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自由に過ごしたい魔物使い  作者: 志位斗 茂家波
夢追い人(ドリーマー)育成学園へ入学で章
36/162

突然の業火

さてと、ハプニングハプニングっと

【……ふへ?】


 真夜中、皆が寝静まっているときにふとハクロは目を覚ました。


 流石に体格的にテントの中に入ることはせずに、森の中なので適当な木々に糸を結び付けて、ハンモックとして寝ていたのだが、何か違和感を感じて目を覚ましたのである。


 さっと糸で身だしなみを整えつつ、その違和感の方へ身体を向ける。



 森の中には、昼間の探索時にハクロが張り巡らした糸があるのだが、その一部に反応があったのだ。


 それも消えながら…‥‥




 何だろうと思いつつ、ハクロはその糸のある方向をよく見ると……何やら赤くなっている。


 気温も上昇しているのか、熱波のような、そして炎が見える様な……


【って、森林火災ですか!?】


 思わず目を見開いてよく見て見れば、森が燃え始めているのだ。


 しかも、ただの火災ではないことをハクロは感じ取った。


 燃えながら残っている糸の何本かがその存在を検知し、そしてハクロに伝えてくる。


 この火災は、モンスターによるものだと……




【火事ですよぉぉぉぉぉぉ!!】


 すばやく判断し、ハクロは大声をあげて寝ている皆に伝えた。


 今のハクロの言葉はモンスターとしての言語だが、この場には魔物使いとしての才能を持つ者たちがいるので、その言葉を理解できる人が多い。


 そして、ハクロのその叫びになんだと思いつつ眼を覚ますものたちは、火災の光景を目の当たりにし、一気に目が覚めた。



「ハクロ!!火災が起きたのか!?」

【はい!!原因は何かモンスターのようなものですが、突如として出現したもの様です!!】


 リューが目を覚まし、すばやくその経緯をハクロは報告した。


「この森に火のモンスターか?」

「馬鹿な!?そんなものが出現するなんて聞いたことが無い!!」


 なんでもこのクラウディア森林には風や木と言った属性を持つモンスターは生息しているのだが、火の属性を持つモンスターは生息していないそうなのだ。


 と言うか、そもそもモンスターもモンスターで住処を守るためにそう言ったこの森を無くすような類のモンスターを排除しているらしい。




 そのため、このような火災を起こすモンスターがこの森に出現したこともなく、考えられる可能性としては人為的なものしかないのだ。


 


 とはいえ、今はその事でどうこう話している場合ではない。火の回りが早く、逃げ遅れてしまう可能性がある。


「うかつに森の中で逃げ回るな!!湖の方へ向かえ!!」


 担当教師の方々がそう叫び、誘導してリューたちは森の中にある湖の方へ避難を始めた。


 この森の中には湖があり、その湖は大きいので中心部の方へ向かえば、何とか火の手からは逃げられる。



 森が燃えてしまうが、燃え尽きるまでは湖の方で耐えることができるはずなのだ。




 炎上し、木々が倒れそうになる中、一応魔法が会使える者たちは火が来ないように使用して精いっぱい非難を手伝う。


 リューも同様に己の魔法で反対方向壁が倒れるようにしたり、火が下手に来ないようにハクロがきうぃとで斬ったり、ピポが跳び膝蹴りで倒れてきた木をふっ飛ばしたりなどして、何とか皆の非難を手助けしていった。







「……何とか全員無事に避難し終えたか?」


 湖にたどり着き、教師の方々やそれぞれで点呼を取りつつ、きちんと皆の確認をしていく。



「異常無し!!このまま火災の沈黙まで、生徒たちは湖周辺で待機!!炎が来そうであるならば、用意されたボートに乗って奥の方へ向かえ!!」


 見て見れば、いつの間にかいくつかのボートが用意されていた。


 どうやら魔法や従魔たちの手によってまだ燃えていない木を素早く切り倒し、ボートを作製したようである。


 即席故に荒っぽい造りのようだが、いざとなれば湖の奥の方へ向かって逃げることもできる。



 少しだけ皆が安堵したその時であった。



【グゴァァァァァァァァァァァァァァァ!!】


「「「「「!?」」」」」


 突如として響き渡る、何者かの方向。


 燃えている木々がへし折られてきた押されていき、そこから出てきたのは…‥‥巨大なトカゲのようであり、全身が燃え盛るような赤いうろこで、火を纏い、口から火が噴き出ているモンスター。



「な!?どうしてこんなやつが!!」

「さ、『サラマンダー』だとぅ!?」


 その正体を理解した者たちは、驚愕の声を上げた。


――――――――――――――――――――――――――――

『サラマンダー』

通称「炎トカゲ」とも呼ばれ、災害危険指定種。幼い者であるならば手のひらサイズだが、成長し切った成体は物凄い大きなものとなり、いるだけで周囲の気温を高める。

従魔になるようなものでもなく、ありとあらゆる生き物を焼きつくす危険なモンスターであり、燃え盛るような外見から水属性の魔法などが一見弱点のように思われるのだが、生半可な水魔法は簡単に蒸発させるほどの炎を吐き出す。

ただし、出現場所は火山の火口付近限定であり、ふもとに降りてくることはほとんどない。


―――――――――――――――――――――――――――――



……出現場所を考えると明らかに人為的な操作によるものだとは考えられるが、今はそんなことよりも物凄く不味い状況であった。



 災害危険指定種……討伐するには犠牲を覚悟し、本当に危険なモンスターに指定されている。


 そんなものの一種が、目の前のサラマンダーなのだ。



 ハクロやピポと言った面子でも、そこまでの指定はされておらず、相当やばい相手だというのw皆は理解した。



「い、急いで湖の奥の方へ向かえぇぇぇぇぇ!!」


 教師の方々は流石と言うか、すばやく我に返ったようで皆に指示を出す。


 ボートに乗ろうとしたその時、


【ゴ、ゴゴ、ゴガァァァァァ!!】


 サラマンダーが炎の塊を吐き出し、一気にボートが破壊され、その熱量のすさまじさに地面までが融解した。



 その衝撃波で数人ほどがふっ飛ばされ、幸いにしてまだ誰も乗っていなかったので死者は出ていないようだが…‥‥本気でまずい状況だ。


 今の衝撃波でまともに動けないような人がいるし、従魔とかもいるのだが流石に今現在火に強いようなやつがおらず、攻撃しているのもいるけど…‥焼け石に水で、全く効いていない。




【そうだ!!リュー様、あの魔法は今使えますか?】

「あの魔法と言うと……」

【ほら、私と初めて出会った時に、初めて魔法を使用して襲ってきたモンスターを倒した時がありますよね?】

「『重力圧縮砲グラビティプレスカノン』か。あの魔法なら確かに行けるかもしれないけど……」


 ハクロが思いついたように提案してきたそれに、リューはその魔法を思い出す。



 かつて、ハクロと初めて出会った時に襲ってきた鷹のようなモンスター。


 そのモンスターを討伐した際に使用した魔法が、超重力によって、いわばブラックホールのごとく相手を圧縮し、何もなかったかのようにまでしてしまう結構エグイ魔法『重力圧縮砲グラビティプレスカノン』。


 あの魔法であれば、サラマンダーを消しされるのではないかとハクロは言ってきたのだが……




「無理だな。魔力が足りない」


 肝心の魔法を放つための魔力が足りないのである。


 凶悪な破壊力を持つ魔法だが、使用する魔力はなんとほぼ全部。


 だがしかし、ここに避難するまでに魔法を使用したりしているので、肝心の必要な分の魔力がないのだ。





【グ、ゴゴ、ゴゴ…‥!】

「げっつ!!またあの攻撃か!!」


 そうこうしている間に、サラマンダーが攻撃の用意をしてきた。



 口内が赤く光り、熱量がすさまじいのか白い光へと変貌していく。

 

 某宇宙戦艦の攻撃のようにも見えるが、隙があるのに攻撃してもほぼ効果がなくて無意味なところが最悪だろう。



 またあの炎の塊を飛ばすかと思われたその時であった。


【ピキッツ!?】


 ピポが何かに気が付き、其の方向へむく。


「どうしたピポ!!」

【なんか来るよ!!】


 見て見れば、湖の方向で…‥‥何かが盛り上がった。


【ゴガァァァァァ!!】


 サラマンダーが炎の塊を吐くのと同時に、その盛り上がったところから何かが飛び出した。


【『渦潮(メイルストーム)』!!】


 そうその飛び出してきた存在が叫んだかと思うと、猛烈な勢いの水の竜巻のようなものが飛び出て、正面からサラマンダーが出した攻撃とぶつかり合い、物凄い水蒸気が発生した。



ぶしゅわぁぁぁぁぁ!!



「相殺しただと!?」


 そのぶつかり合ったところは何もなく、攻撃が相殺しあったのが目に見て取れた。


 そして、その今の水の竜巻のような物を創り出した主が姿を月明りの下に表した。




 水色の衣服をまとい、流れるかのようにつややかな翡翠色の長い髪で、目は緑で全体的に人肌に近い。


 妖艶な顔と身体つきで、豊満な胸は貝のようなもので隠されて、逆に艶めかしい。


 だが、ハクロ同様とでもいうべきか、その下半身は人ではなくどちらかと言えばタコのような……タコ?


「『スキュラ』……なのか?」


――――――――――――――――――――――――――――

『スキュラ』

上半身が人、下半身がタコもしくはイカのモンスター。

海に住み、様々な薬品の作成に長けており、一部の地域ではスキュラの集落があり、そこでしか得られないような品々の取引を行っているという。

ただ、縄張り意識が強いようであり、敵対すれば容赦ない冷徹な一面がある。

―――――――――――――――――――――――――



……このクラウディア森林は海からも離れ、そしてここは海水ではなく淡水のれっきとした湖。


 スキュラは海に住み着くモンスターであり、流石にこの離れすぎた場所にはいないはずなのだ。



【‥‥‥いえリュー様、あれは通常種ではないようです】


 ハクロがその姿をじっと見て、そうつぶやく。


「通常種じゃない……亜種か!」


 よくよく見れば、スキュラの特徴ともいえるタコの下半身だが、タコのような赤い触手ではない。


 どちらかと言えば、サファイヤのような宝石のような蒼い輝きを持っており、通常種ではないことを見せていた。


【ちょっと違うね主、若干だけど精霊化しているよ】


 ピポがそうつぶやき、リューの考えを修正した。


 一体どのようなモンスターなのかは詳しいことはまだよくわからないが、今はどうやらあのスキュラ(?)と、サラマンダー同士がにらみ合っている状況だ。


 ごくりと皆がつばを飲み込み、戦況を見守る。



【グゴガァ!!ガァ!!ガァ!!ガァ!!】


 サラマンダーの方が動き、先ほどとは違い、炎の塊をいくつにも分け、一斉の放射した。


【‥‥‥飛ばせ氷拳、『特大氷玉(ビッグアイスボール)』!!】


 スキュラの方は魔法を使い、とてつもない一つの大きさの氷塊を創り出し、サラマンダーに向けて発射した。




 互いの攻撃がぶつかり合い、そして制したのは……


【グゴァ!?】


 スキュラの作り出した氷塊であり、サラマンダーの攻撃を突破し、そのまま勢いよく飛んでいく。


ドッゴォォガッシャァァァァァァァン!!


 特大の氷塊が直撃し、そのまま割れてさらに破片を降らせていく。




 そしてそのままサラマンダーが起き上ることもなく、押しつぶしたのであった……

……モンスターの種類増加しようかと考え中。

設定でもう少し細かくしようかな。


さてと、このスキュラは果たして何者なのかは次回に続く!!

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