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歳月は過ぎていく

ちょっと前回の閑話より少し前の時間かも。

本日2話目!!

SIDEリュー


‥‥‥月日は経ち、リューには孫が出来ていた。


 オーラ辺境伯爵家から分離し、王家の血筋入りのオーラ公爵家が出来上がり、そこに新たな当主としてヴィクトリアとの子供であるクラウンが当主となった。


 そして、大恋愛の末に孫娘が産まれミリーと名付けられたのである。


「あ~、う~だ~!!」

「よーしよしよし、こっちだぞ~」


【・・・・・リュー様、親馬鹿から爺馬鹿へ進化しましたね】


 よちよちと歩くミリーに対してにこやかに言うリューに対して、ふぅっと、呆れるようにハクロは肩をすくめながらつぶやいたが、自分も同じ気持ちなので強く言う気にはなれなかった。




 久しぶりというか、天空城から降りて、現在息子夫婦の屋敷にリューたちは訪れていた。


 各地では他にも旅立っていった子供たちがそれぞれ伴侶を迎えた話も聞き、そのうち孫が生まれるかその前に訪ねようと計画中なのである。



「にしてもだ、今の公爵家の財政状況は大丈夫そうだな」

「はい、お父さん。ドスパラ伯父上がいる辺境伯爵家などにも少々相談したりして、今はうまいこと言っている状態です。ただまぁ、そのちょっと問題なのだが・・・・・」


 リューの問いかけに対して、立派な父親となったクラウンが困ったようにその方向へ目を向けた。



「いよっっしゃぁぁぁあ!!あそこの馬鹿貴族の不正をついに手に入れたぞぉぉぉぉ!!堂々と密会の現場へ突撃しに行くのだぁぁぁぁ!!」


「…‥‥相変わらずというか、何をやっているんだろうかアレン義父さんは」

「あれが自分の血のつながったお爺ちゃんだと思うと、ちょっと頭が痛くなりますね」


 ちゃっかりというべきか、既に国政からも引退し、すっかり完全にもうだいぶ高齢になったはずのアレン元国王陛下の姿を見てリューたちは苦笑いを浮かべた。


 年齢的にはもうとっくの前に平均寿命を超えるはずなのだが、未だに元気でぴんぴんしており、ご隠居様の愛称で呼ばれて民には慕われているらしい。


‥‥‥いやもうね、これどこまで元気なんだろうかあの人は。王家からも少々問題爺さん扱いされてはいるようだけど、一応世の中の役に立っているのでここに押し付けてきたらしい。



「ふふふ、お父様ったらまだまだ元気だし、わたくしたちもまだまだ大丈夫よね」


 その様子を見て、だいぶ年を取って来たけどさすがは王家の血があるというか、威風堂々とした雰囲気を纏わせるヴィクトリアがそうつぶやく。


「あの人が例外なだけだと思うんだけどなぁ‥‥‥」

【そうとしか思えませんよね】

【ある意味王としては立派なのかもしれないでありますな】


 リューのつぶやきに対して、皆同じように呆れてつぶやく。


 ‥‥‥ヴィクトリアは年を取ったけど、ハクロたちは外見がほとんど変わっていない。


 人間とは老化速度が異なるのだろう。



 そして、ふとリューは己のしわのない手を見た。



 魔王の衣の副作用というべきか、リューには老化が訪れない。


 だが、寿命はしっかりとあり、健康のままなので平均寿命を突破して長生きが出来そうである。


‥‥‥でもなぁ、長生きしてもあんな感じにはっちゃけることはないと思いたい。




 ついでに言うならば、この長い月日の間に伴侶を見つけた子供たちであったが、中にはどこぞやの地域で主を名乗るようになり、色々と人々の役に立っているらしい。


 また、夢追い人(ドリーマー)となったルエラも今ではかなり上のランクの持ち主としても有名になっているそうだ。


 付いた異名が「魔王の息子」ではなく、「モーニングスター王」なのは、学園に在学した際に運命の出会いをした武器を持って戦っているせいと言われているのだが‥‥‥大丈夫か我が息子よ。



 

 なお、ハクロとの娘であるシロンはアラクネに進化し、癒しの力をフル活用してけが人の手当てなどして「聖女シロン」なんで言われているそうである。


「戦争国に介入し、敵味方問わず大量の重症患者を癒し、英雄のように扱われているのか‥‥‥魔王の娘なのに聖女扱いとはなぁ」

【でも、元気でやっているのは分かりますね。その力を狙って押しかけてきた馬鹿たちもしっかりと半殺しにしたうえで直してあげて、むしろ自身の信者のように慕わせているようです】

【ある意味一番勢力が拡大したように思えるカナ】



 元気そうだけど自身のファンクラブというか、信者を増やして各地で医療行為を行っているようであり、本当に慕われているようだ。


 

 







 元気な我が子たちの情報を聞くと嬉しいが、ちょっと困ったこともある。


「にしても、生まれて間もないのにもう求婚者が続出しているって‥‥‥」

「仕方がないですよ。魔王の血縁ってだけで魅力があるように思うような人が多いようですからね」



 どうも、ミリーにはすぐに求婚者が続出したようである。


 魔王の孫娘ということで、つながりを得たい家から息子が押しつけられそうだったり、ロリコン通り越してペドと言ってもいいほど年の離れたおっさんからも求婚が来たのだ。


「ま、将来的にはこの子次第だが、一旦どこかと仮婚約でもさせたほうが良いかもな」

「そういうのはできれば避けたいですけどねぇ・・・・・他国の王族とか、面倒な者しかありませんよ」

「問題があれば、潰せばいいし、むしろ二度と関わりを持たないようにして徹底的に粛清するってのもできるけどな」


 何にせよ、これから先に孫たちが他にも産まれそうだが、そういう類が多く出ると予想される。


 「魔王の血縁者」という色眼鏡で見ずに、きちんとその本質を見てくれる相手ならいいけど、欲望にかまける様な馬鹿だったら嫌だしなぁ‥‥




「気分が良いところで、奈落に突き落とさせるという手も取れるし、それはまだ未来にならないとわからないなぁ」



 何にせよ、頭が痛い問題である。




‥‥‥この時リューは知らなかった。


 将来的に増えた婚約相手の中には馬鹿になる者がいて、いくつかの国を己の手で〆ることになったのである。


 きちんと迎え入れたところは良いのだが、地図の書き直しなどが大変なことになったのは言うまでもない。

「大事な子供や孫たちの相手は、しっかり任せられるような相手じゃないと許さんからな!」

【いやはや、気持ちは分かりますけど親馬鹿・爺馬鹿進行していますね】

とにもかくにも、そろそろ終わりが見えてきたなぁ‥‥‥長かったというか、寂しくなってくる。

次回に続く!!


‥‥‥終わらせたくないけど、予定だと残りわずか。最後まで、お楽しみいただけますよう頑張ります。

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