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自由に過ごしたい魔物使い  作者: 志位斗 茂家波
夢追い人(ドリーマー)育成学園へ入学で章
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湖の主の交代

引継ぎ作業とも言う

……サラマンダーが撃沈し、森の消火作業を終えてようやく鎮火した翌朝。


 クラウディア森林の湖にて、ある儀式が行われていた。


【……それでは、これより135代目主の座を、新たな136代目のお主に譲り渡す】

【グゴゥ…‥‥謹んで……いただきましょう】


 湖の中央では、魔法で作られた氷の祭壇があり、その上に新旧の湖の主がいた。


 片方は、仙台135代目の湖の主にして、精霊とまで言われたスピリット・スキュラ。


 そしてもう片方が、次代の湖の主として選ばれた……



「でっかいなあのナマズ……」

【『マグナマズ』というモンスターですね。あのサイズになるには200年以上はかかるそうです】


 物凄く巨大な、何処をどうやって湖の中に姿が見えないように入っていたのだと言いたいほど巨大なナマズが、そこにいた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『マグナマズ』

水と火、土の3属性を扱うナマズの巨大なモンスター。その身は絶品ともされてはいるのだが、とんでもない強さを誇り、滅多に出没しない超希少種である。知能も高く、様々なモンスターの隠れたリーダーとして存在していることがある。

――――――――――――――――――――――――――――――――――


 そんなナマズが新たな湖の主となるようだが、これで良いのだろうか。


「と言うか、普通にしゃべれるじゃん『ファイ』は」

【真面目な時だけきちんとしゃべるようですね】

【ピキ……主の従魔となったからいいじゃん】


 リューのつぶやきに、ハクロが同意して呆れるかのように肩をすくめ、ピポは眠いのか頭の上で目をこすりながらそう言った。



 そう、あのスピリット・スキュラにして、この湖の135代目の主、精霊と間違われるような妖艶さの美貌を持つあのモンスターは……俺の従魔『ファイ』となったのである。


 名前の由来は、青かったので宝石の「サファイヤ」から少し変えて付けたのである。



 昨晩、サラマンダーの討伐後、ファイはリューのそばへ行き、そして思いついたかのように従魔になろうと言い、互いに了承して契約を結んだ。


 しかも、仮契約からでいいと言ったのだが……普通に本契約をためらいもせずにファイは結んだのである。




 いわく、


【決めたときは、最後まで責任を貫き通すと決めているカナ!!】


 そうぱちんとウィンクし、ビシッと指を立てたファイ。


 

 そう心に決めていたようで、彼女は本契約まで持ち込んでくれたのである。


 



 なお、この湖の主の引継ぎだが、先生やほかの生徒たちはこの場にいない。


 このグラディウスの森の奥の方にはエルフの集落があって、先生方はそこまで燃えそうになったことに関しての連絡をどうやら取っているそうだ。


 ほかの生徒たちだが、こちらは燃え尽きたキャンプ地で使えそうなものと燃えてしまったごみを分別作業中。


 で、俺はファイの主となったことで、この湖の主引継ぎに立ち会うことになった。


 と言うか、先生がそうしろと言ってきました。



 なんでも、ファイは元々この湖の主であり、その力も昨晩のサラマンダーとの戦闘で十分理解しており、その主となった俺に対してこの先どう授業を行っていくべきか、検討し直すそうな。


 そもそもホーリアラクネ(ハクロ)フェアリースライム(ピポ)といった珍しい従魔を引き連れているのはまだいいとして、そこに戦闘面での強化をされたことで、教師としての自信を無くしそうなのだとか。


……なんかスイマセン先生。先生以上に強力な従魔を手に入れたことで、魔物使いとしてのプライドのどこかを砕いたようである。


 まぁ、これで一応気になっていたところは補強されたけどね。



「魔法に関しての戦闘力とすれば、飛躍的に向上したかな?」


 俺も魔法が使えることは使えるが、時と場合を考えるとファイの方が使い勝手がいい。


 スキュラの本領が発揮されるのは水上か水中らしいが、陸上でもそれなりに彼女は強いそうなのである。



 俺、ハクロ、ピポの面子だと、遠距離攻撃手段が物理的なものが多くなるので、どうしても魔法的な手段が欲しかった。


 なので、ここでファイが従魔となってくれたことはいいことである。


 ただまぁ、でかい問題があるけどな。




【ふぅ、主の座を渡すのも疲れるカナ】

「そんなにかと言いたいけど……そのにゅるぬめどうにかならないのか?」


 主の座の引継ぎが終わり、戻ってきたファイの足元を指しながら俺はそう言った。



……某タコ先生のように粘液のようなものでファイのタコ足が覆われているんだよね。


 これが本当にヌメヌメのてらてらで、ちょっと日常的に困りそう。


【ん?大丈夫だと思うカナ。魔法でちょちょいのちょいっと】


 指摘に気が付いたのか、ファイがそう言いながら魔法を己の足にかけると……そのヌメヌメした部分が無くなった。


 あとに残るのは、弾力性あふれるタコ足である。


「……簡単にできるのかよ!!」

【表面にまとわりついている粘液を、薄ーくして凍らせているだけで、消えたわけじゃないカナ。まぁ、これで文句もないでしょう主殿?】




 にこやかにそう言うファイに、察したハクロがハリセンを素早く作って手渡してきたので、リューはとりあえず出来るなら最初からやれとツッコミを入れるのであった。


 

スピリット・スキュラの「ファイ」が従魔になった!!

彼女の詳しいことは、今度設定で出す予定である。

簡単にここで書くと、【~カナ】が口癖。真面目な時は無くなる感じです。

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