表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/162

閑話 ピポの一日

本日2話目!!

初めての息抜き的閑話の初めての主役は、主人公を差し置いての人物(?)である。

【ピキッ!!】


 日が昇り、日光が窓から入って来た時に、室内に置かれていた専用の小さな籠の中に作られた寝床で、スライムのピポは体を軽く跳ねさせてしっかりと目を覚まさせた。


 泥まみれだった体は綺麗に洗われて、桃色の体色になっており、遠目で見ればピンク玉にしか見えない。



 桃色はいわば赤色と白色の混ざった色でもあり、このことからピポは火とハクロ同様の癒しの性質を持っている可能性があった。


 ただ、まだ生まれて1年も経っていないので、己のコントロールがまだ不安定で、どんな特性を持っているのかピポ自身にもまだわかっていない。


 それでも、こうやって暖かい寝床を得ることができたのは、ピポにとって幸運であった。





 生まれた直後、ピポの体は小さくて風に攫われやすく、ころころ転がって泥まみれになったりして大変であった。


 そんな時に、偶然にも近くをリューとハクロが通りかかり、その二人についていこうとピポは考えたのである。


 絶対強い存在だろうし、見過ごせるわけもないし、なぜか惹かれた‥‥‥それだけを理由に、ピポはリューの従魔となったのだ。


 その選択は正しかったとピポは思う。もし、あの時出会う事もなく、一人でいれば‥‥‥





 考えると怖くなったので、ピポは考えるのをやめて寝床から出る。


 

【あ、ピポおはようございます】

【ピキッツ!】


 すでに起きていたらしいハクロが、そこにいてその傍にはまだ寝ているリューの姿があった。


 ベッドで寝ているようで、ハクロは自分が寝ていたハンモックを片付けているようである、



【リュー様はもう少ししたら起こすとして、今はとりあえず身の回りの手入れですよ】


 ハクロに言われて、とりあえず洗面所へと二人は向かった。



 辺境伯爵家なのでそこそこ収入はあるので、水道が利用可能なようになっており、自由に水を使えるのである。


 ハクロは顔を軽く洗い、髪をといて足をタオルで綺麗に拭き、ピポはタライに水をはってそこに飛び込んで、全身丸洗いをした。


 身の回りを清潔に保つことで、出来るだけ主であるリューに対して不快感を与えないようにと努力をしているのである。


 なお、タライのサイズはピポよりも大きいのだが、ある程度の重さまでならなんとか運べるようである。



「ふわぁ~‥‥‥おはよう、ハクロ、ピポ」

【おはようございますリュー様】

【ピキ―ッツ!】


 ちょうど手入れし終わったところで、リューが起床してきたのでおはようの挨拶を交わらせる。





 その後は、とりあえず体の目覚めという事でリューはハクロと共に軽く屋敷の周囲をジョギングするのでピポも一緒についていく。


 跳ねながら移動するので走っているとはいいがたいが、それでも速いことは速い。


 短距離に限ればハクロよりも素早く動けたりするほど、そこそこ身体能力もあるのだ。





 その後は朝食をとり、午前中は家庭教師によるリューの勉強(一部免除されてはいるが、今は徐々に時間が増えてきていたりする)時間なので、終わるまでにハクロ共にお疲れ様というためのお菓子を焼いたり、一応貴族家なのでメイドとかも雇われており、そのお手伝いをして過ごし、時間が経過していく。



 午後からは完全な自由時間のようで、リューがハクロとの鍛錬をしたりするときに審判になってみたり、一緒に鍛錬して見たり、のんびりと散歩に出かけたりなどして時間が過ぎていく。


 夕食後、風呂の時間にはタライにお湯をはって、そこにちゃぷんと使ってゆったりとする。

 

「のわぁぁぁ!?別にいいってば!!」

【ダメですよリュー様!!きちんと身体を洗わないと!!】

「だったらせめて前を隠してぇぇぇぇぇ!!」


 何やら悲鳴が聞こえるが、特に問題ないのでは?


 人と言うのはなぜかその見た目に惑わされることがあるようだが、モンスターはモンスターであり、人とは違う。


 そう考えたほうが楽だよと伝えようとしたが、まぁなんとなく面白く思えたので放っておくことにピポはしたのであった。







 風呂から上がった後、ハクロがリューに叱られてはいたが……中良さそうなその光景には、ちょっとうらやましくピポは思えた。


 自分はまだ出会って間もないので、そこまでの信頼関係を築けてはいないだろし、仮契約に過ぎない。


 本契約を結んでいるハクロに比べれば、圧倒的な差があるのだ。



‥‥‥それでもいつかは本契約を結んでもらう事を約束してもらっているので、それまでの間に信頼関係を積み重ねていけばいいやとピポは考える。




 室内の明かりも消え、寝床に入ったあとピポは目を静かに閉じて思う。


 今の生活があるのは、主がいるおかげである。


 その為にも、一生懸命主のために働こうと心に何度も繰り返し誓って、意識をゆっくりと沈めていく。


 出会えてよかったこの暖かい家族のような関係。

 

 それに感謝しつつ、ピポは眠るのであった。




 リューとハクロと一緒に鍛錬をしたりしたことで、この環境に適応するための進化のエネルギーも蓄えながら‥‥‥

さてと、次回からちょっとだけ時間が飛びまして、新たな章へ移す予定。

あの国王が少々企んでいることも、あるけどね。

ついでに父ディビットの胃痛も増える予定。‥‥‥あ、これらってネタバレになるのかな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ