカナ?】


 モンスターだからか、リューたちよりも視力が良いらしいハクロとファイがそう報告する。


「ケツから煙?」

「もしかして…‥‥ドスパラ兄上がやらかした?」


 リューの兄であるドスパラは赤目赤髪で、火に関する適性を持っている。


 となれば、もしかすると…‥‥



【あ、あれ完全に火が尻についてますね】

【馬車だけに、まさに火の車状態カナ】

「いや良くないよね!?」


 どうやら相当な大惨事のようだ。






「どわぁぁぁぁぁぁ!!馬車の馬が暴走したぁぁぁぁ!!」

「火を体に着火したら当然ですってばドスパラ兄上ぇぇぇぇ!!水魔法で消火しようにも、先ほどから避けられて魔力もなくなって無理ですってばぁぁぁぁ!!」



 悲痛な悲鳴が聞こえてきたが、リューたちにはどうすることもできない。


 そのまま馬車は暴走して、リューたちの馬車を追い越していく。



「……何をどうしたらあんなことになったのだろうか?」

「ファイ、この距離で馬の火がついている部分に水魔法を当てられるか?」

【了解カナ!『水鉄砲(ウォーターガン)』!!】


 リューの命令から、ファイは水魔法を発動させ、その先から水が放射されて一直線に飛んでいき、燃えていた馬に直撃したのであった。










 消火後、とりあえずリューたちの馬車は燃えていた馬の馬車の横に停車し、その乗っていた者たちの安否を確認することにした。


「えっと、大丈夫ですかねドスパラ兄上、エレクト兄上?」

「ああ、大丈夫だぞリュー。はっきり言って死ぬかと思ったが何とか一命はとりとめた」

「こっちは無事じゃないけどな。ノーコン過ぎて命中しないし、魔力切れになったぞ……」


 ドスパラ兄上は元から脳筋コホン、体力馬鹿なので大丈夫そうなのだが、エレクト兄上は魔法を使っていたようで、魔力切れを引き起こしたらしい。


 と言うけど、完全な魔力切れではなく、限界ギリギリで残っているような状態のようだ。


 例えで言うならば、魔法を発動させるのに魔力が10必要なのに、残っているのが3しかない状態かな。


 


 なので、正確に言えば「完全な魔力切れ」ではなく、「魔力低下による体調不良」であろう。



「ファイ、魔力回復薬(マジックポーション)は?」

【ピポに持たせたはずカナ?確か現在100本ほど……】

【持っているよ―!!】


 魔力の急激な低下による体調不良であるならば、魔力を回復させれば治るのである。


 と言うかファイよ、多く作り過ぎてないか?普通、魔力回復薬(マジックポーション)は貴重品…‥‥‥まぁいいか。












 エレクト兄上の魔力を回復させた後、なぜこうなったのかの事情を兄上たちに聞くと呆れる様な理由が出てきた。


 なんでも、この近くまで来た際にふと魔法で遊ぼうと考えたそうだ。


 魔力や魔法のコントロールの訓練として、水球のお手玉、火の輪での輪投げみたいなことを遊びの感覚でやることがあるそうだが、その訓練を脳筋な兄上たちは馬車で思いついたそうである。


 で、今回やろうとしたのは魔法でブーメランのようなものを作って、戻ってきた際に相殺するとか言う事でやっていたそうだが、ノーコンだったドスパラ兄上の火のブーメランが、あらぬ方向へ飛んでいき、そして馬に直撃したそうだ。



 そのまま引火し、尻に火をつけて馬車馬は暴走して走り出したそうである。


 つまり、



「兄上たちの自業自得ということか」

「そう言う事になるな」

「弟、こちらも兄の不始末のために水魔法でと思っていたが…‥‥馬車馬が思いのほか暴れまくるわ、火の勢いが強かったで命中しにくく、当たっても効果が薄くてどうにもならなかったのだ」




「で、それで馬を一頭失いかける羽目になたっという事か?バカ息子よ?」

「そういうことで……ん?」

「「「ん?」」」



 ふと、後方から聞き覚えがあり、なおかつ凄みのある声が聞こえたので兄弟そろって見てみると……そこには父のディビット・フォン・オーラ辺境伯爵が、にこやかな顔でありつつ、その目の奥は笑っていない感じで、仁王立ちで立ってました。


 現在地は屋敷の目と鼻の先であり、何かあればすぐに駆けつけてくることもできるので、いても不思議ではありません。


 そして、にこやかながらに怒気があふれ出していてものすごく怖いです。




「さてと、息子たちが無事に帰って来たのは良いのだが…‥‥帰って早々何をやらかしているんだお前たちはぁぁぁぁぁぁ!!」

「「「「うわぁぁぁぁぁぁ!?」」」」




……帰郷早々、父からの怒声が辺り一帯に響き渡ったのであった。


 その後、リューとコングマン、ついでに巻き添えに近かったエレクトは難を逃れておとがめは一応無しにされたのだが、元凶のドスパラはこの夏の間、ディビットからの愛のあふれる剣術特訓漬けが決定したそうである。


 強く生きろよドスパラ兄上…‥‥多分、夏の間中自由がないような気がするけどね。






……なお、燃えていた馬はハクロとファイが治療して一命をとりとめました。

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