いつかは来ると分かっていても
出会いがあれば、別れもある。
SIDEリュー
月日は経ち、子どもたちは大きく育った。
あいや、訂正。ハーフエルフのハルはまだ小さい。ちょっと成長が遅いので、ルーンと共に今は一旦エルフの里の方に向かってもらい、すこし調べてもらうことになった。
また、人間であるルエラとクラウンは学校へ通う歳となったが、どうも夢追い人になりたいのはルエラだけのようで、クラウンはもっと学べるところへ行きたいと主張した。
一応、クラウンだけ扱い的には公爵家の嫡男みたいなところがあるので、独り立ちして一人前にすれば、きちんと公爵家の当主としてなれるらしい。
その為、クラウンだけは別の国の教育機関へ通うことになり、ルエラはザウター王国の夢追い人育成学園へとそれぞれ進学し、寮生活となるために天空城から離れてしまった。
我が子の旅立ちというのはうれしいけど、やはり寂しい気持ちもある。
また、続けて旅立っていく我が子もあった。
「シロン、ティレ、リーン、アルア、お前たちも元気でやっていくならいいけど、なにかあったら必ず連絡しろよ?」
【大丈夫だよお父さん!!】
【そうそう、修行の旅のようなものだもの】
【襲い掛かる物ならば潰すし!!】
【しっかりやっていくよー!!】
アルケニー1体、亜種のスキュラ2体、ラミア1体として巣立ち、世界を見に行くようだ。
‥‥‥にしてもリーン。お前潰すって言ったけど、スキュラなら「からめとる」か「締め付ける」が正解らしいぞ。
天空城からそれぞれの好んだ地へ向かい、そこへ下ろして皆旅立っていく。
もしかしたら、何処かの地で主として君臨したり、また魔物使いに出会って従魔として仕えるかもしれない。
我が子たちだから、早々誰かに襲撃されて命を落とすとは思えないけど‥‥‥親バカというか、不安過ぎたのでワゼに頼み、念のために皆を見守るような部隊を編成してもらった。
ミニワゼたちを更に量産しやすいようにした魔道具を使ったり、いつの間にかワゼが編成していた情報収集部隊とやらも使ったが‥‥‥やり過ぎだろうか?
【やり過ぎですってリュー様】
「やっぱりか」
少々ハクロたちに呆れられたけど‥…まぁ、魔王であり親バカでもあるというのは認めよう。
文句言うな、これが親という生き物である。
いや、ある意味モンスターペアレントと言っても間違いないかもな。
「‥‥‥にしても、ふと思ったことがあるんだが」
【ん?なんでしょうかリュー様?】
「もうそろそろちょっと渋みのあるような大人になりそうなのに、なんか容姿が変わっていないような気がするんだよな・・・・・」
「いわれてみれば、確かにそうよね」
【主様、ずっと変わっていないピキッツ】
別に不老不死とかでもないはずなのに、老けない。
20歳を過ぎたあたりから容姿が変わらないというか、老いないな。
『ああ、それ多分魔王の衣の副作用デス』
と、この疑問はワゼが答えてくれた。
「魔王の衣の副作用?」
魔王になった時に、たまにその衣をまとう者がいるそうで、リューもその衣をまとった一人である。
半自動防御と言っていいような代物だが、そんな副作用があるのか?
『自動防御・・・・・つまり、ご主人様にとって害になるようなものなどを自動的に排除しマス。それで、老化に関係する物質なども自動的に排除しているようで、寿命は変化しないようですが、おそらくは全盛期を保ったままの姿になるでしょウ』
「そんな作用があったの!?」
【というか、今更老けていなかったことに気が付いたことに驚いているカナ】
【見慣れていると、わからないものなのだよ】
まさかの老化防止作用が魔王の衣にあったのは驚きである。
もう少し詳しく調べると、その魔王の全盛期を保つ効果があるそうで、害となるものが排除されることで健康となり、寿命は変わらないはずだが、おそらくちょっとは平均よりも長くなるのではないだろうかという予測がつくらしい。
とにもかくにも、ほとんど老いないというのは素晴らしい事なのだろうか?
いや、ちょっと嫌かも・・・・・よぼよぼの老人になるのも少々困りものだが、きちんと年を追いないというのは、やはり人間として何かを捨ててしまったような気がするからね。
ま、それはそれで別に良いか。いつかは必ず死が訪れるだろうし、その時までみんなで楽しく暮らせればいい。
そう思いつつ、リューは気にしないことに決めたのであった。
『あ、早速ですがルエラが学園でやらかしたようデス。絡んできた馬鹿を瞬殺いたしました』
「我が子ながら、いきなり何をやっているの!?」
‥‥‥いやはや、やっぱりまだまだ子供は見離せないようだ。
‥‥‥なんとなく、この後のリューたちの子供たちがどうなるか気になるところ。
精神的にはたくましく育っているようだけど、魔王の子供だけにどこか常軌を脱していそう。
大丈夫かなぁ?
次回に続く!!
ちょっと次回は閑話です。




