というわけで、無視を止めよう
決闘ってこんな感じかな?
‥‥‥決闘をしろという手袋投げがめんどくさくなってきたので、リューたちは全て受けることにした。
「ただし、まとめて来ることとハクロたちの参加も認めてもらうならね!」
「「「「「「わかったぁぁぁぁ!!二言はないな!!」」」」」
物わかりの良い決闘を仕掛けてくる者たちである。いや、もう決闘がなかなかできないので焦れに焦れて何も考えていないだけか?
ハクロたち一応モンスターだし、結構強いのだが…‥‥
まぁいいか。きちんと条件を飲んでくれたようで、決闘を仕掛ける者全員で来てくれるそうである。
こういうのは速めに終わらせて、今後来ないようにするための見せしめのようなものにしてやったほうが良いのだ。
「それに、大勢でかかって少人数の俺たちに負けたとなったらそれこそ悔しいだろうしね」
【カグヤ様、なんかすごい悪い顔をしてますよ】
【主、腹黒なのかピッキッツ?】
こういうのは腹黒ではない。
ただ、うるさい奴らをまとめて片付けて、親切に追い返そうという親切心からきているのだよ。
【それは違うような気もしますが‥‥‥】
ハクロからのツッコミを無視しつつ、とりあえず決闘の日となった。
本当なら今日は休日であり、ゆっくり過ごせるはずだったけど‥‥‥貴重な休日を無駄にしてくれるであろう決闘者たちにその鬱憤を当てて潰すという意味合いも兼ねているからね。
なお、決闘の立会人と審判役はあとくされのないように皆で頼みに行って、引き受けてくれた渋いイケメンの学園長ドーラ・フォン・モーンさんです。学園の最高権力者が立会人なら、決闘後に文句を言う事ができまい。
ちなみに、引き受けてくれた理由だが出来るだけけが人を少なくしてくれるならという事のようである。
‥‥‥かなりのけが人が出るであろうと予想しているのだろうか?
まぁ、ある程度手加減しないと危なそうなのは確かだけどな。
決闘場所は学園から離れた郊外であり、そこにいるのは総勢30人以上の決闘相手である。
100人はいるかと思ったが‥‥‥どうやらまともに相手できそうなのが30人ほどのようだ。他に決闘を挑んでいた奴らが座って見物状態だもん。
自分の腕によほど自信を持っているのか、それぞれやる気に満ち溢れているようである。
なお、念のために全員木製の武器のみの仕様です。真剣とかは危険とされたようで、安全な決闘の為だそうだ。
‥‥‥ハクロたちがいる時点で、木製武器は意味があるのだろうか?そこはツッコミを入れちゃダメなところか?
ついでに、土魔法を使える面々が地面を盛り上げて、簡単な舞台の設置をしてくれました。
そもそも自分たちで仕掛けてきたことだし、自分たちで舞台を創り上げようと考えたのだろう。
「では、これより決闘を始める!!」
っと、学園長が全員そろったのを見て結党前の挨拶を入れるようだ。
決闘に関するルールはシンプルで、決められた枠線外へ出たら場外負け、降参しても負け、審判の判断で勝敗決定と言うのがあるそうだ。
そして何よりも、決闘で互いが要求する物を開示したのだが‥‥‥
リューが敗北すれば、出来るだけ第2王女様に近づかないこと。
逆に勝利すれば、今後今回の決闘に参加した者たちは再びの決闘を申し込むことはできず、迷惑料として一人一つ、かぶることが無いようにこの都市でのおいしい物を持ってくること。
それを条件に、今回の決闘を互いに受諾した。
食品とかで、おいしそうなのがあるけど全部を制覇するほどの資金があるわけでもないし、すべて食につぎ込むのはもったいない。
なので代わりに全部持ってきてもらおうと考えたのである。‥‥‥意外にハクロもピポも食べるからね。
食費を浮かすという意味では十分なのだよ。
ついでに、観客側としてちゃっかり今回の元凶でもあるヴィクトリアがいるのだが‥‥‥応援してくれるのは良いけどさ、ひと声ごとにみんなの目が怖くなるからやめてくれない?
「それでは、両方とも構えて!!」
学園長の合図で、その場にいた決闘をする者同士がいつでも戦闘できるように臨戦態勢をとる。
「それでは、決闘はじめぇぇぇ!!」
決闘開始の合図を出され、相手側は一気に押しきろうとしたけど‥‥‥まぁ、遅いかな?
「『特大重力弾』!!」
魔法を素早く発動させ、全員に命中するように特大サイズの黒い球を俺は決闘相手めがけて一気に撃った。
特大サイズなのは、一人一人に当てるのがめんどくさいだけであり、せっかく固まってくれているのだからという事で、全員に命中するように考えて撃ちました。
「ぐべぇぇ!?」
「重っつ!?」
「うごけねぇぇぇぇ!!」
命中後、すぐさま皆地べたにたたきつけられました。何しろ入学したてで、元から剣術を習っていようが、授業で魔法を覚えようが‥‥‥先手必勝である。
ハクロの素早さになれているのであって、この程度なら速攻で出来るのだ。
根性で立とうとする人もいるけど、多分無理だろうな。通常重力より2倍ほど強くしているもん。
‥‥‥某か〇はめ波の人が修行したところよりは弱いけど、それでもかなりやばいぞ。
単純計算で、30キロが60キロ‥‥‥30キロ分の重しが乗っかっているようなものだ。子供にとっては結構重いし、それでも立つのであれば、ジワリジワリと重さを増します。
「さーて、降参してくれないとどんどん重くしていくよー」
そう声をかけると、次々と降参の声が上がった。
‥‥‥そこはもう少し抵抗してほしかったな。ここで生意気な事を言ったやつからさらに負荷を大きくしてやってねぇ。くっくっくっく。
【これ私たちがいる意味あったのでしょうか‥‥‥と言うか、リュー様ってSですかね?】
「いや違うけど?それにハクロたちがいる意味ってあるよ?」
【これもうリュー様だけで片付けていますよね?どこにあるのでしょうか】
【オーバーキルってピ?】
癒し系・戦場の花・とりあえず数合わせと言うところだろうか。うん、決闘相手が全員男子生徒たちだしな。
‥‥‥数人ほど女子生徒が混ざっているのはなんでだろうか?え?「ヴィクトリアお姉さまを毒牙から守る会」?誰が毒牙やねん!!
とにもかくにも、降参した人には魔法を解除して、降参しなかった奴は少しづつ重力の規模を増やしていく。
なお、途中でめんどくさくなって一気に10倍にした途端にぐげって声が出た後、残っていた者たち全員が気絶した。
‥‥‥ビキッツって音がしたけど、多分大丈夫であろう。精々肋骨辺りにヒビでもできたかな。
【いや十分重症なんですけど!?】
「ルールは破っていないし、決闘ならそれなりの覚悟もあったと思うから問題ないはず」
ただ、相手が悪かったそれだけの事であろう。
そもそも、この魔法って相手を押しつぶすかのような攻撃でもあるのだが、普段から鍛えあげている人なら効果は薄いだろうし、良ければいい話だし、そこまで万能ではないのだ。
なので、こちらが圧倒的有利過ぎるという事はないのだが‥‥‥
決闘後、とりあえず癒しの力を込めたハクロの糸で作った布を全員に被せて回復を待った。
はたから見れば、集団葬式のような気もするけど‥‥‥まぁ、いいか。
後日、決闘を挑む人がいなくなったのだが、近寄ってくれる人もいなくなったのであった。
「流石にやり過ぎたかな?」
「やり過ぎですわね。まぁ、どうでもいいですわね」
食堂の方でリューがつぶやいたが、その横ヴィクトリアはにこにこ笑うのであった。
【‥‥‥ある意味今回の一番の勝ち組って、ヴィクトリアさんですよね】
ジト目で見ながらそうつぶやくハクロのつぶやきは、聞こえた魔物使いの才能ある者たちの背筋をどこか冷やしたという。何か、将来的な修羅場の予感をさせて‥‥‥
圧倒的勝利。
でも真の勝ち組はヴィクトリアなのかもしれない(決闘を挑む馬鹿に絡まれるリューの時間を、うまいこと自分と仲良くできるように利用できるようになったため)。
そろそろちょっとまたひと騒動を‥‥‥次回に続く!!