表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/162

いつも誰かがやらかしていないか?

たまには主人公以外がやらかしても良いかな?


SIDEリュー


『あ、魔封印石のありかを4と5号が発見したようデス』

「早いな!?」



 拾った少女が預言者というのには驚いたが、そのすぐ後に続けて今度はミニワゼたちが魔封印石を発見したようであった。


「魔封印石か‥‥‥それをどうせならこの神聖国内で全部開放して大混乱に陥れてやりたいのじゃ。あの屑で利権ばかりを狙い、甘い汁の身を狙うような者たちがおるこの国がそれで滅びるのもまた一興だしのぅ」


 さらりと預言者‥‥‥アルべリアはそうつぶやいた。


 彼女自身、前預言者ヨルバァはいい人だったと思っているが、この神聖国の腐り具合からもはや吐き気がするほどで、とっとと潰れてほしいのであろう。



「気持ちはわかるけど‥‥‥今回、一応回収が目的だよな?」

「ええ、迂闊に開放しちゃって、その混乱に巻き込まれたら最悪ですものね」


 災害危険指定種クラスのモンスターが一体だけであるのならば、まだなんとかなる。


 だがしかし、それ以上の数が出てこられてしまうとさすがに厳しいのだ。



【なんとかなると思える時点で、私たちって相当おかしいような気がしますけどね】

「ハクロ、それ分かっているから言うな」


 現実から目はできるだけそむけたくはない‥‥‥そもそも条件さえ整えば一対一で戦えるようなやつもこのメンバーにいるしな。



「ワゼ、その魔封印石は今どうなっている?」

『ミニワゼからの通信だと…‥‥ンン?』


 その詳細な情報を聞こうとリューが尋ね、ワゼがその事をミニワゼから報告を受けたところで、急に彼女は表情を変えた。



『‥‥‥あの、預言者のアルべリアさん』

「いや、ただのアルべリアと呼んでもらっていいのじゃが・・・・・・なんじゃ?」

『一つ尋ねますけど、貴女がいたらしい神殿に、この国の政治を担う腐れ屑野郎共がいたんですよネ』

「そのはずじゃが、なぜ今そんな話を?」

『ミニワゼで情報を収集し、どのような人がいるのかという事は分かりました。ですが、どうも全員無能すぎたというか、神に見放されても仕方がないような方たちだったようで‥‥‥』


 そこでリューは何をワゼが言おうとしているのか気が付いた。


「おいワゼ、まさかとは思うが…‥‥預言者の彼女が行方不明になっているようなものだから神殿内が混乱に陥っている隙に、既に誰かが魔封印石をどさくさに紛れて持ち出したとか?」

『まさにその通りですご主人様』


 …‥‥予想はできていたが、預言者であったアルべリアがこの場にいる時点で、彼女は国内で行方不明扱になっているのは予想できた。


 いろいろと知られてはまずい情報も持っているだろうし、なによりも今この神聖国は様々な国から戦争を仕掛けられようとしているので、それらの国の者たちと接触されては困るはずだ。


 そんなわけで、必死になって預言者をさ府がしていそうなものだとは思えたが、その混乱のさなかに…‥‥


『おそらく外で売るか、それとも取引材料として他国にわたる気だったらしい愚か者が、見事に情報である程度把握していたこの国の魔封印石、残り6個分、全部持ちだしてただ今逃走し始めたそうデス』


 そのワゼの言葉に、その場にいた全員はあっけにとられた。


…‥‥6個もあったというのには驚きだったが、そんなくだらない理由で危険物を持ち出したというのも信じられない話である。



「‥‥‥なんだろう、物凄く嫌な予感しかしないのだが」

「輸送中に事故でも起きて、割れて解放‥‥‥ってありえますわね」


 そう考え、皆は青ざめる。


 1体だけなら何とかなるが、もし6体全部が解放されてしまったらどうなるのか?



 最悪のシナリオが想定出来て、皆悪寒を感じたのであった。





―――――――――

SIDEとある神聖国の重鎮だった者



「急げ者ども!!この機に応じてさっさと他国へ逃亡するのだぁ!!」



…‥‥日が徐々に暮れはじめ、辺りが闇夜に包まれそうなその頃、神聖国の神殿から急いで馬車を走らせ、逃げる者たちがいた。


 その馬車の中で、大事そうに先ほど持ち出してきたものを懐に抱えるのは、神聖国の重鎮であったオッカーロナ・フォン・シャーグ。



 預言者と呼ばれる少女がいなくなっての混乱の隙をつき、彼はこの機会に神殿内に保管されていた魔封印石をすべて持ち出し、逃亡を企んだのである。


 この国が腐りきっているのは、彼自身腐ったものであるからこそ分かっていることであり、現在神聖国が他国から戦を仕掛けられそうな状況を、人一倍自身の保身に走る彼はよく理解していた。



 このまま戦争が始まれば、まず間違いなく神聖国は滅びる。


 その滅びに巻き込まれていいのか?否。



 己こそが一番大事な彼は、他国へ逃亡することを目論んだ。


 だがしかし、元々信用のまったくない国からの逃亡者を、他の国は受け入れるだろうか?


 いや、最悪の場合国を裏切った者として神聖国に送還され、そして処刑を受けてしまう可能性が高い。



 ならば、彼を受け入れてくれるだけの手土産があればいいのではないだろうか?


 そう考えていた最中に、預言者がいなくなって神殿内が混乱したその時に、彼は魔封印石を持ち出すことをその場で素早く思いついてしまったのである。




…‥‥後は、適当な国にまで必死に逃げ延び、魔封印石を交渉材料にすれば、この国でもやっていた通りの贅沢な暮らしが出来るかもしれないし、もしこの魔封印石にいるモンスター共をも従えさせることが出来れば、世界を手にするのも夢ではないかもしれない。


 隷属の首輪とかがあるし、不可能ではないだろう。


 そうニヤニヤと、オッカーロナは笑み浮かべて、逃亡中にもかかわらず捕らぬ狸の皮算用をしていた時であった。


 けれども彼は気が付かない。


 隷属の首輪とかそういう類のもので、本当にすべてのモンスターを制御し切れるのであれば、最初からしているはずであろうことに


 一部は可能でも、全く効力を発揮できない相手もいることを、彼は無知であるがゆえに知らなかったのである。



「ぬっ?ちょっと酒を飲み過ぎたか?」


 そんなこともわからずに馬車の中にいると、ふと、先ほど逃亡からの緊張を和らげるために、酒をがぶ飲みしていたオッカーロナは、尿意を感じた。



 未だ国から抜け出せてはいないが、それでも馬車内での失禁は避けたい。


「いったん止まれ!!少々用を足す!」


 御者にそう言い、馬車を止めさせてオッカーロナが用を足そうと馬車から降りようとした時であった。



ズルッツ

「うわっ!?」




‥‥‥常日頃、贅沢ゆえか、それとも不健康すぎる生活を送っていたせいか、オッカーロナは少々、いやかなり太っていた。


 馬車から降りようとした際に、足元が腹で見えず、つい足を滑らせてしまったのである。



 背中からであれば、まだましだったのかもしれない。


 だがしかし、オッカーロナは前から倒れて地面に体をたたきつけてしまった。


 前の方‥‥‥懐に(・・)魔封印石を入れたままで。




バキバキバキバキバキッツ!!


 肥え太った体の重量で、懐にあった魔封印石は全て割れてしまった。


 どれもこれも、災害危険指定種クラスの凶悪なモンスターが封印されており、その数6体。



 一斉に解放され、上に乗っていたオッカーロナははそのまま上空へとふっ飛ばされ、落ちた先にはすでに大口を開けて待ち構えていたモンスターがいた。


 そのまま口の中に入り、あっけなく彼はその場で生涯を終えた。





…‥‥だがしかし、愚かな人物が一人生涯を終えたところで、解放されたモンスターたちはその場でじっととどまることはない。



【【【【【【グアォアォアァオァオァオォォォォォォァグアヤアギャァァァァァ!!】】】】】】


 それぞれが雄たけびを上げ、動き出してしまったのであった‥‥‥

…‥‥一気に目覚めた、封印されていた6体の災害危険指定種クラスのモンスター。

放っておけば被害がどれだけ出るのかは想像つかないほどである。

オッカーロナは後世、この未曾有の大馬鹿野郎の責任者として、名を遺したのはいうまでもない。

次回に続く!


‥‥‥6体一気にやるつもりだけど、結構大変である。

封印されているのはどれも凶暴・凶悪・強力な奴らばかりだしなぁ…‥‥

2017/10/25 すいません、12体同時登場は流石に無理でした。6体に変更いたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ