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自由に過ごしたい魔物使い  作者: 志位斗 茂家波
卒業へ向けてで章
124/162

危機と目覚め(何かおかしいけど)

本日2話目!!

遅かれ早かれ、いつかはこうなっていたのかもしれない。

「‥‥‥するとつまり、偶然というか、ボディソープに入れていた原材料の成分が、皆にぞれぞれにしか効果がないものがあって、見事に全部肌から吸収されちゃったと」

『そうデス。例えるのであれば皆さまは今、発情期中にマタタビを投下された猫のごとく、異性に対して過剰に反応してしまう体になったのデス。そして理性の箍が外れそうになったのですが、ご主人様は婚約者がおられる身。ゆえに、その婚姻前に純潔な身体を穢してはならないようにと、皆さまの自己判断で籠られたのデス』


 もう少し早く説明してほしかったと、リューはワゼに対してそう思った。


 その傍らでは、急に異性であるリューが現れたせいか、どうも一気にタガが外れて、その衝撃が強すぎたために体が持たず、気絶してしまったハクロたちが横たわっているのであった。



 念のためにという事で、この空き家を少々拝借し、ここでいろいろと発散して何とかするつもりだったそうな。


「色々って‥‥‥」

『そこは本人たちの自尊心を尊重して言いませんけど、モンスターと言えども人間と基本的欲求が小名異常なものですからネ。この手の事に関しては、ランが種族的にその手の知識があったのですが‥‥‥皆様初心でしたので、やれずにそのまま撃沈したのデス』


 そう言えば、ランって幻獣種だけど、分類的にはサキュバスだったなとリューは思い出した。





「にしても、ここまでその、何だ、こんな状況にしてしまう成分って、それぞれ何の影響を受けてしまったんだ?」

『詳しく列挙し、なおかつ改めて調べてみたのがこれです』


 リューの質問に答えるべく、何処からか取り出した黒板にワゼがその答えを書き始めた。




‥‥‥ところでなぁ、ワゼよ。お前その黒板本当にどこにしまっていた?明らかにお前以上の大きさだよね。


 ツッコミたい衝動を抑えつつ、おとなしくリューはワゼの解説を受けた。


――――――――

・ハクロに影響を及ぼしたもの:『カフェコヒィン』

・ピポに影響を及ぼしたもの:『灼熱草』

・ファイに影響を及ぼしたもの:『マンドラゴラ』

・ランに影響を及ぼしたもの:『ピンクメロン』


『カフェコイン』

マイルドな苦みがおいしいと評判のコヒィーンという飲み物の原材料である小さな黒い豆。眠気覚ましにもよく聞き、疲労回復もわずかにはできるので残業をする人たちにとっては欠かせないもの。

ただし、その成分にはカェンフと呼ばれる、カフェインの1万倍の効能がある成分が含まれている。

コヒィーンにした時はその成分は超・減少するため通常のコーヒー程度になるのだが、原材料のままだとなぜか10万倍に濃縮される。

‥‥‥蜘蛛はカフェインで酔っぱらうが、下半身が蜘蛛であるアラクネ系統のモンスターも同様である。ただし、普通のお茶などでは酔わず、このカフェコインの成分を摂取することで、その作用が出てしまう。

ちなみに、興奮剤としての作用もある。



『灼熱草』

「俺は燃えているぅぅぅぅ!!」となぜか叫ぶ人面植物から取れる不思議な薬草。火属性を扱う者たちを自然と惹きつけ、その力を増加させたりするのだが、それ自身が自然発火することがあるので扱いにはきちんと注意しなければならない。下手すれば、口に含んだ時に口内で着火の恐れもあり。

ノリノリのテンションになるという副作用もああるが、適切に処置すればある程度収めることが出来る。

ただし、純粋にものを摂取するスライム系統のモンスター、特に火の属性を持つ者はその作用が大きく出てしまい、過去には『プチ・ファイヤースライム』と呼ばれる小さな真っ赤なスライムがその影響で異常な進化を遂げ、『ウルトラマグマスライム』となり、一晩で村を飲み込み焼き尽くしてしまったことがある。

その為、スライムの火属性を持つ者には進化の作用、もしくは興奮剤の効果が出ると推測される。


『マンドラゴラ』

美しい花を咲かせるが、その根っこが人の赤子のような形をとる不気味な植物。引き抜くときに強烈な声を上げて聞いた者を死に至らせるというが、それは迷信。正しくは聞いた者に対して『死にたくなるほど恥ずかしい行為を大勢の目の前で披露してしまう』という、社会的な死をもたらせるだけである。

このせいで、とある国の国王が国民の目の前で、諸事情によってマンドラゴラを引き抜いてその悲鳴を聞き、見事にやらかして自殺しようとしたのを全員で必死に止めたという記録がある。

薬の効能としては、精神的に安定させたり、悪人を改心させたり、作物を通常の収穫量の10倍以上にさせるなど、精製方法によってさまざまな効果がある。ただし、変な精製を行うと香りはいいが、快楽を与える拷問用のアレな薬になってしまう。




『ピンクメロン』

ピンク色の綺麗なメロン。値段としてはやや高めだが、その穏やかな甘い香りと上品な味わいが人気の果物。薬品の材料として扱われることもあり、サキュバス御用達のものになるという時点で、既に太守が察している。

なお、普通に食べたら平気。変な事をしない限り、本当にまともな果物。


――――――――




‥‥‥黒板にそうワゼが書き終え、解説を聞いてリューは思った。


 本当に、何という事をしでかしてくれたのだと。


「つまり、ファイのやらかした結果が、皆も巻き込んでしまったというわけか‥‥‥」


 頭を抱え、リューは溜息を吐いた。



 というか、ここまで見事にみんなの種族にちょうど影響を与えるものをなぜ選んだ。


 本能的な好みが作用したのか、それとも神のいたずらか。




 と、ここでリューはふと気が付く。


 それだけの作用のある物を皆が皮膚からとはいえ摂取したという事は‥‥‥‥



「あれ?もしかして今‥‥‥俺の貞操ヤバイ?」

『Yes』


 ぐっと指を立て、きらりと目を光らせるワゼ。


 なぜ今英語で答えたワゼ。お前の制作者、やっぱり前世が地球の奴だろう。



「!?」


 ふと何かものすごい悪寒がして、リューは周囲を見渡した。





…‥‥ああ、時すでに遅かったのかもしれない。


 いつのまにか気絶から覚めたらしいハクロたちが周囲を囲み、逃がさないように厳重に網も魔法も電撃も炎も利用してとり囲んでいた。


 皆の息はやや粗く、どこか目がぎらついているようにも見える。


【り、リュー様本当にごめんなさい!!ですが、もう精神的に持たないのです!!】


 物凄く申し訳なさそうな顔で、それでいて本能には逆らえぬとばかりにハクロがそう叫ぶ。



シュルルル!!

「うわっつ!?」


 すばやく糸が飛んできて、リューの手足を拘束し、逃れられないようにされた。


 そのままリューは背中から倒れ…‥いや、ハクロに押し倒される。


「ちょ、ちょっと待てハクロ‥‥‥いや本当に待てって!!」


 このままで本当にまずい。


 いやそりゃまぁ、ハクロは綺麗だし、美人だとはいえ‥‥‥理性が負けて本能的に動いている姿はまずい。



 何とかして逃げようにも、ハクロの糸の拘束能力は高く、魔法を使おうにも力の魔法でどうすればいいと?



 これは本当に終わったかもしれない。



 そう思い、リューの背中に冷や汗がすごい勢いで流れる。


…‥と、気が付けばハクロの顔が目の前に来ていた。


【リュー様‥‥‥本当にごめんなさい】


 涙を流しつつ、本能には逆らえぬというような感じで、口を開き…‥‥って、ちょっと待てよ?




 蜘蛛って確か、『メスがオスを食べる』ってカマキリのようなことが無かったっけ?種にもよると思うが…‥‥


 ハクロはホーリアラクネ‥‥‥下半身は蜘蛛。


 カフェインで酔っぱらうのと同じような物があるのであれば、その習性も同じところがあるのではないだろうか?



‥‥‥本当に命の危機なのかもしれない。




 そう思った瞬間、本気でリューは性的なというよりも物理的な命の危機を覚えた。


 いくら何でも、従魔にがっつり喰われることだけは避けたい。


 それだけはどうにか回避したいと思った、その瞬間‥‥‥‥





ぶちぃっつ!!



‥‥‥リューの手足を拘束していた糸が、そのリューの身体から出た黒い衣が刃物に変化したものによって断ち切られた。


 その変化と、その時に出てくる衝動に、皆の身体が一瞬びくっと震える。


 その隙を逃さず、リューは自然と本能の赴くままに、衣を変化させて、手足のように扱い、ハクロたちの手足を一気につかみかかり、拘束した。



【り、リュー様?】


 その突然の変化に驚愕し、一気に理性が戻ったのか、リューに尋ねるハクロ。


 なんとなく、いやな予感というか、求めてはいたけど、主導権を奪われたような気がしつつ、冷や汗を彼女はかいた。



「ハクロ…‥それにみんな、そんなに相手をしてほしいなら、こっちも覚悟してやる」

【え、えっと‥‥‥その、何かキレました?】


 その声の重みに、思わず後ずさりをしたくなったハクロたちであったが、その手足はリューの黒い衣が変化した手足によって、しっかりと拘束されて動かせない。


…‥‥何か、いや、前々から前兆はあったとはいえ、何かを目覚めさせてしまったのだろう。


 そう思いつつ、ハクロは目の前に来たリューを見る。


「‥‥‥後で、ヴィクトリアに謝る時に頼む」

【きちんと理性ありますよね!?だったらこのまま私たちが収まるまで抑えているだけで…‥‥】


 そう叫びたかったが、ハクロは続けて言葉を発することが出来なかった。


 本能的に、これは完璧にやらかしてしまい、そして逃れられないと悟ってしまったのである。


 それはこの場にいた全員が同様に思ったことも出会った。





‥‥‥後に、今回の元凶であったファイは語る。


『やってしまったカナ。だがしかし、後悔はしないカナ!!』


 それはそれは清々しく言い切り、一切の反省をしていない表情だったそうな。





 とにもかくにも、この日の晩、この場にいた皆は心に刻んだ。


 リューを追い詰めてしまうと、後がない上に、徹底的な反撃を喰らってしまうと。


 そして、この時の音はしっかりとワゼによって防音処理が施され、外部には漏れ出なかったのであった‥‥‥

‥‥‥雰囲気はほしかった。内容はR18クラスなので書けないんだけどね。ノクターンに出してみようかな?

とにもかくにも、この日の晩何かが目覚め、そして色々な意味での犠牲者が出た。

さてと、翌日冷静になったらどうなるかな?

次回に続く!


―――――――

『後に彼女たちが語ったこの夜の感想』

【…‥いや、アラクネの場合食べることはありませんよ。命の危機を味合わせてしまったのかもしれないのは申し訳ありませんけど…‥‥どこでリュー様はああいう事を学んだのでしょうか?】

【ピキッツ、身体の大きさ?それは秘密!】

【元凶だが、後悔も反省もしていないカナ!ただまぁ、少々羞恥心の基準とかを考えてほしかったカナ】

【うちとしては種族的に本職ともいえることだったけど…‥‥それでどこか負けた気分になるって何なのだよ】

『‥‥‥まぁ、風呂の時点でこうなるだろうと思いましたので、対策としてご主人様の夕食に少々盛りましタ。とはいえ、主導権をとれるように密かに睡眠学習なる方法をやっていましたし、その手の機能があるから御身を持ってその成果を味わえたのは良かったデス』

「【【【【お前の仕業かよ(なのかだよ)(ピキッツ)(カナ)!?】】】】」


‥‥‥このメイド、時々その行動が本気かわざとなのかわからなくなる。というか、真の元凶はここにいたか。

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