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閑話 ムーカスのその後

悪役というか、中途半端な人物だったな。

SIDEムーカス


 わたしの名はムーカス。

 

 もはや家名なども消え去り、ただの一個人でしかない。




 かつてわたしは考古学者をしており、そのさなかで天空城に関する文献を発見し、その所持の正当性をもってして手に入れ、天空城にあるとされる古代兵器などの力によって、世界を収めんとした。




 だがしかし、天空城は先着1名でしか手に入れられず、その所有を得られなかった。



 その事に納得がいかずに抵抗を試みたが、結果としては恐怖を味わい、危く目が見えなくなるところであった。


 というか、あれは鬼畜だろう。




 何にせよ、このことによって私の野望も潰え、捕らえられた。


 ザウター王国への軍隊を引き連れての不法侵入および、魔王に対しての完全な敵対行為。


・・・・・いや本当に、自分がものすごく馬鹿だったと後悔したが、もはや遅い。



 もともとあったあの堕落した屑王のいた国ともつながりもなくなり、牢につながれて2ヶ月ほど経過した辺りで、突然釈放された。


 何もかもを失い、もはやあの魔王に対しての逆恨みでしかない復讐もできないだろうと判断されたに違いない。




 まぁ、その通りなので何もできず、しばらくの間慣れない肉体労働に費やす日々となった。


 




 それから月日が経ち、いつしか私は再び考古学の道へ戻っていた。


 やっぱり、自分にはこの道しかなかったからである。


 いづれにせよ、私はもう二度と天空城を手に入れるような欲望を持つことはない。




 いつしか結婚し、共に過ごせる伴侶もでき、子どももできた。


 皆にはしっかりと、自分の欲望に対しては、己を超えるものを抱いてはいけないと教育し、立派に育て上げる。


 もう二度と、自分と同じような間違いを犯させぬためにしっかりと覚え込ませると、皆きちんとその教えを受け入れ、身の丈を超えるような欲望を持たず、子どもたちは真面目でいい子に育ってくれた。







 それから長い月日が経ち、今は孫たちに囲まれて静かに自分の死を待つだけになった。


 風の噂では、あの自分がかつて歯向かった魔王が、かつてわたしが在住していたあの腐りきっていたような国と同様の屑王国に対して潰したと言う話もあったが、やはり国一つを滅ぼせるだけの魔王を相手にしたのは、あの時の自分が間違っていたのだと、改めて思えた。



・・・・・とはいえ、自分が変わるきっかけになったことを考えると良い体験だったのかもしれない。



 みなに見守られながら、だんだん私は意識を手放していく。



 あの日、もし天空城を手に入れようと思わなければ、このような穏やかな最期を過ごせなかったのだろうか?




 今考えても、その答えは出ないだろう。


 けれども、このように最期を迎えることができて、良い人生だったのかもしれない…‥‥

こういう役でも、最後の方にゆっくりさせてみたかった。

なんにせよ、次回は新章。

ちょっと忙しいかも?

次回に続く!!

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