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自由に過ごしたい魔物使い  作者: 志位斗 茂家波
夢追い人(ドリーマー)になり、そして魔王にもなるで章
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久し振りの再会

少々年月が飛びまして

「‥‥‥なぁハクロ、この状況ってどうなんだろうか?」

【えっと…‥何とも言い難い状況ですよね】


 …‥この状況を飲み込みにくいリューのつぶやきに、同意してハクロはそう答えた。


 目の前には、大勢の人たちが土下座しているのだが…‥‥なぜにこのような状況になってしまったのだろうか?








 時が戻ること数時間前、リューたちが夢追い人(ドリーマー)になってからすでに数年が経過しており、いつしか「黒曜魔王」という名が定着していた。


 今、彼らがいるのは久しぶりのクラウディア森林。


 この森にある湖はファイの故郷でもあるのだが、今回はギルドの中にあった依頼でこの森に来たのである。



「今回の依頼の内容が『森林奥のエルフの集落調査』だし、久し振りにアルべリアに会う機会だな」

【久し振りにというか、もう数年経過していますけどね】


 リューの言葉に、ハクロがそう返答する。



 エルフでもあり、そして今は無き神聖国の預言者であったアルべリア。


 彼女は現在、この森林奥のエルフの集落で世話になっているはずである。


 別のエルフの集落の者ではあったが、どうやらきちんと受け入れられているようだが‥‥‥



「でも、今回のその調査内容が『エルフの長の病』についてというのも気になるな‥‥」


 クラウディア森林のエルフ族の長は、このザウター王国のアレン国王とは友人らしい。


 そして、類は友を呼ぶという言葉の通り、アレン国王のような人でもあるそうなのだ。




 そんな人は病とほぼ縁がなさそうだが、現在何かの病を患っているらしく、それでなかなか表立てなくなっていると言う話もある。


 そこで、病の事なら分析をワゼ、治療薬の生成が可能なファイがいるリューたちはその依頼を受けることにしたのである。


 まぁ、簡単に今回の依頼内容をまとめるのであれば「エルフの長の診察及びその他病にかかっている人がいないかの調査」となる。



【ついでに湖の方にもよりたいカナ。今長をやっているのはマグナマズのはずだし、きちんとできているのか知りたいカナ】


 ファイがそうにこやかに気分よさげにつぶやく。


 

 この森林の湖で元々長をやっていた彼女にとって里帰りに近いのだろう。


 まぁ、今は病人が先という事でまずは集落の方へ向かったのだが・・・・・・








 現在、なぜかこうしてそのエルフたちに土下座されているのであった。


「いやだから、何で土下座・・・・‥」


 遠くで見たら普通に生活していたけど、村に入ったとたんに集まって一斉土下座だぞ。


 

「よ、ようこそいらっしゃいました黒曜魔王様!!」


 エルフの一人がそう叫び、それに続けて他のエルフたちが魔王様と連発する。


…‥‥いや、なんでこの状況になっているのか誰か説明をしてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!









「くくくっつ…‥あーはっはっはっはっはっは!!来て早々皆が何かを騒いでいると思ったら、そういうわけじゃったのか!!」

「いや、本当にどういう状況だと説明してほしかったぞ!!」


 それから数分後、アルべリアがリューたちを迎えに来て、長の家に招き入れていた。


 久しぶりに会った彼女は数年前とはあまり姿は変わってはいないが、楽しそうな様子である。


 アルべリアは心待ちにしていたようだが、その前にまさかの村の全員が魔王に対して土下座をしたというのがツボにはまって笑っているところはハリセンでしばき倒したいけどね。。


「いやな、リュー殿。この村ではどうやら魔王は完全に畏怖すべき存在のようで、その為魔王が来ると分かったとたんに慌て始め、歓迎の用意をしていた最中に来てしまったので、思わず皆土下座という最高位の敬意の印を見せて怒りの火の粉が来ないようにしていたのじゃよ」

「…‥え、それってつまりこのエルフたちは魔王としての俺を恐れているのか?」



 ほとんど接点もないのに、一体何をどうして恐れるものがあるのだろうか。


「ん?考えてみるのじゃよ。噂に聞くだけでも大勢の者を倒し、強大な従魔も引き連れ、どんな攻撃も防御しつつ、攻撃に転化してもすさまじい力を持つというだけでも、かなり畏怖の対象にならないかのぅ?」

「‥‥‥」



 何も言えない。


 うん、考えてみれば魔王とかそういう前にそれだけのやつがいるなら確かに恐れるわ。


【でもリュー様自身の事ですよね?】

「ハクロ、それはツッコミを入れてはいけない」


 わかってはいるけど、改めて人に言われると心にちょっと来るものがあるんだよなぁ…‥








 とにもかくにも、まずはここに来た目的をリューたちは思い出した。


「そういえば、ギルドの方にあった依頼で来たけど…‥ここの長が謎の病にかかっているというけど、どういうことだ?」


 リューがそう尋ねると、アルべリアは何やら困ったような顔になった。


「ああ、その依頼を出しておったが…‥ううむ、説明するのもなんじゃし、まずは見てもらうほうが良いじゃろうな」




 そう言い、リューたちを長の下へ彼女は案内し始めた。


 普通、こういうのは集落の中でも代表格の人がやりそうなものだが、ここに住み着いて数年の間に彼女はここのエルフたちの中でも次期長と呼ばれるまでに地盤を固めたらしい。


 流石、元預言者とも呼ばれていたこともあって、その才能はあったようだ。








 ‥‥‥歩くこと1時間ほど。


 エルフの集落からさらに奥にあった洞窟に、リューたちは案内された。


「…‥遠くないか?」


 集落からやけに離れすぎているような気がするのだが、ここに本当に長がいるのだろうか。


 というか、聞くところによるとあのアレン国王に似ているそうだから、こんな人がほとんどいないところに住み着かないような気がするのだが…‥


「実はのぅ、やむを得なかったんじゃ。あの病のせいで長は一族の者たちを襲い掛かりたい衝動にかられ、自らを戒めるためにこの洞窟に望んで拘束されているのじゃよ」

「それだけ酷いってことか…‥」



 洞窟内は明かりがあまり入ってこないようで薄暗い。


 アルべリアがたいまつを持ってきたようだが、ピポが自らを発火して明かりとなり、中を照らしていく。


 その奥へ進むと‥‥‥そこには。


「・・・・・長、治せるかもしれない者たちが来てくれたのじゃ」


 アルべリアが恭しく頭を下げ、洞窟の天井に吊るされて拘束されている長にそう話かける。


「うむ…‥よくぞ来てくれた客人たちよ」


 こちらの方を大きな目で見て、そう答えてくれたが‥‥‥予想外である。


 そこにいたのは何やら巨大な大蛇だったのだ。



「リュー殿、長は今は大蛇の姿じゃが、ほんの1ヶ月ほど前はただのエルフじゃったのじゃ・・・・・」

「つまり、エルフから大蛇の姿になったという事か!?」


 さすがにこれには驚きを隠せない。



 一体何をどうしたらそうなるのかはわからないが、どうも物凄い厄介ごとに首を突っ込んでしまったようであった。


エルフの長の病。

それは体がエルフから大蛇へと変容し、人を襲いたくなるというものであった。

一体何がどうなってそうなったのかは不明だが、明らかに厄介事であろう。

次回に続く!


・・・・・・上半身が女性のラミアとかナーガじゃなくて、本当に大蛇の姿。例えるのならば某2作目の魔法使いの映画にいたバジリスクとか、別映画のアナコンダのような感じかな。

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