表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自由に過ごしたい魔物使い  作者: 志位斗 茂家波
夢追い人(ドリーマー)育成学園へ入学で章
19/162

ゆらゆら揺れての馬車の旅:その2

本日3話目!!

ちょっと主人公以外の視点です!!

SIDE第2王女:ヴィクトリア・フォン・ザウター


「げひゃげひゃげひゃ!!おとなしく金目の物やその女をわた」

「めんどくさいですわ!!」


ドゴゥッツ!!


「グゲッツ!?」

「ごふぁぁぁ!?」


 言い終わる前に、鋭い右ストレートによって数名の盗賊たちを巻き添えにしながら、その男は吹っ飛んだ。



‥‥‥第2王女が乗っている馬車に、突如として盗賊が襲撃を賭けて来たのは数分前の事。


 盗賊たちの身なりとかは一般的なもののように見えるのだが、第2王女であるヴィクトリア・フォン・ザウターはその盗賊たちがただの盗賊たちではないことを見抜いていた。


 彼女が乗っている馬車は、このザウター王国の王族だけが掲げることを許された王家の紋章がでかでかと主張するように彫られており、遠目で見ても王族の馬車だとわかるようになっている。


 王族相手に狼藉を働こうとしたら、普通はその場で処刑決定なうえに、そもそも王族についている護衛も強い人が多いので、そう簡単に襲うようなことはないだろう。



 それなのに、王族の馬車を襲ってくる輩という事は、いくつかの可能性を思わせた。



 まず、紋章に気づいておらず、単純な馬鹿の集団である盗賊たち。


‥‥‥この可能性はないだろう。いかなる馬鹿でも、物凄く目立つようにされている王族の紋章に気が付かないはずがない。




 では、実力にも逃亡にも自信があるような盗賊はどうだろうか?


‥‥‥これもないだろう。盗賊と言うのは野蛮な人が多いように思えるのだが、案外冷静な人や見極めがうまい人が指揮を執っていることがあり、実力差で上回ったとしても、リスクを考えてむしろ攻撃してこない傾向があるはずだ。



 となれば、そもそもの条件である「盗賊」ではない別の者たちであるとすればどうだろうか。


 盗賊にわざわざ扮した暗殺集団や、個人的な王族への恨みを持つ人たちによる依頼を受けた馬鹿な人たちもしくはその者たちが所有する戦力。


‥‥‥これがおそらく一番可能性が高いだろうと、ヴィクトリアは考える。


 何しろ今回の護衛であるはずの騎士たちもやや苦戦している節があり、どうやら相手の方に修羅場を潜り抜けてきた数が多い猛者がいるようだ。


「とはいえ、考えていても仕方がないですわね‥‥‥」

「油断してよそ見をしている場合か嬢ちゃんよぅ!」


 ふぅっと溜息を吐くヴィクトリアの背後から、騎士たちとの攻防から抜けてきた一人の盗賊‥‥‥いや、ただの盗賊と言う可能性がなくなった、襲撃者の一人がナイフを持って襲い掛かって来た。





‥‥‥普通のか弱き淑女である王女であるならば、なすすべもなく傷つけられるか、捕らえられて後々慰み者にされたり娼館や奴隷商人に売り飛ばされる可能性はあっただろう。


 もし、今この場にいるのがヴィクトリアの上の姉であり、別の国へ嫁いだ第1王女であるならば大変だったのかもしれない。


 だが、ヴィクトリアはただの王女ではない。


 華麗に振り返り、後ろから襲い掛かって来た襲撃者の腕をつかみ、勢いを殺さずそのまま利用して投げ飛ばした。


「うわぁぁぁぁぁ!?」



 投げ飛ばされた襲撃者は信じられないように驚きで目を見開きながら、そのまま地面にたたきつけらてえ、慌てて守りに来た護衛の一人が、素早く動きを封じるために襲撃者の適当な手足の骨を折った。






‥‥‥あの国王にしてこの子ありと言われるほど、ヴィクトリアはお転婆なところがありつつ武闘派であり、淑女なんてどこ吹く風という強者であった。


 幼き頃から淑女教育よりも体を動かす方に興味があり、暇さえあればこっそり騎士たちの鍛錬に紛れ込んだりして徐々に自分を鍛えあげているヴィクトリア。


 何気に人気も高く、なぜか男性よりも女性からの方が人気があるのが最近の悩みでもあった。


 そしてもう一つある悩みとして、なぜか昔から何処か欠けているような気がして不満げな日々を送っているという事であったのだが‥‥‥





「すいません!!一人王女様の下へ逃してしまい」

「それよりも早く賊の討伐を急ぐわよ!!」

「はっつ!」


 護衛の一人が、今の襲撃者を防げていなかったことを謝ろうとしたが、それよりも早く襲撃者たちを抑えるようにヴィクトリアは叱責した。



 護衛たちもそこそこの実力はあるのだが、襲撃者たちの実力もどうやら似たり寄ったりで、戦況が好転しないその時であった。



【ピキ―――――ッツ!!】

「「「!?」」」


 突然聞こえてきた鳴き声と共に、なにやら小さなピンク色の物体が飛んできたように見えたあと‥‥‥



ドゴゥ!!

「はぐわぁぁぁあぁl!?」


 襲撃者の一人の急所に直撃し、そのまま吹っ飛んだ。


「なんですの!?」


 いきなりの事で、襲撃者たちも王女たちも唖然とする中、そのピンクの物体の姿をヴィクトリアの目は捕らえた。



「よ、妖精?」


 小さな小人のようにも、妖精のようにも見える少女がその場にいて、すばやく跳ねて次なる敵へと定めて飛び蹴りをしたのである。


【ピキッ!!】


ドゴウゥ!!

「ぎゃぁぁぁっつ!?」


【ピーキッツ!!】


メゴウゥ!!

「潰れたぁぁぁぁ!!」



【ピキッ!ピキッ!ピキッ!】


グシャッツ!ドスッツ!ゴキッツ!



‥‥‥小さな妖精のような、ピンク色の少女が跳ねまわり、次から次へと襲撃者たちの、特に男性にとっては大事であろうか所を容赦なく蹴り飛ばしていく。



【『フィンガーネット』!!】


 と、いきなりなにやら別の何を言っているのかはわからない声が聞こえてきたかと思うと、襲撃者たちに何かが襲い掛かる。


「どわぁぁぁ!?なんじゃこりゃぁぁぁ!!」

「めっちゃべとべとして、動けねぇぇぇぇ!!」

「べとべとしてないほうだがこっちは食い込んで痛ぇぇぇ!」


 よく見てみれば、何か網のようなものが次々に盗賊たちにかけられていく。


【ふふん、どうですか!!粘着性ありバージョンと無しバージョンのネットの力は!!】


 ふと見てみれば、その網が飛んできた方向に‥‥‥美しい美女がいた。


 同性であり、さして美には執着心がないヴィクトリアにとっても女として負けたと思えるような、全体的に白い美女がそこに堂々と胸を張って立っていたのである。


 下半身は雲のようであり、モンスターのようだがそれでも綺麗に見えた。


‥‥‥美には興味ないけど、その胸囲を見てまだ成長の余地があるからとつい自分に言い聞かせたのは内緒である。


「な、なんだこいつらはぁぁ!!」

「逃げろぉぉぉお!!」


 突然の謎の妖精のような小さい少女と、美しきモンスターの襲撃によって、ヴィクトリアたちに攻撃していた襲撃者たちは相手をしていた騎士たちからも離れて、仲間も置いて逃亡しようとしたその時であった。


「逃がさないよ!『重力銃弾(グラビティパレット)』連射!!」



 目の前にいたモンスターのような美女の背後から誰かが飛び出し、見たことも聞いたこともないような魔法名を叫んだかと思うと、一気にいくつもの黒い球のようなものが生まれ、襲撃者たち一人一人に一気に命中した。


「な、なんぐぇっつ!?」

「重ぉぉぉぉぉぉっつ!?」

「つ、つぶれぐぼぇぇぇぇ!!」


 命中した襲撃者たちは、まるで何かとてつもない重石を突然背負わされたかのように倒れ込み、その下の方の地面にもめり込んで動けなくなった。


 元から倒れていて、気絶したふりをしていたらしい者たちもまとめてその黒い球は襲い掛かり、襲撃者たち全員が完全に重みによって動けなくなり、余りの辛さから気絶したようであった。


「ふぅ、さすがに一気に多くをコントロールするのも大変だな」


 そうつぶやいたのは、今の魔法を放ったらしい、美女の後ろから出てきた少年。


 歳はヴィクトリアと同じぐらいであろうか。


 黒目黒髪であり、魔法の属性も不明な少年であったが……なんとなくヴィクトリアは感じ取った。


 一目見て、感じた胸の高鳴りから、この少年こそ自身の欠けているところを埋めてくれそうな相手だという事を。



人は言う。ヴィクトリアの感じたその胸の高鳴りこそが一目惚れのようなものであると。

ただまぁ、恋とは無関係のようなヴィクトリアには、そこまでの考えは及ばなかったようだが。

ちなみに、ピンクの子が色々と急所を攻撃していましたが、単なる男の弱点という事で容赦なく攻めただけに過ぎないのである。小さいけど威力があったのは、勢いと足の裏の反発する力が原因である。

次回に続く!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ