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自由に過ごしたい魔物使い  作者: 志位斗 茂家波
卒業へ向けてで章
119/162

いざ奪還のために

3日ぶりの更新。

一応不定期の毎日投稿ではないとはいえ、更新できなかったのはなんか申し訳なくなる。

SIDEリュー


「そこの馬車待てぇぇぇえ!!」


 ようやくムーンナイトドラゴンの卵を強奪したとされる、元夢追い人(ドリーマー)達のチーム「ディクロンダイク」の馬車に追いつき、リューはそう声を出した。



「いやっはぁぁぁ!?なんだあれは?」

「んんん!?リーダー!!あの馬車の後方にあのドラゴンがいやすぜ!!しかもがっつり睨んでいるところを見ると、あいつらに運ぶのを手伝ってもらってきた形のようですぜ!!」

「ぬわぁにぃ!?待てと言われて待つ馬鹿がいるか!!全速力で引き離せ!!」



「‥‥‥あ、完璧にバレてるな」

【というか、逃走した時点でほぼ決定ですよね】


 リューたちの後方に、荷台に乗ったドラゴンを見たディクロンダイク一味は、慌てて全速力で逃走し始めた。


 考えてみれば、ランの幻術で隠すようにしておけばよかったのだろうけど、走行中にいつの間にか効果が切れていたようだ。



【うっぷ…‥全速力でガタガタ揺れたから酔ったのだよ…‥‥】


 訂正。車酔いで保てなくなったようである。


 というか、そこまでガタガタ揺れてないような‥‥‥ああ、彼女が乗っていたのはムーンナイトドラゴンを乗せた即席の荷馬車の方で、揺れを考慮していなかったな。


 ついでになんかドラゴン方も酔ったようで、かなり青白い顔になっている。二人してぐったりしているけど、大丈夫かな?


「ハクロ!ファイ!ワゼ!全速力で追いつけるか?」

【厳しいです!!さすがに走りの本職とも言えるシーホース相手だと引き離されますよ!】

【というか、私たちの方が種族として格上なのを感知したのか死に物狂いになっていないカナ?】

『体力的にはこちらが勝りますが、それまでに追いつけない可能性の方が高いデス』


 走りに特化しているとも言えるシーホース2頭でけん引された馬車に対して、こちらは元々走るよりもからめ手や遠距離攻撃を得意とするハクロたちでは分が悪い。


 ワゼがジェットエンジンを出してけん引しそうなものだが、生憎そんなことはできないようである。



「となれば‥‥‥これならどうだ!『重力弾(グラビティパレット)』!!」


 リューが素早く魔法を発動させ、ディクロンダイクたちに向けて放った。


 

 重量を重くしてしまえば、動きが鈍るだろうと考えたからである。というか、最初からやればよかった。


 弾速の方はどうやらこちらの方が早かったようで、逃げるディクロンダイクたちの馬車に見事に命中。



 ずしぃっという音が聞こえたかと思うと、見る見る間に減速していく。


 一応、中に卵があることも考慮して馬車のみの重量増加だが、効果はてきめんだったようで、あっという間にリューたちは並走する場所まで追いついた。



「くっそ!!あのドラゴンを運んできやがるとは何だよあいつらはぁ!!」

「こうなれば、ここでギタギタのメタメタにして動けないようにしてやるぜひやっはぁぁぁぁ!!」

「よく見れば、あの男以外は全員綺麗なおねぇちゃんぞろいじゃねぇか!!ドラゴン云々の前に、身動きできないようにしてはけ口にしてやるぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


「…‥‥うわ、ゲスすぎるというか、開き直りやがった」



 諦めたかのように見えたが、すぐさまディクロンダイクの一味は戦闘態勢に入った。


 それぞれ大斧や大剣、ガントレットなどを素早く装備し、馬車を急停車させて素早くとびかかって来た。


「いやっはぁぁぁぁぁぁ!!」

「うぃわぁぁぁぁぁぁあ!!」

「そのねぇちゃんどもを置いてガキはかえれひっはぁぁぁ!!」


‥‥‥なんというか、頭大丈夫かこいつら?


 いや、大丈夫じゃないからこそ、意気揚々ともろに襲ってきたけど‥‥‥


「ハクロ!糸で妨害!!」

【了解ですよ!】


 リューが素早くハクロに指示すると、ハクロは網を速攻で作り出し、相手に投擲した。


「こんな網にかかるかよいやっはぁぁぁぁ!!」


 

 腐っても実力者だったのか、適当な相手ならば簡単にかかっていたのに、ディクロンダイクの一味たちは素早く軌道を読み、交わした。


 やはりただの頭がおかしい集団というだけではなく、一応戦闘技術も高いのであろう。



「これでもくらいいいいいいいなぁぁぁ!!」


 反撃とばかりに、なにやらモヒカンが一番大きな男が、手に持っていた大斧をぶん投げてきた。


【そうは問屋が卸さないカナ!『氷壁(アイスウォール)』!!】


 その斧を防ぐために、ファイが前に出て魔法で分厚い氷の壁を出現させる。


 一枚の壁ではなく、何重にもなっており、しかもファイが次々と追加するのですぐに斧は壁に取り込まれた。



「なんだとぅぅぅ!?」

「慌てるな野郎どもぉぉぉぉ!!攻めろ攻めやがれ攻めまくれぇぇぇ!!」


 一瞬ひるんだ者が出たが、リーダーらしいスキンヘッド風なおっさんがそう号令をかけ、すぐさま相手は動き出す。


「いけ!!ドブモン!!ゲストㇽ!!」



 と、どうやら馬車をけん引していたシーホースの主らしい奴が、そのシーホースたちを解放し、こちらに仕向けてきた。


【いやっはぁぁぁ!!久々に大暴れしてやるんよぅ!!】

【‥‥‥って、全員でかっ!?ペタリンいないじゃん!!】

「ん?」


 なにやら聞こえてきたが、一気に彼らはやる気をなくし、その場に座り込んだ。


「なっつ!?どうして動かねぇぇぇんだドブモン!!ゲストㇽ!!」

【だってさ、あの男以外の女、全員でかいもん】

【そうそう、おいらたちってつるペタ専門だから、やるきでねぇぇぇぇよ】



‥‥‥どこがとは言わないが、そうやらハクロたちのある個所をみて、シーホースたちは一気に戦闘欲が覚めたようである。


「ならあそこの小さく燃えているやつはどうなんだ!!」


 主らしい男がさしたのは、全力で相手を燃やして蹴り上げているピポである。


【将来性有望だし、そもそも小さい子は論外】

【そうそう、一応紳士の嗜み的なものもあるんだよなぁぁぁ】



 うんうんと頷き、共感しあっているシーホースたち。


 どうやら飼い犬に手を噛まれるがごとく、従魔に彼は裏切られたようなものであろう。



 しかも、強制的にできていない点から考えて仮契約の状態らしく、ある意味未熟とも言えるだろう。





 そうこうしている間に、どうやら戦況はリューたちに有利になった。


 戦闘技術や経験の差から戦いになったら苦しくなる可能性もあったのだが…‥‥どうも質の方で上回ったようである。


 見る限り、相手側は薬物乱用などをやっていたようで、気分が高揚しハイテンションになったとはいえ、時間をかければあっという間にぼろが落ちて、見る見る間に抑え込んでいった。




 


 そして、残るはリーダーと思わしき人物一人となった。


 その他?ハクロの糸でぐるぐる巻きになって気絶させたよ。


「くっつ、まさかここまでやられるとは思っていなかった!!だがしかし!!ここは最強の技でお前らをぶちのめし、逆転してやる!!」


 そう言い放ち、そのおっさんはスキンヘッドなてかてかしている頭を輝かせ始めた。


「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」


 気合いを入れて叫び、徐々にその光量が高まっていく。



「うわっつ!眩しいぃ!!」

【太陽以上の眩しさですよ!!】

【しかもどんどん強くなっているカナ!!】



 やめさせようにも、余りにも眩しすぎて、しかも光の圧力が出来ているのか近づくことができない。


 その香料は見る見る間に高まっていき、辺りが白く光ったその時である。



「見よ!!この必殺奥義!!『光反射砲ライトリフレクターカノン』!!」


 そう言い放ち、次の瞬間一気に光が解き放たれ…‥‥‥




 リューたちが目を開けたときには、その男の姿はなくなっていた。


「…‥‥逃げられた!?」


 まさかの逃亡技であった。



 しかも、何か置いてある。


「置手紙って‥‥‥」


 あの一瞬のうちに、素早く残せた技量はたいしたものだろうと関心はしつつ、その内容をリューは見た。



『ぎゃはははは!!馬鹿が見るー!!馬鹿のけつーー!!俺様逃亡して、この場を去るぜ☆』

「…‥‥」


 明らかに人を馬鹿にし、なおかつものすごく煽る内容。


 しかも、馬車の方を調べてみるとドラゴンの卵はなく、どうやら一緒に持ち逃げしたようである。


…‥‥明らかに完全に馬鹿にしたその内容に、リューは‥‥‥‥



ブチン!!


【【【【『あ』】】】】


 何かが切れたような音がし、ハクロたちは体に何かが伝わったのを感じた。


 同様の感覚はランを除く皆が以前も味わったこともあり、何が起きたのかを理解し‥‥‥目の前の、リューの変化を見るのであった…‥‥



――――――――――

SIDEディクロンダイク:リーダー:自称『黄金太陽』ピルカーン



「よっしゃぁぁぁぁ!!逃亡成功だぜぇぇぇ!!」



 自らの頭を輝かせ、その光の圧力で目くらましと推進力を得て逃亡に成功したディクロンダイクの一味リーダ、ピルカーンはそう叫びながら走っていた。


 戦力的撤退というか、明らかに負け濃厚な戦闘であり、そしてその背後にドラゴンが見えていたことから、口封じというか、処分として喰われる未来が見えたために、彼は逃げたのだ。


 苦楽を共にした仲間を見捨て、そして逃げるついでにそれぞれの財布などもちゃっかり有り金をすべて盗み‥‥‥


「その上これがあれば、俺様一人だけで一生豪遊できるぜぇぇぇぇえ!!」


 そう叫び、大事そうに抱えているのは、馬車の中から出してきたムーンナイトドラゴンの卵であった。


 本当は全員でその売却金を分配する予定だったのだが、こうして一人で逃亡が出来たという事は、全て一人だけで受け取れることになる。


 再びあの戦闘を仕掛けてきた者たちに出くわさないように高跳びも企て、そしてその後に豪遊して一生を暮らそうと彼は考えたのであった。


「しかし不利になるとはなぁ、うまいこと勝てていれば、あの女たちを楽しめたかもしれないけど、ま、命には代えられねぇや!」



 相手側にいたアラクネやスキュラと思わしきモンスターたちであったが、どれも美女ばかりであり、もし返り討ちにしていれば後でゆっくりとその体を堪能できていたかもしれないと考えると、少々惜しかったかもしれない。


 だがしかし、それでも自分の命とは代えられないと思い、逃亡を決意したのであった。


「あ、そうだ!!せっかくだから金を得た後、誰かに依頼してあの女どもを奪い取ってやればいいのか!!いやぁ、俺様頭いいなぁ!!」


 そう考え、にこやかに叫び、卵を抱えて走るピルカーン。



「これで一生安泰だぜぎゃはははあははははははははははははははははは!!」


 笑いながら叫ぶその様は、もはや本当に頭がダメになってしまったのだろうか。


 とはいえ、このまま彼の逃亡が成功すると思われたその時であった。




「ん?」


 ふと、彼は自分の周囲がものすごく暗くなっていることに気が付いた。


 怪我がさしているというか、何やら大きなものが上にあるような、そんな具合である。


 何事かと思い、上を見れば‥‥‥



「な、な、な、なんじゃありゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 そこにあったのは、まるで山のごとく巨大な大きな黒いハンマー。


 そしてそれを手にしているのは…‥‥何やら黒い衣をまとい、そのハンマーはその一部から出ているのか、つながって、そして宙に浮いていた。



「‥‥‥人を馬鹿にするのも大概にしやがれ!!『超重圧の一撃(ギガントプレス)』!!」


 なにやら激怒した声を放ち、その人物は容赦なくその手に持った巨大なハンマーを振り下ろした。


 それが、ピルカーンが気絶前に目にした最後の光景であった‥‥‥‥



‥‥‥馬鹿には確実に天罰が下った。

というか、明らかに卵が巻き添えになっているのだが、大丈夫なのだろうか?

その不安を残しつつ、次回に続く!


‥‥‥ちなみに、ピルカーンの技の元ネタとしては、某七つの玉を集めるやつに出た技の改悪です。

ある意味最強の技か?

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