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自由に過ごしたい魔物使い  作者: 志位斗 茂家波
夢追い人(ドリーマー)になり、そして魔王にもなるで章
135/162

鉄橋の怪物

閑話からのリュー視点。

こういう形もたまには面白いかな。

SIDEリュー


‥‥‥夢追い人(ドリーマー)になってから数カ月が経過した。


 一旦グレイモ王国を出て見て、どこかに拠点を作ってみたほうが良いだろうと皆で結論を付けつつ、ギルドに向かい依頼を見て、それを受注し生活費などを稼ぐ日々。



 最初からEXランクという無茶苦茶さもありつつも、高ランクの依頼をあえて受けることによって高額報酬を得て、余剰金が発生したので、金を預けたりなどをしていたのだが…‥


「いつの間にか、魔王名として『黒曜魔王』なんてのが付いていたなぁ」

【黒くとがり、防御に優れ、そしてリュー様の衣の黒色のように美しさもある鉱石からきているんでしたっけ。なかなか良い感じだとは思いますが・・・・・】


 ハクロがそういうけど、ちょっと中二病みたいでリューは苦笑した。


 まぁ、変な魔王の呼ばれ方はしなかったので良いのだが、どうやらあの決闘場での魔王として見せつけたのが原因で、各ギルドにリューについての情報が回ってしまったようである。


 そして、魔王相手という事になったせいか‥‥‥どうも受付の人とかが緊張していたりするのが分かってしまうのだ。


「出来れば楽にしてほしいし、普通に接してほしいのに、命がけのような雰囲気を出されるのはなぁ」

【ギルド職員だって、魔王の怒りを買いたくは無いカナ。だから機嫌を損ねないように主殿の前で恐縮するようカナ】


 リューのつぶやきに対して、ファイがそう返答した。



 先ほど新たに訪れたギルドであったが、そこで明かに職員たちが目をそらしたのが目に見えたりしたのである。



 出来れば普通の夢追い人(ドリーマー)対応とかが良いのだが‥‥‥まぁ、リューが安全とか、危険でないと分かってくれさえすればそのうち何とかなるであろう。


 でも、掲示板で依頼を見る際に絡んできそうなやつらを叩き潰した点については考えないでおこう。


 ハクロたちに対して下卑た目で見ていたし、問答無用で潰しちゃったけど文句はないよね?


 ワゼが念のために調べたら、素行がやや悪い奴らだったようだし、これに懲りておとなしくしてほしいものである。



「ねぇねぇリュー、この『鉄橋の怪物』って正体は何だと思いますの?」


 と、ふと考えていたところで依頼書を見ていたヴィクトリアが尋ねてきた。


 先ほどのギルドで手続きを行い、受注した『鉄橋の怪物退治』。


 その件に出てくる鉄橋の怪物とやらは正体が不明な様で、人々を鉄橋に手襲い武器を奪うようだけど‥‥‥



「うーん、よくわからないかな。ただ、なんとなく人間とかじゃなくてモンスターなような気がするんだよね」

『情報によると、真夜中に武器を持った人が鉄橋を一人で渡る際に現れ、勝負を挑み、そして敗北した者はかw内投げ捨て、武器を奪っていくそうデス。どの形状の武器でも構わないところを見ると、武器の収集癖がある可能性もありマス』


 ワゼがさっと素早く集めた情報を述べる。


 どことなく、前世の地球の、牛若丸対弁慶の話を思い出したけど‥‥‥似たような事例って、どこの世界にでもあるのだろうか?




 とにもかくにも、この依頼はなんとなく面白そうだという事で受けたのはいいが、ここで一つの疑問があった。



「武器を持って、なおかつ一人で鉄橋を渡っているときに出るんだよね?それって鉄橋の周囲で仲間が囲って正体を見届けたりはしなかったのか?」

『それがどうも周囲に深い霧が出て、それに紛れて犯人は逃げるようデス。霧を周囲に‥‥‥という点で、幻術系のものかはたまたは水魔法の類、もしくはアンデッド系のモンスター特有の「登場煙」によるものかと思われマス』


――――――――――――――

「登場煙」

アンデッド系のモンスターが使用することがある特性のようなもの。

出現する際に、周囲に深い霧を発生させ、自身への恐怖を高める際に使用されることがある。

また、中には毒が含まれていたりするなど、様々な効果が確認されており、油断すれば餌食になってしまう。

―――――――――――――


‥‥‥いろいろとツッコミを入れたいが、ようは姿を隠して相手を驚かせるための必要な煙幕のようなものであろう。


 そのせいで、今までその鉄橋の怪物とやらの正体は不明だったようだ。


 実際に対峙した人たちから話も出るそうだが、その証言がどれも不整合なものが多いらしく、曽於楽幻覚のような効果がある可能性も否定できなかった。


 煙を捲かれ、視界を遮られての攻撃は確かに防ぎにくいものがあり、そして武器を奪われてしまうのも無理はないだろう。



 だがしかし、それに対抗できる手段をリューは持っていた。


「この『魔王の衣』の自動防御能力があれば、不意打ちだろうと対応できるだろうし、何とかなるだろう」

『成功確率90%以上ですし、良い手段だと思われマス』



 魔王となってから常に装備状態にある魔王の衣‥‥‥これならばほぼ自動的に防御してくれるので不意打ちに強い。


 まぁ、油断大敵という言葉もあるので警戒は怠らない。





 この怪物は「一人で」という条件があるので、対応するのはリューだけ。


 万が一があればすぐに対応できる状態にして、夜になり件の鉄橋に来たところで、念のためにハクロたちには端っこの方で待ってもらい、リューは鉄橋を歩きだした。



 

 鉄橋の怪物の噂の影響かわたる人はおらず、誰もいない状態。


 エサの武器として持ってきたただの長剣を背負いつつ、歩いていると…‥‥すぐにかかったようだ。



「…‥来たな」


 橋の中央付近まで歩いたところで、急に霧が発生し、周辺の視界が一気に悪くなった。


 

 真夜中なので明かりは星や月明りだけなのだが、霧のせいでほぼ見えない状態。


 自然発生したにしては不自然すぎるので、明らかに人為的な面が見える。



 周囲の音を探ってみるが、川の流れる音のせいで聞き取りづらく、確かに普通の人なら対応が難しかっただろう。





・・・・・だがしかし、リューはただの人ではない。


 魔王であり、その身を守るのは魔王の衣。



「…‥‥」


 警戒していたその瞬間、何かが霧の中で一瞬煌めいた。


 何かがリューに向かって振り下ろされたが‥‥‥



ばしぃっ!!

「甘い!!」

【!?】


 魔王の衣が自動で反応し、その振り下ろされてきたものを真剣白羽取りして受け止めた。


 その動きに驚いたのか、振り下ろしてきた主は一瞬動きを止める。


 どうやらこの攻撃を受け止められるとは思っていなかったようだが、そんなこともお構いなし。


「『重力弾(グラビティパレット)』!!」


 力魔法によって作り出された黒い球を至近距離で打ち出し、相手に命中させる。


 久々なような気もするけど、やっぱり子の魔法が一番使いやすい。



 

【ぐがっつ!?】


 一気に相手の周囲の重さが増加し、地べたにぶっ倒れた音がして、霧が晴れる。


 霧が晴れて、月明りに照らされで現わしたその正体は、地面に押し付けられて潰されそうな、全身紫色の立派な鎧に覆われた人物。


 いや、声からしてモンスターの言葉を発しており、人間ではないだろう。



 そしてその鎧・・・・・・すごく重そう。


 しかも、先ほど使用した魔法によって重さが倍増して、どうやら完全に身動きが取れなくなったようであった。


【た、助けてでござる…‥‥】

「西洋風の鎧なのに、まさかのござる口調!?」

【ツッコミじゃなくて、助けが欲しいでござる~~~~~~!!】


 リューのツッコミに対して、その鎧を着たモンスターは泣くような形で助けを懇願してきた。


「でも、お前俺を襲って来たよね?襲撃者にたいして情けをかける義理なんてものはないぞ」

【本当にすまなかったでござる!!このままだと中身がつぶれるから、なんでもするから助けてくれでござるよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!】



 自重で潰されそうになりながら本気で懇願されたし‥‥‥まぁいいか。また襲い掛かってきたら今の100倍の重さにしてkillしてあげればいいしね。

何故人々を襲い、武器を奪っていたのか。

そもそも何故この鉄橋でそんなことをしていたのか。

少々情けない面が見えるが、訳ありな様で…‥‥

次回に続く!


‥‥‥ノクターン版魔物使いの構想練り中。でも、ノクターンって18禁に設定すれば載るんだっけ?そのあたりがどうもわからないな。

まだ構想中だし、出来れば今までの魔物使いシリーズで出せなかったあんなことやそんなことも盛り込んだものにしてみたいところである。

でもなんかこう、主人公が周辺の男性達にすっごい嫉妬や怨嗟の視線で見られそうだな。


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