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苦労しているのだと実感

本日2話目!!

苦労性な人はどこにでもいるんですよ。

「へ、へ、へ、陛下ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!また何をやっているのですか!!」

「えー、単に辺境伯爵家の様子を見に来ただけなんだが?」

「いちいち陛下が抜け出すのがいけないんだよぉぉぉぉぉお!!」




‥‥‥アレン国王が来てから3時間後、宰相カクスケと言う人が我が家に来て、国王に素早く詰め寄って現在説教中のようである。


「お父さん、あの国王って偉いんだよね?」

「‥‥‥ああ、偉いんだぞ」

「それなのにあの宰相の人叱っているけどいいのだろうか?」

「『上に立つ者は、下々の者の声もしっかり聴かねばならない』と、以前国王陛下は我々に向かって演説をしたことがあり、それを理由に許しているようだ」

「でも懲りていないような?」

「それを言うなよ」


 父のディビットの横に立ちながら、リューはその様子を生暖かい目で見ていた。


 と言うかお父さんよ、あの宰相を見る目がものすごい親近感と同情心あふれる目になっているぞ。





 宰相カクスケとか言う人だが、頭頂部の髪の毛が後退しているような‥‥‥相当苦労しているんだろうな。


 なんとなくわかっちゃったけど、同情するよ。


 がみがみと国王に対して怒鳴っている宰相が普段どれだけ苦労しているのか、その髪の状態を見て、思わず俺は同情をしてしまうのであった。



「ハクロ、あの宰相に帽子を作って毛の再生できない?」

【無理ですね。ちょっとは癒す効果が働くでしょうが、原因をなんとかしないとまったく意味がありませんよ】


 ふと思いついた提案をハクロに話してみたが、ふぅっと呆れたようにハクロは肩をすくめた。


 モンスターにも飽きられる様なやり取りってどうなのだろうか。







 1時間ほどやり取りがあったと、ようやく国王に対しての説教が終了したようで、すぐにでも彼らは帰るらしい。


 

「本当にすいませんでしたディビット辺境伯。うちの大馬鹿コホン、国王陛下が飛んだ迷惑を‥‥‥」

「いやいや大丈夫ですカクスケ宰相殿。陛下に関してのお悩みは、臣下一同の共通の悩みであり、貴方だけの問題ではございませんので‥‥‥」


 あなただけの問題ではないとか、臣下一同共通の悩みって、そんなことが言われる人が国王でこの国本気で大丈夫か?



 リューは不安になりつつも、ちょっと別御場所に置いてあるという移動用の魔道具(マジックアイテム)の場所へ向かう国王たちが去るまで、物陰からその様子を見ていたのであった。




「ふぅ、やっと去ったか国王陛下たちは」

「お父さんって大変だよね‥‥‥あんな人が突然訪ねてくるなんて」

「ああ、本気で大変だからな。有能であり、皆の事を考えてくれる良い国王なのはわかるのだが、それでもああやって自由気まま過ぎて皆本気で不安になる相手でもあるのだよ」


 はぁぁぁっと、長い溜息を吐くお父さんの姿を見て、俺はなんとなくどれだけ苦労しているのか、よくわかったのであった。


‥‥‥もう来ないよねあの国王?



――――――――――――――――――――――――――――――――――

SIDEカクスケ宰相(一人称視点)



 はぁぁぁぁぁぁっ、本気で毎回この陛下は政務をサボってあちこちへ逃亡するとか、本気で王としての自覚はあるのだろうか。


 初代国王陛下よ、あなたはなんてものを創り出し、そして陛下にまで受け継がせてしまったのだろうか。


 一瞬にして長距離を移動できるような魔道具(マジックアイテム)を王族に受け継がせるのは、万が一の国王陛下の避難に対しては有効的な手段だが、自由奔放的なこの御方には与えてはならない物ではないだろうか。



「ちっ、今日の書類はこれだけあるのか」

「陛下が逃げた分ですよ!?」


 帰還後、執務室に陛下をお連れしたのだが、そこに置いておいた仕事の山を見て、舌打ちするのはだめでしょうが!!あんた一応この国の国王だよ!!



「あーあ、どうせならもう少しあの領地で観察したかったのになぁ」

「何をですか?」


 陛下がため息を破棄ながら言ったので、適当な返答を返す。


「ん?オーラ辺境伯爵の子息がどうも従魔を得たようでな、その従魔がホーリアラクネだったんだよ。諜報員をこっそり各貴族に送っているのだが、その報告で偶然聞いて興味を持ったんだよね」

「なるほど、ホーリアラクネですか‥‥‥ん?」

「どうしたカクスケ宰相?」


 ふと、なにかとんでもないことをサラっと陛下が言ったような気がした。


「えっと、もう一度行ってください陛下」

「オーラ辺境伯爵の子息が従魔を得た」

「いやその後です」

「その従魔がホーリアラクネだった」

「‥‥‥ホーリアラクネぇぇぇぇぇぇ!?」


 なんてもんを従魔にしているんですかその子息は!?


 幻獣種であり、その糸は最高品質で幻の素材とも言われ、聖なる癒しの力を宿すとも言われているモンスターですけどぉぉぉぉぉぉ!?


「本当ですか陛下!?」

「‥‥‥本当だが、気が付いていなかったのか?」


 慌てて陛下に詰め寄って聞くと、当たり前だろ言わんばかりにきょとんとした顔で平然とそう言った。



 思い出せ、思い出すんだあの辺境伯爵家の様子を。



 元騎士であり、忠義心が強かった辺境伯はいいつぉいて、確か物陰にちらっと誰かが見えていたはずだ。


 ああ、あの黒目黒髪の子供は良いとしてだ、いやそれはそれで色々と何の属性を使えるのかが気になるのだがおいておいてと。



 確かその子供の後ろに、綺麗な女性がいたような‥‥‥全体的に白っぽくて、ちらっと見た程度だと蜘蛛の足が‥‥‥



「いたのかよ!?」


 チラ見する程度でよく見ていなかったのだが、なんとなく頭に残っていた。


 確かに、アラクネのようなものがいたとはいえ、あれは特徴から言って確かにホーリアラクネじゃないか!?



「身のこなし方や、相手を伺うところから相当な潜在能力も感じ取れてな、それにそのアラクネを従魔にしている辺境伯の息子もまた相当な潜在能力があるだろう。国に置ければ物凄い利益があると思うのだが‥‥‥」

「そりゃそうですけどツッコミどころが多くてしきれませんよ!?」


 幼いのに既に従魔持ち。


 実力相当あり。


 従魔がそもそもホーリアラクネという幻獣種。



‥‥‥ああもう、厄介ごとの火種にしかならない。


「幸いなことに、よく理解していない貴族は辺境伯など田舎の物だと考えて注目はしておらず、情報は入っていないようだ。いや、こちらでも馬鹿たちに力を与えるような真似をさせないように情報操作もしているんだがな」



 辺境伯は国境近くの国防の要であり、その重要性は高い。


 けれども、田舎だと思って舐め腐る馬鹿もいたりして、そのおかげで積極的に除法を集めるようなことはしないらしい。


 利益に敏い貴族たちはすでに気が付いているようだが、今はまだ様子見の段階だとか。


「だが、あの少年の従魔だという事は、彼が行く先であの従魔も一緒についてくる。まだ5歳だというし、当分は辺境から出ないだろうが‥‥‥10歳となれば、学校へ通う時期のはずだ」


 辺境伯の息子は4人いて、その従魔にしている、要は魔物使いなのはその4男だとか。


 情報では、次期当主になれる可能性が一番低いから夢追い人(ドリーマー)育成学園へ通う可能性が高いそうだが‥‥‥そうなれば、あの辺境から出てきて自然と人目に付きやすくなるはずだ。




 そうなれば、当然ホーリアラクネについての情報も知れ渡りやすくなり、何とかして手に入れようと画策するような輩が大勢出てくるだろう。


 ホーリアラクネの生みだす糸は莫大な利益を得るというし、癒しの効果がある上に鎧以上の強度があるから戦闘時にも役に立つ。


 それに、容姿も人間で言うところの美女の類に入るようだから、妾とか欲望の吐き出し口にへと考えるような輩が出てもおかしくはない。


 そうなれば当然、その主である少年が邪魔になるだろうし、懐柔しようと企む輩も出てくるだろう。



「どう考えても火種になりますよ!」

「だろう?そこでだ、我はとっておきと言うか、面白いことを思いついたんだよな」


 厄介ごとになる可能性は、どうやら国王陛下も考えていたらしい。


 普段はあちこち勝手に行く問題時でもあるのだが、こういう事態だと本気で有能になる。


「面白いことですか?」

「ああ、馬鹿共のせいで、せっかくの国にとって利益になるような者達が去ってしまうのは重大な損失だ。だからと言って、国が直接後ろ盾にすることもできない。何しろ辺境伯の4男であり、その重要性を理解していない者たちにとってはなんでそいつがだという反感を持たれるだろうからな。だったら自然に(・・・)後ろ盾できるようなことをしてあげればいいのだよ」

「と言いますと‥‥‥」

「まぁ耳をかせ、一応我も親ゆえに子の幸せを願うからこそ、思いついた一石二鳥という初代陛下の残した言葉の通りになる方法だ」


 耳を近づけ、陛下のその案を聞いて‥‥‥思ったことがある。


 国王陛下、何で本気で真面目にやらないんだろうか。


 そこまで考える頭があるのに、何で毎回逃げ出すのだろうかと。




 ただまぁ、その案は成功する確率はあるのだが、本人次第という点があるのが問題だ。


「失敗する可能性もありますが」

「そこはこちらで何とか後押しや援護すればいい。うまいこと行けば将来的に害になる者たちを排除できるだろうからなぁ」


 くっくっくっくっくと、腹黒い笑みを浮かべる国王陛下。


 本当に、この方は困った御方だ‥‥‥有能なのに、なんで方向性を間違えようとするのだろうか‥‥‥





 宰相カクスケははぁっと溜息を吐きつつ、国王陛下の案が成功するように祈ることにした。


 そして退室後、胃薬がそろそろなくなりそうなので、買いに向かうのであった‥‥‥



‥‥‥何気に初代国王陛下についての伏線です。覚えておいて徳は‥‥‥あるのかな?

さてさて、国王陛下が思いついたこととは何だろうかね?

次回に続く!!


‥‥‥宰相カクスケ、本当は水〇黄門のあの二人組のようなことをやらせる予定でしたけど、なぜかこうなりました。何でかな?

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