苦行かも
ちまちまっと時間が進んでいく感じである
SIDEリュー
・・・・・ハクロたちに子がなせたという話から3カ月後。
今、リューたちは天空城内部のハクロの部屋に来ていた。
そこは今、彼女が居心地のいいように巣を張りまくっていたのだが・・・・・
「‥‥‥これが、卵か」
【そうです。丁寧かつ慎重に包み込み、生まれるまで気を抜けませんよ】
巣の中にあった、一つの大きな糸の塊。
その中に、ハクロが生んだ卵が入っているのである。
アラクネは子ができると、一旦卵にして体外で保存するらしい。
そして、卵を常に見守るために本能的にそばにつき、絶食してまで離れないそうだ。
胎生とかではないのには理由があって、お腹に子供がいると巣の上でのバランスが取れなくなってしまうのだとか。
‥‥そんなに繊細なバランスがあるのだろうか?
【この中に、リュー様との大事な子供が入っているのです。なので、生まれるまで目を見離せないんですよね】
大事そうに糸にくるまれた卵を撫で、ハクロは母としての自覚を持った優しい笑みを浮かべる。
【・・・・・でも、本能のせいか絶食状態なんですよね。お腹が減っているはずなのに、卵の傍から動けませんよぉ】
「‥‥あとで、ご飯持ってきてあげるから我慢してくれ」
ただ、本能で卵の傍から動けなくなっていたようで、涙を流すハクロ。
母としての愛はあれども、空腹は辛そうだ。
栄養価が高いご飯を後で持ってこないとな‥‥あれ?でもそういえば。
「本能で絶食状態なら、ご飯を持ってきても食べられるのか?」
【・・・・・・あ!?】
悲しいことに、絶食続行決定。
おそらく、子が生まれるまでにハクロは確実に痩せるであろう。
子が生まれるまでの過程で、一番つらいのはハクロのようであった‥‥‥なんかごめん。
なお、アラクネの場合、子供が孵化するまでの時間は人間と大体同じぐらいらしい。
よく十月十日とか言うが、それは違うそうだ。
だいたい260~280日ぐらい、つまり大体9カ月ほどが正解らしい。
・・・・・つまり、現在大体3ヶ月経ち、卵を産んでいるとはいえ受精したその瞬間からアラクネの抱卵期間は計算されるので、9-3=6か月。
つまり、予定ではあと180日ちょっとである。
‥‥‥絶食、それだけ持つのだろうか?
何にせよ、ハクロの絶食期間はまだまだ続くのであった‥…ちなみに、孵化の時期とヴィクトリアの出産予定日は近いそうなので、うまいこと行けば同時に新たな命の誕生を見ることができるかもしれない。
ちなみにプチ豆知識。
抱卵で絶食するので有名なのは皇帝ペンギン。彼らは約3ヶ月ほど耐えるのだ。
そう考えると、アラクネの絶食期間は彼等よりもかなり長いのである。
「確か、ペンギンの場合は40%近くも体重が落ちるんだっけ・・・・」
なんにせよ、次回に続く!!




