無視し続ければ始まらない
なんかどこかでこのネタ使用したような‥‥‥
「さてと、今日は魔物使いのための授業をはじめるぞい!!」
学園にいくつもある授業のうち、気になっていた「魔物使い」教科の授業が始まった。
「えい!!」
「このっつ!!」
背後の方では、今日も相変わらず決闘をしようと手袋を投げる男子生徒たちがいるのだが、ハクロたちの手によってすべて防がれているのはもはや慣れてしまった。
と言うか、いくつ手袋あるんだろうか?
今日の「魔物使い」科目の授業は教室だが、そのうち屋外の、都市外のところでも行うようになるらしい。
まぁ、それまでの間に出来るだけ魔物使いとはどのようなものか学ぶようである。
担当教師はボンブラスト先生。見た目はまだ現役世代の茶髪茶色い目のおじさんで、魔物使いであり、従えている従魔は‥‥‥
「まず、これがこのわたしが持っている従魔『ストーンゴーレム』の『ロックドン』だ」
【ゴゴゴゥ、よろしく】
先生の後ろに立つのは、なんかこう、ロボットを思わせるかのような人型の岩石の塊だった。
背丈は約5メートルほどで、歩くたびにズシンズシンと重量感があふれている。
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『ストーンゴーレム』
ゴーレム系統のモンスターの中では野生に出現しやすく、岩場や砂漠で見かけられるという。正確は温厚なものが多く、中には村や町などを守ってくれるようなものもいる。頑丈さでは進化種の『アイアンゴーレム』に負けるのだが、適当なそのへんの石や砂だけでも体を修復することが可能であり、しぶとさではモンスターの中でも上位である。
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なんかこう、某空中城のロボットを思わせる様な感じもするけど…‥‥光線は出さないし、空も飛ばないので違うかな。
「さてと、この場にいるのは魔物使いを目指す者たちだが、まず前提条件として才能があるのかないかが気になる処だぞい。今からこのロックドンにはあらかじめ打ち合わせをしてもらった言葉をいくつか話してもらって、当てていくから答えていくがいいぞい」
どうやらまずは魔物使いとしての才能のテストのようだ。
ある程度の知性を持ったモンスターの鳴き声などの中には、魔物使いの才能があれば理解ができるようである。
ハクロたちとの普段の日常会話も成り立っているので、このテストは楽勝だと言えた。
と言うか、そもそも魔物使いのここを選ぶのはそういう才能がある人達しかいないと思うのだが‥‥‥ツッコミを入れるべきだったんだろうかね。
皆が言葉を理解できたところで、詳しい授業へと入っていく。
「ではまず、従魔とは魔物使いにとってどういう存在か答えるがいいぞい!!」
「はい!」
まずはこの科目を受けていた生徒の一人が手をあげて答えた。
「魔物使いである時に付き従えるモンスターという事です」
「うむ、大体はあっているぞい。付け加えるのであれば、互いに信頼する関係にあり、仲間でも相棒でも家族でもある存在。それが魔物使いにとっての従魔なのだぞい!!ただ、悲しむべきことに奴隷のように扱うようなものもいるのだが、そのような事をするのは3流、いや魔物使いの風上に置けないやつという事になるからそこは要注意なのだぞい!!」
そうびしっと言うボンブラスト先生。先生の話によると、過去には虐待をしていた魔物使いもいたそうで、そのうち契約がいつの間にか切れて主であった者を食い殺し、暴れまわったという記録もあるそうだ。
「では次に、従魔を作る際のことだが、仮契約と本契約と言う物があるのだぞい!!これはどのようなものか答えるのだぞい!!」
「はい」
これはハクロたちと契約している俺にとっては容易い問題なので答えることにした。
「おお、すでに従魔を従えているリューと言うやつか。では言ってみるのだぞい!!」
「名前がないモンスターへの名づけが『仮契約』であり、一時的な主従関係を結ぶ物です。あくまで一時的なのはモンスター側からの主の見定めのような期間が必要だからです。永久的に従魔となるのは『本契約』と呼ばれる方で、こちらのやり方は互いの了承がある状態で、ちょっと傷口を作って、そこに互いの血を垂らす方法、もしくは傷口を合わせる方法でよかったはずです」
「うむ!その通りだぞい!!付け加えるとするならば、仮契約の時にも互いの合意がないといけないし、魔物使いの才能がなければそもそも契約ができないのだぞい!!なぜ、魔物使いの才能ある者だけがモンスターとの主従関係を結べるのかについては未だに不明な事もあるようだが、とにもかくにも覚えておくがいいぞい!!」
その分かっていないところは授業でも教えてくれないのか…‥‥やっぱり何でかはわからないもんはわからないのだろう。
ハクロたちに聞いても、何で契約が成立するのかはわからないそうだ。
ただ、本能的に契約できるようなことを知っているというか‥‥‥モンスターと言う存在、そのものに刻み込まれた本能のようなものがあるのかもしれないというのが今のところ有力な仮説だそうだ。
授業は進み、次々と様々な事が述べられていく。
モンスターについての詳しい抗議や種類、生息地、環境によって異なるモンスターなど、さまざまだ。
と言うか、基本的にその知識の暗記と言う形が近いのかもしれない。
「できれば、モンスターを一目見ただけでどのようなものかわかるようになってほしいぞい!!図鑑などで覚えてもらうのが多くなるだろうが、時たま郊外に出たときに皆で見かけるモンスターの事で判別し、それで素早く何か答えられるほうが良いのだぞい!!あ、戦闘になる可能性も考慮して皆の先輩でもある夢追い人達に護衛を頼むので、そこは覚えておくぞい」
戦闘って‥‥‥まぁ、確かに中には人を襲うのがいるわけだし、警戒するのに越したことはないだろうな。
授業の終わりまで手袋を投げ続ける生徒たちから避けつつ、防ぎつつそのまま終わるのであった。
…‥でもそろそろめんどくさくなってきたし、この際一気にまとめて決闘を受けたほうが良いような気がしてきたな。
「ハクロ、決闘を全員分受けたほうが良いかな?」
【私達もありと言うルールでならいいでしょうね。人数的に考えてもこちらの方が少ないですし、一気にふっ飛ばしたほうが快感がありそうですからね】
【邪魔者、ぶっ飛ばして、主楽にするピ―――ッキ!】
やる気満々のようだし、その方向性で片づけてしまおう。
一人ずつよりも、まとめてなぎ倒したほうが早そうである。
ハクロたちもありきという条件‥‥‥受ける人がまずいるかな?
【非殺傷戦闘のために、簀巻き練習でもしましょうかね?】
【急所攻撃で撃沈ッピキ―ッツ!!】
「それだけはやめてあげて!?男の尊厳的にシャレにならないから!!」
何処でそんなことを覚えたのだろうかピポは‥‥‥犯罪者相手ならいいけど、そうでない学生の身分の人達には地獄過ぎる‥‥‥