雨の日の対局
本日3つ目!!
前二つは設定集だけどね。
本日は雨であり、室内で今リューは、ハクロとオセロで対戦していた。
「くっくっくっく、ここに置けば勝利も同然だ!!」
【あーーーっ!!そこに置かれると負けてしまいます!!】
「情けはない!!これで大勝利!!」
ばしぃっと決め、今日の対戦は3勝1敗となかなかの結果になっていた。
【ぷくぅっつ!!もう一戦勝負ですよ!!】
「いいよ、次も勝ってやるよ!!】
綺麗な顔なのに、頬を膨らませてプチっと起こるハクロの顔は少し可愛かった。
もう一度対戦をすることにして、全部盤の上からいったん落として、また置き直して再戦である。
どうも転生者は他にもいるのか、こういったボードゲームがこの世界にもあった。
オセロは別名リバーシとも呼ばれているようだが、中々シンプルでありながらはまる時ははまる。
と言うか、ネット環境もないこの世界だから娯楽が少なくもあり、こういうシンプルな娯楽は楽しくなる。
将棋に碁盤、トランプ、けん玉、すごろく、黒ひげ危機一髪‥‥‥最後の奴どうやって作ったんだろうか?
ちなみに本日は、兄たち全員領内の見回りに雨の中行かされています。
領内の事を知っておくのが、この地を治める貴族としての務めみたいなものだと母上が言っているんだよね。
なお、俺だけ屋敷に残されているのはまだ見て回らなくてもいいと言われたからである。
と言うか、4男だから一番当主になる可能性が低くて、領地をもらえる可能性がないからなんだよね。
まぁ、普段からハクロに乗って領内を爆走して見たりして楽しんでいたりするから、元からわざわざ見て回るほどの事をしなくても、きちんと把握しているんだよ。
ただまぁ、魔法の検証のために少々空を飛べるか実験して、領内で「謎の飛行物体」として噂されたのはちょっと恥ずかしい思い出である。
体を軽くして、軽くジャンプしたら風が吹いてあっという間にさらわれたもん。ハクロが追いかけてきて、落ちる俺を受け止めてくれなきゃ降りにくかった‥‥‥ああ、ちょっとゆっくり落ちる様にすればよかったかな?
【よっと、角を取りました!!】
「あ!?」
思い出にふけっていたら、いつの間にかハクロに角を取られていた。
油断大敵だった。一生の不覚‥‥‥
【ふふふ、これでリュー様に勝てるはずです!!】
「あ、でもここに置けばいいのか」
【はぅわっつ!?一気に逆転ですかぁぁぁぁぁ!?】
でもすぐに取り戻せたけどね。慌てふためくハクロの様子が面白い。
‥‥‥でも普通はさ、ハクロのような人型でなおかつ意思疎通ができるモンスターって結構知能は高い方らしくて、人間以上の相手の時もあるんだよね。
でもハクロって頭が良いのかもしれないけど、どこかすごい抜けているなぁ。頭の良いことと、普段の態度や性格と言ったところは別物ってやつかな。
テストで良い点数を取っている奴でも、自慢してきて相手を煽ってきたり、問題行動を起こしまくるような奴が良い例えか。あれは本当にイラっと来たし、しかも嫌がらせって‥‥‥この世界にあいつがいれば魔法でぶっ飛ばしてやれるのに。
‥‥‥ってハクロよ、そこは。
ふと気が付くと、ハクロがすでにオセロを置いてひっくり返して、自分の色にしていた。
自信満々の顔をしているけどね‥‥‥悪手ってやつだよそれ。
【これでリュー様が置いた後に角が取れるはずです】
「でもここに置いたらこっちが角を取れるな」
【!?】
やっぱりどこか抜けているハクロであった。うん。手加減している様子もないし、これ完全に素でやっているな。
ちなみに、1敗しているのは偶然である。
ハクロ‥‥‥滅茶苦茶オセロ弱いんだけど。
「将棋やチェスなら強いのに、何でオセロが滅茶苦茶弱いんだ?」
【さぁ?そこはわかりませんね】
「そしてなぜ俺の色で今埋め尽くされているんだ?」
【普通はあり得ないですよね‥‥‥?】
なぜか、結局全部の色がこちら色にひっくり返されて、完全勝利を俺は納めたのであった。
いや普通にやっていたはずが‥‥‥どこをどうしたら全色同じになるんだろうか?さっきハクロは角も取っていたはずなのに……不思議である。
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SIDEザウター王国:王城
「陛下、今日の仕事ですが‥‥‥」
ザウター王国の首都にある王城にて、今日の書類仕事を渡そうかと、宰相であるカクスケが国王がいるはずの執務室に入ったのだが‥‥‥
『ごっめ~~~ん!!ちょっとサボって適当なところに行くぜ!!3日経つまでには帰ってくるから後はヨロシク☆』
そう書かれた文字がでかでかと執務室の壁に書かれていて、部屋の窓が開いていた。
「‥‥‥緊急連絡!!国王陛下がまた逃亡したぞおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
それを見てすぐに宰相カクスケはそう叫び、王城内を走り回って知らせた。
この叫んで城内に知らせる行為によって、最近足が鍛えられて早くなったのだが、今はどうでもいいと思うカクスケ。
そして、国王のいく先を調べるために、万が一の逃亡のためにあらかじめ仕掛けておいた発信機という魔道具の居場所を探る魔道具を持って、護衛を引き連れてすぐさま追いかけに行くのであった……
なお、国王はどうやら特殊な魔道具を使用しているようなので、移動速度が速く、通常の手段では追いつけないのでスペアを使用して向かったのである。
自由奔放な国王と言うのも良いんじゃないかな?
部下たちの苦労がとてつもないものになっていそうだけどね。
ちなみに、ハクロは一応賢いことは賢いのです。普段の生活に生かす機会がほとんどないのですが‥‥‥