嵐のさなかで
本日2話目!!
話しの中の時間、ちょっとはやめようかと検討中。
…‥‥準備を終え、卒業試験の期限に間に合わせるために、リューたちはアールンデ砂漠へ向けて早々に出発した。
往復3週間で、期限は残り2ヶ月を切ったので早くいきたかったのである。
ヴィクトリアとは別行動なので、別れる前に一応万が一何があってもいいように、ミニワゼの8号機と9号機を置いていき、彼女の護衛にあてた。
ちなみに、どうやらそろそろ新造する予定もあるそうだ。
「ミニワゼって増やせるの?」
『ええ、設計図やその他データなどはそろってますし、材料さえあれば新たなに新造し、その上改良したものを量産することは可能デス。しかしながら、材料がなかなか手に入りにくいものがあるので、年に1台ちょっと作るので限界ですネ』
【手に入りにくいというと、具体的にはなんですか?】
『魔石やら、フレーム用の合金の材料、頭脳に当たる部分の精密部品ですかネ。本体の私を作るよりも簡単な設計となっていますが、耐久度や伝達性などの条件に合うだけの材料が、なかなか入手できないのデス』
材料不足というが、機械魔王が生きていた時代ならどうだったのだろうか?
そうリューが尋ねると、ワゼは返答した。
『あの時代は、機械魔王様はどんな微細なものであろうと合成して大きくしたり、全く別のものに変換したりなどと、いろいろやらかしてましたからネ。ご主人様に匹敵するぐらいデス』
「どれだけやらかして・・・・・・というか、いまさりげなく俺の事も言わなかったか?」
そんなやらかすような人と同じに扱ってほしくない。
ゴーレムでメイドを作るのはまだしも、家事機能に関係ないような武装をフルに備えさせつけていたり、その武装は武装で近未来すぎるものがあるというのも相当なものだしね。
【ま、リュー様ってすでにいろいろやらかしていますよね?この間の魔力検査でもついにやってしまったじゃないですか】
「それを言うなよハクロ…‥‥」
ハクロの言葉に、リューは顔をひきつらせた。
卒業試験前、実は卒業前として最後の魔力量検査をやってみたのである。
年々増加しているリューの人外的な魔力量が、学園卒業間近でどれだけになっているのか、リュー自身気になってもいたのだ。
その結果、魔力量を測る装置が爆発四散し、ついにその魔力量が測定不可能になっていたことが、はっきりと証明されてしまったのである。
「まさか限界突破するとは思ってもいなかったのだが‥‥‥というか、本当にそこまで俺って魔力をもっているのかよ?
【分かる人は分かるというけど、自覚は主殿に無いカナ。そもそも主殿の扱う魔法も力魔法というもので、使用する機会も特にないから別に良いんじゃないカナ?】
【主様の魔力は莫大ですけど、かなり濃厚でおいしいから良いのだよ。ただまぁ、一気に詰め込まれるのだけは危ないからやめてほしいのだよ】
リューの言葉に、魔法を扱えるファイとランは分かるのか、そう答えた。
とにもかくにも、ムーンナイトドラゴンがいるというアールンデ砂漠へとリューたちは進んだ。
1週間後。
このペースでいけば、あと数日以内に砂漠へ着きそうなときに、リューたちは災難に見舞われた。
「‥‥‥まさかの嵐に巻き込まれるとはな」
【時期が悪かったのでしょうか?】
びゅごぉぉぉぉぉ!!っとものすごい雨風の音を聞きながら、地面に杭を打って吹き飛ばないようにした馬車の中で、リューたちは嵐がやむのを待つ羽目になった。
さすがにこの中を空路でも陸路で突き進むのは危険なために、この地で待つことにしたが‥‥‥いかんせん、物凄い嵐だ。
【さすがに私でもこの嵐には干渉しにくいカナ。自然の方が力が強いカナ】
ファイが諦めたようにそう口にした。
水の力を持つファイでも、流石にこの大自然に干渉するのは骨が折れるようで、早めにやむようにはできたようだが、それでも数時間ほどは足止めになるようだ。
‥‥‥いや、早くやむようにできている時点ですごいけどね。
「しかしなぁ、こういう嵐の時って、大抵…‥」
ピカッツ! ドンガラガッシャァァァァァァン!!
「‥‥‥って具合で、雷が落ちてくるよな」
タイミングよく、リューの言葉の通りに雷鳴が鳴り響き始める。
「ワゼ、この馬車って雷に打たれても平気か?」
『外にいるのなら不味いですが、中にいるのは大丈夫デス。外側を伝い、地面に逃れますのでそう被害はないかト』
雷が落ちたとき、車の中は安全だというのと似たような理屈らしい。
とはいえ、木製だから気になっていたが‥‥‥ワゼいわく、改良して中に薄い金属板を入れたようだ。
その為、疑似的に車と同様の状態となり、雷が落ちても平気なのだとか。
なので、安心して皆でトランプで遊んで待っていた時であった。
「よし!あがり!!」
【うわぁぁぁ!まさかのこれがババですかぁぁぁ!!】
【自分で引いちゃった事を言っているピキッ】
【注意しないと押しつけられ‥‥‥ン?】
ふと、ファイが何かに気が付いた。
「どうしたファイ?」
【何か聞こえないカナ?】
「え?」
外は大嵐で風の音がすごい中、ファイは耳をあ傾ける。
リューたちも気になり、よく耳をかたむけてみた。
びゅごぉぉぉぉぉ!!びゅごぉぉぉぉぉ!!
嵐の音がすさまじく、何か変なものが混じっているような気はしない。
だがしかし、徐々に何かの声が聞こえ始めた。
びゅごぉぉぉぉぉ!!びゅごぉぉぉぉぉ!!
―――――――】
びゅごぉぉぉぉぉ!!ドンガラガシャァァン!!
【-こ―――わ―――ご】
ピカッツドォォォォォン!!
【どこに――――――――の――――――ご】
嵐の音に紛れ、徐々に近づいてきて何かが叫んでいる声がリューたちにもわかった。
まるで悲しいような声がして、それでいて何かを探し求めているようである。
「何の声だ?」
その声に疑問を持ちつつ、徐々に近づいてきているのだと分かったその時だった。
カッ!!
ドォォォォォォォォォォン!!
【ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!】
雷鳴の音が響き、まるで何かに直撃したかのような音と悲鳴が響き渡った。
数秒後に、何かが落ちてきたような振動がした後、その声は途絶えた。
「‥‥‥今のって」
【雷に打たれたようですよ!?】
慌てて外を見てみれば、何かが煙を出しながら炎上しているのが目に見て取れた。
ピクリとも動かず、嵐の中だというのに炎の勢いは強い。
そしてその巨体は‥‥‥‥
「む、ムーンナイトドラゴン!?」
【何でここにいるんですか!?】
特徴的な、今は雷に打たれたせいかボロボロになった4枚の羽根を持つ、ムーンナイトドラゴンであった。
目的のモンスターとはいえ、炎上しており、すでに遅いかもしれないが助けたほうが良いとリューは思った。
「急いで消火して治療するぞ!!」
【【【【『了解!!』】】】】
リューの言葉に皆は急いで動く。
目的の者が取れる相手とはいえ、この状況で見捨てられるようなものではない。
それに、先ほど聞こえてきた悲しく何かを探し求める様な声の主であるならば、なおさら放っては置けないだろう。
そう考え、リューたちは消火しつつ治療に当たるのであった‥‥‥
嵐のさなか、落雷に撃たれて落ちてきたムーンナイトドラゴン。
何かを探し求める様な悲しき声の主ゆえに、リューたちは放っておけず、治療に当たった。
一体何をもって、砂漠からやって来たのであろうか?
次回に続く!!
‥‥‥少々シリアス予定。まぁ、作者の精神的に耐えられなかったら変更するけどね。
ついでにちょっと自覚もしてもらおうかと検討中。