いよいよですよ!入学式!!
ようやくだよ、ようやく話が動くよ
試験から2日後、与えられた寮の自室の整理を終えて、入学式会場へとリューたちは向かった。
‥‥‥一応、男子寮なのだがハクロたちがいるのは大目に見てほしい。
従魔だし、許可ももらえているし、他に魔物使いなのか従魔を連れ込んでいるらしい人は見るよ。
けどさ、俺の従魔たちの見た目が美女とか小さいけど美少女とかだからって、そんな血走った目で見てほしくないのだが‥‥‥めっちゃ怖い。
モンスターに襲われる恐怖よりも、人の怨嗟の方が怖いな。俺無事卒業できるかなぁ‥‥‥
【リュー様、ちょっと遠い目になっていますけど大丈夫でしょうか?】
【主も苦労するピキッツ】
後ろの方でハクロたちがひそひそと話すけど、大丈夫だからね?多分。
入学式会場は夢追い人育成学園の中にある一番でかい運動場のようで、大勢の今年度の新入生やら引率の先生やらですごいにぎわっていた。
「あ、リュー!!」
「ん?‥‥‥だ、こほん、ヴ、ヴィクトリア?」
ふと聞き覚えのある声が聞こえて見てみれば、第2王女であるヴィクトリアがそこにいた。
一応王女の身分相手なので様付けで呼ぼうとしたら一瞬すごい殺気を感じたような気がしたので、慌てて彼女が呼ぶように言っていた名前での返答をした。
‥‥‥あの殺気、シャレにならん。
「なんだあいつ?」
「おい、あの可愛いのって誰だ?」
「第2王女じゃないか・・・・?しかも、いやに親し気な」
「あれだけ綺麗な従魔を従え、王女様までいるとは…‥許せん!!」
すっごい怨嗟と嫉妬の視線を感じるんですが。
いやこの場にいる新入生ってほとんど10歳だよね?あ、この世界の結婚価値観って、貴族とかだと婚約が3歳ぐらいから決められている人もいるだろうし、結構早熟なところもあるのか!
ちなみに俺は婚約者いませんよ。どこの誰が当主にならないであろう辺境伯爵家の4男と好き好んで婚約をやるのだろうか?
まぁ、自由にできる様なのは良いけどな。でも確か、長男のドスパラ兄上には縁談の話もあったような。
ややブラコン気味な兄上たちが結婚できるかは、その縁談相手の努力にかかっているなぁ。
とにもかくにもそれは置いておいて、数日ぶりのヴィクトリアとの再会である。
「数日ぶりだけど、元気そうだよねヴィクトリアは」
「ええ、毎日早朝の鍛錬など適度な生活を送っていますもの。ちょっと街中で不審者に遭いかけましたが、護衛の肩が手を出す前に背負い投げでたたきつけて、衛兵たちに引き渡しましたしね」
いまさりげなく王女がしていいような発言じゃなかったようなことを言ったような気がする。
背負い投げって‥‥‥王女のイメージを結構ぶち壊してくれるなヴィクトリアよ。
いや、何処ぞやのRPGで似たような姫様キャラがいたような?ザラ〇の人が近くにいたあのキャラだっけ?
「しかしまぁ、入学式会場って言うけど結構な生徒数がいるなぁ」
「夢追い人育成学園だからですわ。夢追い人になって、将来的な一攫千金や玉の輿を狙う人もいるし、うまくいけばお父様、国王陛下からの爵位さえも夢ではない職業なので、貴族の当主になれないような人たちも来るのよ」
なるほど、ヴィクトリアの説明も一理あるな。
元が貴族でも、成長して当主を継げなければ補佐になったり、領地の一部をもらって仮男爵みたいな将来になる人は多くいる。
その為、こうやって考えて夢追い人を目指す人もいるんだろうなぁ。
‥‥‥俺の場合は適度な冒険やほのぼのとした暮らしを夢見ているから、権力とか領地とかは望んでないけどな!
ふと思ったが、夢追い人にもいろいろな人がいる。
依頼を受けてモンスターを討伐したり、薬草を採取したり、戦争時の傭兵まがいの事をしたり‥‥‥
細かく分けていくと剣士や魔法使いや魔物使いなどもあるので、その辺の教育はどうなるのだろうか?
やっぱり将来的になりたいものに関係する授業だけを受けるようにできているのだろうか?
まぁなんにせよ、学園での生活は今日まさに始まりを迎えようとしているのであった。
‥‥‥というか男子諸君、そろそろ嫉妬や怨嗟の目線を止めてほしい。
ハクロたちが主である俺を害するかもと思って今にも糸を繰り出したり金的で黙らそうとしているのですが。
魔物使いとしては、従魔のこういう反応の仕方も大変である。
‥‥‥そういえば、フェアリースライムのピポの蹴りとかの威力は弱いのでは?という意見を身内からもらいましたけど、過度の衝撃で硬化、適度な刺激では変化なしみたいな感じで、そこにリューの魔法で重量を増やしてみたり、速度をあげたりして威力を調節しています。
原理的には「ダイラタンシー現象」もどきみたいなものです。衝撃が加わると硬くなり、水の上を走れるようになるようなあの事です。詳しくは検索してみよう!