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自由に過ごしたい魔物使い  作者: 志位斗 茂家波
夢追い人(ドリーマー)育成学園へ入学で章
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成長しまして

ちょっと年月経ちまして‥‥‥新章開始です!!

‥‥‥前世の記憶が戻ってから5年経ち、リューは10歳になった。


 上の方にいた兄たちは皆学校へ行き、今は俺もそろそろ学校へ入学するための準備をしているところである。



 「夢追い人(ドリーマー)育成学園」へ入学が決定したのだが、コングマン兄上が先に入学しているので、ある程度の様子ならば届く手紙でわかっていた。


 そういえば貴族や平民が混同しつつ平等に学べる『フラッター学園』の方に入学したドスパラ兄上とエレクト兄上からも手紙が来たけど‥‥‥案の定というか、勉強が嫌だと言っているようで、お父さんも頭を悩ませているらしい。



‥‥‥それでいて、それぞれ常に学年トップ3に入る成績らしいけどね。天邪鬼と言うべきなのか、ぜいたくな悩みと言うべきか。


 と言うか、頭の良さと普段の行動って本当に一致しないなぁ。そこは世界が違えど、人の性ってやつかな。


 ただまぁ、最近なにやら学園に変人が潜り込んだようで、風紀が乱れそうなので巻き込まれないようにするという事のようだ。きな臭いことでも起きているのかな?婚約破棄頭花畑ヒロインとか?




 あと1カ月もすれば入学式があるようで、「夢追い人(ドリーマー)育成学園」は、このオーラ地方から馬車で2週間程度の旅路の先にあるようなので、残り2週間ほどしか俺はこの屋敷にいることができない。


 そう考えると、ずっと暮らしていた屋敷から離れて向かうのは何処か新鮮なような気もするし、寂しくも思えるのである。



「そういえば、学校で初めて適性の測定をするんだっけ」

【リュー様の場合、すでに魔法が扱えていますけど、どのような適正があるのかまだよくわかりませんからね。きちんと調べてもらったほうが良いですよ】

【ピキッツ、主、調べてもらう!】


 ふと思い出して呟いたそのことに、ハクロがうんうんと頷き、進化(・・)して言葉が話せるようになったらしいピポも同意の言葉を述べた。




‥‥‥というかね、ハクロの見た目は変わりがないんだけどさ、ピポの見た目が変わったんだよなぁ。


「なぁ、ピポって一体何に進化したんだろうか?」

【わかりませんよ‥‥‥】

【ピキッツ?ピポはピポだよー?】


 首をかしげる(・・・・・・)ピポのその様子に可愛らしさを感じつつも、予想外のその進化に戸惑いは隠せなかった。


 昨日やっと本契約をかわしてさ、そのときには軟式ボールぐらいのサイズの球体上だったのに、朝起きたらこの形(・・・)になっていたんだぞ‥‥‥。




 球体状の身体が一般的なスライムだが、進化すれば円錐状や四角形などに変わることは知っていた。


 環境によって変化もして、適応しやすいのも知っていた。


 けれどもさ、その方向性ってありなのか?進化してからその他がいろいろと変わっているんですが。



 きゅるるんとしたつぶらな瞳や桃色の体色などは球体時代とは変わらない。


 でも、小さな手に小さな足、身体で可愛らしい幼い女の子の顔。‥‥‥スライムと言うよりもさ、妖精と言った方がしっくりくるかも。羽ないけどね。


 その進化は予想していなかったな‥‥‥こんな妖精のような小さな女の子の姿になるなんて。








【あー‥‥‥多分これじゃないですかねリュー様?】

「どれどれ‥‥‥これかな?」


 そんな進化の仕方なんて聞いたことがなかったので、お父さんの書斎にあった本でモンスターについての事が書かれている類の物をいくつも調べてみた結果、おそらくこれではなかろうかと言う物が見つかった。


【えっと、『フェアリースライム』ですね】

「そうとしか考えられないよな」


―――――――――――――――――――――――――――――――

『フェアリースライム』

スライムの進化先でも、物凄く極稀にしか出ない進化種でもあり、超希少種ともされるモンスター。

妖精と呼ばれるもの体のような外見をしているが、どちらかと言うと精霊に近いモンスターともされる。

身体が小さくても能力は高く、羽がないため飛行することはできないが、元のスライム時代の弾力性は残されているために物凄く素早く動くことができる。

従魔にすることができれば主の魔法を強化することが出来たり、また特殊な能力が備わっていたりもする。

進化がもう一段回あるらしいのは判明しているのだが、記録がほとんどなくて詳しいことは不明である。

――――――――――――――――――――――――――――


 どう考えてもこのモンスターとしか思えない。


 というか、超希少種のモンスターって‥‥‥どれだけ珍しいのだろうか。


「どうしてそう進化したんだろうか?」

【うーん、おそらくですがリュー様の影響と、私の影響があるかと‥‥‥】


 ハクロの予想だと、もともとピポはその方向性へ進化する可能性はあったようだ。


 スライムは生まれたての頃だと見た目が似ているのが多く、亜種や希少種なんてモノだったりするおがいても分かりにくいらしい。


 で、多分最初の球体上だった頃の段階で、おそらく希少種か亜種の可能性があったようだ。


 そして俺の従魔になり、過ごしていた環境に適応すべくこの進化に至ったようだ。


 何しろ重力魔法と言った異質な魔法を使う俺の相手になったり、ホーリアラクネと言う幻獣種であるハクロと戯れてその癒しの力の影響を受けたりはしていたんだからね。


 周囲の力が大きくて、それに対応できるようになるためにより力の強いフェアリースライムへと進化したのであろう。


【きっかけはおそらく『本契約』ですよ。あれで互いの傷口から血液を、ピポの場合は体液と言ったほうが良いのでしょうけれども、合わせて体の中に入れるので、その際にリュー様の血液が入り込んだことで、その血に含まれるなにかしらのモノがきっかけで進化を促したのだと‥‥‥】

「何かしらってなんだよ。まぁ、恐らくそうだとは思うけど‥‥‥」


 ハクロの言葉にツッコミを入れつつも、多分間違ってはいないだろう。


 そうじゃなくちゃ進化するタイミングの説明がつかないしなぁ。というか、何かしらと言うよりは、俺自身が持つ魔力がはいり込んだのが原因ではなかろうかと思う。


【進化して、強くなったよピキ―ッツ!!】


 球体上のスライム時代の名残か、まだ鳴き声は変わっていないようだが、見た目が小さな妖精のような少女のために、ハクロが素早く衣服を作ってくれたのはナイスである。


 だって初めて進化後の姿を見たとき全裸だったもん。そこは都合よく服とかできていてほしかったぞモンスターの進化よ。



 まぁ、何になったのかがわかってよかったかな?


 お父さんに伝えたら、「普通じゃないじゃぁぁぁぁぁぁん!!」と、叫ばれたけどね。


 なんかスイマセン‥‥‥心労を増やしちゃったようで。


――――――――――――――――――――――――――――――――

SIDEアレン国王


「もうそろそろか、うまいこと行くと良いが‥‥‥」


 王城の執務室にて、アレン国王はぽつりとつぶやいた。



 数年前からひそかに決めて進めている計画であり、もうそろそろ実行へと移す予定があるのだ。


 うまいこと行けば、あの辺境伯爵家の子供‥‥‥もうじき学校へ入学する時期であろうが、その子をこの国に取り入れることができるだろうし、他に(・・)幸せを作ることが可能なはずである。



 そう考えると、思わずくっくっくとアレン国王が笑い声を漏らした時であった。



「お父様!!本当にいいんですの!?」


 ばぁん!!っと、執務室の扉を開いてやってきたのは、今年で10歳になる愛娘の第2王女‥‥‥ヴィクトリア。


 その顔は喜んでいるようでもあり、国王を疑っているような顔でもあった。


「ああ、前々から言っていたし、お前自身で力を試してみたいんだろう?でも、合わないのだったらロイヤルードの方にするが‥‥‥」

「いえ!!絶対に今のまま夢追い人(ドリーマー)育成学園の方へ行きたいですわ!!」

「だろうな。まぁヴィクトリアの好きにするがいいだろう。我は特に反対もしないぞ」

「ありがとうございますお父様!!」



 アレン国王が尋ね返すと、ヴィクトリアは国王が本当に己の希望をかなえてくれたのだとわかり、喜色満面の笑みで喜び、すぐさま準備に取り掛かるために部屋に戻った。


 その様子を見て、アレン国王は思わず微笑ましく思えた。



‥‥‥本来であれば、王族であるヴィクトリアはロイヤルード学園の方へ通わせる予定であった。


 本人が思った以上にお転婆に育ち、窮屈な暮らしを嫌がっていたようだが、そこで教育すればきちんと淑女のようになるだろうと考えていたのである。



 だが数年前に、ある辺境伯爵家を訪れたその時から、アレン国王はヴィクトリアが行きたがっていた夢追い人(ドリーマー)育成学園の方へ通わせることを許可したのである。


 とある計画‥‥‥そう、辺境伯爵家の4男であるリューを国に取り入れるために考え出した計画のために。


 そして、娘にはやはり幸せをつかんでほしいと考える親心のために。


 

 その計画は練りに練られて、もう間もなく実行に移されだされ始める。


 期間は長くかかる見込みだが、それでもやるだけの価値は十分にあるのだ。


 その為にも都合よく動いてもらうために、情報操作を行ったり、ある程度の馬鹿を残していたりと準備は整えているのだ。



‥‥‥年月をかけて、今まさにその計画が実行されようとしていたのであった。


 長年かけて練りに練った計画、失敗は許されないし、ぜひとも成功してほしい。


 国のために、娘の幸せのために何でもしてやろうという、若干の親バカが含まれてはいたが‥‥‥

全ては国王の手のひらの上で行われる。

けれども、予想外の事も起こる可能性があるので臨機応変に対応する形になるだろう。

果たして、すべては国王の意のままに行くのだろうか?

次回に続く!!


‥‥‥悪魔にも神にもなってやろうという意気込みで、国王は計画を練りました。利用できるものは利用し、邪魔なものは排除しつつ適度な妨害にもなるように計算してありして、フルに無駄に賢い頭を使用したので、当分その反動でまたどこかへ逃亡するでしょう。

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