拠点が欲しいこの頃
新章開始!
ついでに、活動報告にて書いていますが、ノクターンで新たな連載を始めました。
SIDEリュー
・・・・・夢追い人として活動し、早数年が経過した。
ランクはEXランクであり、ヴィクトリアがランクをAまで上げたぐらいの変化はあるだろう。
そんなある日、ふとリューはつぶやいた。
「・・・・・拠点が欲しいな」
「拠点?」
この数年間、あちこちの宿屋に滞在したり、野宿したり、さまざな国を渡っているのだが、考えてみれば落ち着いた場所がないのだ。
というか、拠点を構えにくい理由はある。
まず、拠点がはっきりしてしまえば、そこに住んでいるという事を明確に述べることになる。
今、リューは夢追い人として活動してはいるが、黒曜魔王としても有名になって来たのだ。
魔王として持つ力も大きく、それを狙ってくるような馬鹿がいたりして、拠点を構えたらそこに来る可能性がある。
また、基本的に依頼の中には数日間は確実に留守にするようなことがあり、拠点を構えたところで泥棒とかが侵入しそうなこともあげられるのだ。
「とはいえ、どこかしっかりと帰る場所が欲しいんだよなぁ‥‥」
居心地が良く、リラックスできる場所。
「帰る事が出来る場所というのが欲しいと思わないか?」
「・・・・・まぁ、確かに欲しいですわね」
【安心して巣を這って、そこでぐでっと力を抜きたいですね】
【ピキッツ、身体を思いっきり伸ばしてリラックスできるのが良いよ】
【薬品とかを作りまくって、その保管場所としても充分可能なところが良いカナ】
【ふかふかの布団をゴロゴロ転がれる場所があるならいいのだよ】
「‥‥その尻尾や羽、角はどうなのだろうかとツッコミがあるが・・・・・まぁ、自分としては経恩を下げないような温かい場所だったらいいかもな」
『個人的には掃除のし甲斐がある場所が良いデス。メイドとしての仕事もきちんとできるのがベストでデス』
思いのほか、皆も賛成してくれたのでリューたちは拠点を作ることにした。
・・・・・・とはいえ、どこにどのようなものを作るべきだろうか?
気温が程よく、広く、なおかつ不審者が来ないで、部屋数もそこそこあるような拠点となると‥‥‥条件を考えるとなかなか難しい。
「うーん、わたくしとリューの結婚・・・・婚姻関係により、魔王とはいえ立場的には公爵家のようなものですし、その公爵家用の土地を使用できないものかしら?」
「それは難しいんじゃないかな。アレン国王・・・・・お義父さんに尋ねてみたとしても、仮にもあの人は国王で、俺は魔王。王の立場同士が同じ国に居つくというのも面倒事がありそうだもん」
【それならば誰の所有権もないような土地辺りが良いのでしょうけど・・・・・そんな場所はかなりの辺境になりますよね】
悩みつつも、なかなかいい案が出てこない。
【いっその事、空に浮かぶ拠点とかだったら面白そうなのだよ。誰もそう簡単に来れないだろうし、移動しながらだからすぐに帰れるのだよ】
【まぁ、そんなものは夢物語のような物カナ】
ランの言葉に、あはははとファイがそう答える。
空飛ぶ拠点って・・・・・ラ〇ュタかよ。いや、まぁあれも理想的かもしれないけどさ。
『空飛ぶ拠点・・・・・いえ、もしかしたら可能かもしれまセン』
「え?」
と、その言葉で何かを思いついたのか、ワゼがそうつぶやいた。
飛〇石とかないのに、可能なのか?
『ここがその地であっていますかネ』
「いやちょっと待てワゼ、ここで本当に遭っているのかよ?」
ワゼが思いつき、リューたちはその場所へ向かったのだが・・・・・・
【ここってオーラ辺境伯爵家領地『ラストリモの森』の森ですよね?】
たどり着いたのは、懐かしのラストリモの森だった。
ここは昔、ハクロと出会った場所でもあり、思い出深い森だ。
「確かあの時、ハクロがでかい怪鳥に襲われて、そこから今に至るんだっけ・・・・・」
思い出すと結構懐かしい。
守りたい、そう思ったきっかけで魔法も扱えるようになったんだよね。
昔に比べ切り開かれて、開発がだいぶ進んでいるのだが、それでもこの森は外部から見るのと比べ、不思議なことに森の内部はかなり広いままである。
この森はモンスターも滅多な事では出現せず、一説ではとある魔王が愛した地とも言われているはずだ。
「でも、なんでこの森の奥の方へ向かうんだ?」
『情報収集を行っていた時に、この森についての古い文献を見つけまして、かつてとある魔王がこの地を愛していたというのは証拠づけられましタ。ですが、ここにモンスターが寄り付かないのは魔王が愛した地だからという理由だけではなかったのデス』
・・・・・・どういうことだ?
ワゼの説明に疑問を覚えつつ、リューたちが奥地の方へ進むと、急に開けた場所へ出た。
ここまで奥には進んだことはなかったのだが、そこには小さな祭壇のような物があった。
「この森に、こんな場所があったのか・・・・・馬車で進まないと結構時間がかかるし、知らなかったな」
【そうですね。リュー様と一緒に遊んだことはありましたけど、こんな場所があること自体知りませんでしたヨ】
その祭壇のようなものに驚いていると、ワゼが懐から何か手帳のようなものを取り出した。
『念のためにミニワゼたちで再調査してもらったのですが‥‥‥えっと、手順がいるのですカ』
そういうと、ワゼはその祭壇に目を向けた。
見れば、その祭壇御中央に一本の石柱が立っており、中々の太さである。
『‥‥‥ご主人様、少々お願いなのですが、その石柱に魔力を思いっきり流してくれませんカ?』
「え?これが何かの鍵とかそういうパターンなのか?」
こういうのに何か仕掛けがるあのだろうか?
そう思いつつも、ワゼの言うままにリューは石柱に手を付け、魔力を流すことにした。
「大体どのぐらいの量だ?」
『総量の半分程度でいいかと』
・・・・・・かなりの量にならないか?
もはや魔力量が魔王になったことで測定不可能になっているリューであり、その半分と言われても検討が付かない。
まぁ、大体身体が少し疲れるぐらいかなと思いつつ、魔力を流した時だった。
・・・・・・・・ズズズズズズズズズズズズズズ
「!?」
【地面が揺れていますよ!?】
魔力を流した途端、地面が揺れ始める。
地震かと思ったが、地震の揺れにしては揺れ方がおかしい。
警戒しつつ、辺りを見渡すと・・・・・・・ふと、周囲に何やら影が落ちた。
「え?」
皆で上を見上げると…‥‥そこには、何かがあった。
かなりの大きさであり、気が付けば石柱にドアのような物が出現し、その上の部分が光り輝いてつながっている。
「もしかして、これってエレベーターのようなものか?」
どうやら、あの上空に突如として出現したものへの入り口のようなものだったらしい。
よく見れば、ドアの横にエレベーターでおなじみの△▽のボタンが付いていて、上の方にランプがついていた。
・・・・・・ああ、これマジでエレベーターじゃん。
この仕掛けが、この地を愛したという魔王のものならば、ほぼ確実にその魔王は転生者の可能性が大きい。
何はともあれ、その中にリューたちは乗り込んでみるのであった‥‥‥‥
石柱に出来たエレベーターのようなもの。
それに乗り込んだ先には何があるのか。
そして、上空に出現した物体とは?
次回に続く!!
・・・・・本当はラピ〇タネタ詰め込みたい。