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自由に過ごしたい魔物使い  作者: 志位斗 茂家波
夢追い人(ドリーマー)育成学園へ入学で章
24/162

増殖する苦労人

主人公不在回

SIDEディビット・フォン・オーラ辺境伯爵


「ぶぼふぉはぁぁぁぁっつ!?」

「どうかしたのですかあなた?」


 オーラ辺境伯爵領、屋敷にてディビット辺境伯爵が今朝届いた手紙を読み、飲んでいた紅茶を吹き出したので妻のミストラルは使用人に拭かせつつ、尋ねた。


「こ、これを読め!!早速わたしたちの愛しの息子のリューがやらかしおった!!」


 せき込みつつも、ミストラルに手紙を渡すディビット。


 どれどれと思いながらミストラルは読むと、くすりとほほ笑んだ。


「あらあら、さっそく学園長の胃に心労が直撃したのね。魔力の測定量がぶっ飛んで、他には秘密にしているようだけれども、国に報告しづらくて、せめてものということで親である私たちに届けてくれるなんて、今の学園の学園長は律儀ねぇ」

「そんなに落ち着けるのか!?」


 のほほんと、落ち着いているミストラルを見てディビットは驚いた。


 試験があったのだが、その時にリューがたたき出した魔力値が人外レベルと言っていいぐらいのものである辞典だと判明したところでディビットは十分驚いたのだが、ミストラルは驚くどころか嬉しそうであった。


「だってねぇあなた、あの子はまだ10歳なのに、ハクロちゃんやピポちゃんのような規格外の従魔のを従えているのよ?魔力とかが異常に高くて今さら何なのかと思えるわよね?」



‥‥‥微笑みながらそう言うミストラルの言葉に、納得できるような、納得できないような気分にディビットはなった。


「試験官の方たちはこの結果を秘密にして、学園長には真実を話しつつとりあえずは隠蔽するようね。まだ目立つのは速いでしょうし、賢明な判断で(欲を出してろ)命拾い(くでも)しているわね(ない目に巻き)この人たちはね(込んだら潰すけどね)

「今一瞬なにか物騒な事を考えなかったか?」

「いいえ、何も?」


 何かが混ざったような気がしたが、これ以上問いかけると自分がヤられそうな気がしたのでディビットはミストラルにそれ以上聞くことを止めたのであった。




 とにもかくにも、自分たちの息子の一人であるリューは無事に夢追い人(ドリーマー)育成学園についたようだが、幸先から不安にさせられたのであった。


「せめてもの救いとしては、三男のコングマンがいる事だろうな。何かあれば兄弟で頼るだろうし、攻めて卒業までは大事を起こさないでほしいぞ‥‥‥」


 学園に入学しているはずのもう一人の息子を思いだしつつ、ディビットは胃が痛くなってきたので、そろそろ新しい胃薬を服用し始めようかと考え始めるのであった。



――――――――――――――――――――――――――――――――

SIDE夢追い人(ドリーマー)育成学園:学園長室


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…‥‥何で今年はこんな生徒ばかりでしょうかねぇ」


 夢追い人(ドリーマー)育成学園の学園長室にて、今日行われた試験の公表されない(・・・・・・)隠された(・・・・)結果を見て、学園長であるドーラ・フォン・モーンは盛大な溜息を吐いた。

 

 種族はエルフの中でも珍しめのハイエルフの男性であり、結構な年なのだが渋めのイケメン親父のような容姿である。


 なお、まだ独身のもよう。理想がスキンヘッドの女性であるためか、なかなか出会いはないようである。


 毎年この学園には、一攫千金、玉の輿、将来的な爵位などを夢見て夢追い人(ドリーマー)になろうとして入学してくる人が多くいるのは知っていた。


 成績や素行などによって、早くて5年、長くて8年で皆卒業していくのだが、その卒業までに生徒たちがどの様な問題を起こすのかはわからないので、こうやって学園長自らがその試験の結果を見て、判断するのだ。


 問題を起こしそうだと判断ができるのであれば、出来るだけ起こさないように細心の注意を払うのだが‥‥‥



「第2王女様が入学して来ただけと言うのでも驚きなのに、魔力量で人外レベルな上に魔物使いでその従魔がホーリアラクネにフェアリースライム‥‥‥どうせいっちゅうねん!!」



 見た目が美しい、可愛い、珍しいモンスターを従魔に従えているばかりか、その魔力量も人外レベルの生徒がいると試験官からの情報を見たドーラ学園長は思わずその書類をたたきつけて叫んだ。


 どう考えても、この者ならこの学園で確実に何かしらの問題を起こしそうだと思ったからである。


 本人にその気がなくとも、周囲からしてみれば狙うべき相手でもあろう。


 詳しい情報はまだ学園の一部関係者たちしか知られていないだろうが、調べようと思えば調べる輩は出るだろう。


 辺境伯爵家の4男らしいので当主を継ぐ可能性は低いのだが、夢追い人(ドリーマー)としては大成しそうで、将来的な玉の輿狙いの者や、そのモンスターの希少性や見た目から欲望で狙う物などを勝手に引き寄せそうなのだ。


 とりあえずまずは、その生徒の実家に速達で連絡を入れて苦労を共有してもらいつつ、今後の問題の可能性を考えるとその対処方法にドーラ学園長は頭を悩まされるのであった。

‥‥‥苦労人、ドーラ学園長追加!!

こうしていつの間にか、周囲の心労はたまっていくのである。


3男の名前で指摘されて「ゴリラマン」ではなく「コングマン」に直しましたけど‥‥‥ううむ、これはこれでどうしようか悩む。こっちも悪くなさそうなんだよね。

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