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厄介事は拒絶‥‥‥したかった

物語の主人公って、本当に何で行く先々で何かに巻き込まれるのだろうか。

まぁ、某頭脳は大人、身体は少年の人よりはましかもしれないけど。

SIDEリュー


「‥‥‥はっ!?」

「あ、起きたか」

「割とすぐに目が覚めましたわね」


 衛兵たちを撃退した謎の少女が倒れたので、リューたちは宿屋に彼女を連れて行き、介抱していたところで、その少女が目を覚ました。


 一応、念のためにランの魔法でリューたちは変装した状態のままである。


「こ、ここはどこなのじゃ!?」


 慌てている様子で、その少女はきょろきょろとあたりを見渡す。


 そして、リューたちの存在に彼女は気が付いた。


「のじゃっ!?な、何者なのじゃお主たちは!?」

「あー‥‥‥別に警戒するな、とりあえず落ち着け」


 警戒心をむき出しにした少女に対して、リューは落ち着くように促す。


 まぁ、考えてみれば、目が覚めたら場所が知らないところになっており、見知らぬ人たちに囲まれていたら無理もないだろう。


 とりあえず、少女に優しく声をリューたちはかけ、彼女が落ち着くのを待ったのであった。








「…‥‥なるほどのぅ、妾があのスカポンタンどもをぶっ倒したところで、気絶したからお主達が開放してくれたのじゃな。感謝するのじゃ」


 無事に落ち着き、状況が飲み込めたところで説明し、少女は素直にお礼を言った。


「ああ、流石に見知らぬ子供でも、道端で襲われて、撃退したとしても倒れたのであれば放っておけなかったしな」

「ええ、そうですわよね」


 リューの言葉にヴィクトリアはうなずき、その他の皆もうんうんと同意する。



「‥‥‥助けてもらってなんじゃが、流石に子ども扱いはやめてほしいのじゃ」

「え?なんでだ?」

「だって妾、とっくの昔に成人なんじゃもん」

「「‥‥‥はぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」


 その告白に、リューたちは驚愕した。


 まだそう成熟していないような幼い見た目なのに、成人しているとか言ったからである。


「いやいやいや、年齢ごまかしているだけだよね?」

「そんなことはないのじゃ!!ほらこの妾の耳をよく見るのじゃよ!!」


 リューの問いかけにムッと来たのか、少女は自身の耳を指さした。


 よく見れば、その耳は少々人間とは異なり、上方向にとがって・・・・・・


「まさか、エルフの方ですか?」

「うむ、その通りなのじゃ!!」


 エッヘンと胸を張る少女に、リューたちは驚いた。



―――――――――

『エルフ』

亜人種族の一種であり、とがった耳や常人とは異なった美しさを持つとされる種族。人里から離れた森の奥、閉鎖的な環境下で一族と共に一生を過ごすとされる。その集落の一つにはクラウディア森林の奥地がある。なお、閉鎖的とは言っても、別に頭の固すぎる様な輩はおらず、いいものであれば積極的に取り入れる傾向もある。

特徴としては、魔法に長けて、それでいて魔法に関しての耐性も極めて高いとされており、中には弓の腕がものすごい者もいる。

ちなみに、ダークエルフと言った種族もあるが別に対立はしておらず、そもそもダークエルフは森ではなく平原や海辺に集落をつくるので顔を合わせること自体が少なかったりする。あと、身体つきも差がものすごくあるのだが…‥‥

―――――――――


 滅多に表舞台に立つこともなく、そんな種族がこんな国にいることにリューたちは驚いた。


 そして、どうやらランがかけていた変装用の魔法も効力が余り無いようで、見破られているように等しい様だ。


 完全に見破れているわけではなく、どうやら姿にものすごい違和感をもたらすだけのようだが‥‥‥とりあえず、変装は余り無いという事で、ランに魔法をリューたちは解除してもらい、その姿を見せた。



「のじゃ?…‥‥黒目黒髪の少年‥‥‥」

「ん?どうかしたのか?」


 本当の姿を見せた途端に、少女の表情が変わったことにリューは疑問に思った。


「…‥‥なるほどのぅ、お主があの『圧倒王』や『威圧王』、『押しつぶし帝王』に『リア王』など、様々な噂を持たれたやつか」

「なんか久々に聞いたなそんな話!?」


‥‥‥どうやらこの神聖国、噂話がかなり遅れてくるようである。


 久しぶりに聞いたその言われように、思わずリューはそう叫ぶのであった。










「さてと、気を取り直してじゃが…‥‥改めて名を名乗ろう。妾はアルべリア・ウィン。この国の預言者に強制的に(・・・・)された者じゃ」

「強制的に?‥‥‥というか、預言者!?」

『あ、今ミニワゼから連絡がありましたけど、どうやら神殿から脱走したようですネ。容姿の特徴も一致しているようデス』


 もう少し早くその連絡が欲しかったなぁワゼ。


 なにやら目の前の少女は預言者と呼ばれる、この神聖国では重要な地位につく少女らしい。


…‥‥どう考えても、厄介ごとの種を拾ってしまったとリューは思うのであった。



――――――――――

SIDEアルべリア・ウィン



(…‥‥この者が、あの預言にあった者かのぅ)


 リューが驚愕していたその時、アルべリアはリューを見てそう考えていた。


 黒目黒髪であり、人間もつれてはいるが、その他には人外の存在を引き連れている。


 その特徴から、彼女は以前受けた預言‥‥‥信託とでもいうべきか、神のお告げというようなものにあったことを思い出した。




 元々、アルべリアはこの神聖国の者ではない。


 つい数十年前まで、神聖国近くにあったエルフの集落の一つに住んでいた者であった。


 だがしかし、その集落は心無きあくどい神聖国の中の馬鹿によって襲撃を受け、いくら魔法や弓矢に長けた種族とはいえ、戦闘慣れしていなかった彼女たちは敗北し、その集落は落城した。


 襲撃された理由は、単に「奴隷にしたかった」というふざけた理由であり、怒りに燃えたが、反抗できないように、そして魔法の類が聞きにくい体質ゆえに普通は一つで済む隷属の魔道具(マジックアイテム)を4つ以上付けられ、何もできなかった。


 まだ幼い容姿ゆえに、特殊な性癖(ロリコン・ペド)の持ち主向けに渡されそうになったが、ここで彼女を救ったのが、先代預言者‥‥‥ヨルバァであった。


 彼女は何か預言を受け、彼女だけは無体を働いてはいけないと命令し、貴族たちから必死になって彼女を引き取って育ててくれたのである。


 しかし、隷属の首輪などは外せず、どうして集落が崩壊する前に助けてくれなかったのかと泣き叫び問いかけたときがあったのだが、実はこの時にはすでに、この国で重要な役割を果たす預言者は、ほぼ傀儡のようなものであるとヨルバァから彼女は聞いたのである。



 なんでも、この神聖国は元々神からのお告げという形で預言を行う預言者が、政治の在り方に口を出して、栄えさせていた。


 だがしかし、人という者の中には、神の存在を否定する者や、上からの命令に反抗する者がおり、徐々にその数を増やして、いつしか預言通りに政治を行えなくなり、いつの間にか権力を奪われていったのである。


 しかも、都合のいい預言をするように強制したり、親しい者を殺すなどと脅されてもはや預言は意味をなさなくなってしまい、もはやただの傀儡と化してしまったのだ。


 それでも、預言の力は大きなものであり、まだギリギリ影響力がある中で、ヨルバァはエルフの集落が襲撃を受けたときに、かならずその中の一人、そう、まだ幼きアルべリアを必ず助けるように預言を受け、必死になって彼女だけを守ったのだ。



 本当は皆を助けたかったが、彼女だけを救いだすのが精いっぱいで、本当にすまなかったと涙ながらにして謝られ、その優しさと悔しさを心の底からアルべリアは感じ、ヨルバァだけを彼女は恨まなかったのであった。


‥‥‥そしてついでに、絶対にこの神聖国に復讐してやろうと彼女は思った。





 それから年月が経ち、ある時、ヨルバァは一つの預言を残して逝ってしまった。


 その預言は、新たな魔王が生まれたという事である。



 神聖国ではどういうわけか、善にも悪にもなる魔王という存在を「絶対悪」と定めており、どうにかして亡き者にしようと動いた。


 だがしかし、その存在はなかなか見つからない。


 ならばどうすればいいか。


「そうだ、新たな預言者を見つけて、予言してもらえばいい」


 そういう意見が出て、ヨルバァの後継人としつつ、彼らの新たな傀儡にもするために、神聖国は新たな預言者を探し求めた。




 そして、どういう方法で探したのかはわからないが、つい数年前にアルべリアは預言者として急に祭り上げられ、そして神殿の奥に幽閉された。



 自分は神の声も聞けないし、なぜこのような扱いをするのだと叫んだが、すでにこの国は腐敗しきっており、彼女の言葉を聞く者はいなかった。


 いう事を、そして都合のいいことや魔王の居場所を預言させるために、彼女を捕らえた者たちは、彼女の未だに外せない隷属のアイテムをフル活用させ、強制的に動かしては、失敗したのを見て虐待を加えた。


‥‥‥幸いとでもいうべきか、その時には特殊性癖者(ロリコン・ペド)はいなかったので、貞操は守れたことであろう。




 辛い日々が続く中、ある日、突如としてその時がきた。




 いつものように虐待されたその日の真夜中、彼女は不思議な夢を見た。



 周囲は真っ白な、何もない空間であり、宙に彼女は浮いているように感じた。


 そこに、なにやら…‥‥言い表せないような存在が現れ、彼女にこう告げたのである。



『もう間もなく、神聖国は滅びる。その直前にある存在がかの国を訪れる。その存在について、滅びからお前だけは逃れよ』と。



 一体何のかはよくわからなかったが、とりあえずとんでもない、人知を超えた存在によるもので、預言だと彼女はその時感じた。


 そして、その謎の存在に対して、彼女はその訪れる者について尋ねた。


 容姿や特徴が分からなければ意味がないからである。


 すると、その謎の人知を超えた存在はこう答えた。


『‥‥‥その者は、黒目黒髪の少年であり、人ならざる者たちを‥‥‥いや、彼を愛する者たちを惹きつける。そそして、将来的に…‥‥』



 その最後の言葉は聞こえず、そのまま気が付くと彼女は目を覚ましていた。


 全身は汗でびっしょりであり、その預言を授けた者の威圧というべきか、プレッシャーに耐えきれなかったのだと彼女は感じた。


 だがしかし、それと引き換えに、彼女は神聖国の滅びの預言を聞き、それから彼女だけが逃れるための予言を聞くことが出来た。


 どうしてこの神聖国が滅びるのかは…‥ほぼ明らかなようなものであり、預言は必ず当たるであろうと彼女は考え、そしていかにしてその預言にあったついていくべき存在に出会うかと、彼女は考え始めた。


 誰にも話さず、彼女だけがこの腐れ切った国から逃れるために。




‥‥‥ここで神の奇跡というべきか、気が付けば隷属のアイテムの効力がなぜか消え失せていた。


 その預言を託した主が‥‥‥神とでもいうべき存在が、彼女がいつでも魔法などで逃れられるようにしてくれたのだろう。


 誰にも悟られずに、従うふりをして彼女は研鑽を積み始めた。


 誰もが寝静まる深夜、こっそりと魔法の特訓を行い、そしてその才能を開花させていった。


 いつ、誰が、どこで、どのようにして見張っているかなども調べ上げ、頭の中で脱走の計画を練り始めた。





 それからある程度の歳月が流れ、昨夜彼女は再び預言を受けた。


 ついに、この国に彼女が付いていくべき存在が現れた。


 そして、今こそ逃げる時だと。




 はっと目を覚ませば、まだ朝早く薄暗い。


 すばやく彼女は預言のとおりにするために、手足の腕輪などにつけられていた鎖を魔法で破壊し、気が付かれる前に素早く神殿から抜け出した。


 そして、その付いていく存在がいるであろう場所を勘で探し当てたその時に、彼女はあのちょうどきた衛兵たちに絡まれ、そして現在に至ったのであった。



 


‥‥‥そして、そこに至るまでの経緯を話し終え、その付いていくべき存在…‥リューと言う者が考え込む様子を見ながら、アルべリアは思う。


 この者が、本当に預言に会った黒目黒髪の少年であると。


 ならば、あの預言の最後の方に‥‥‥聞き取れなかった部分にあった者になるものであるとすれば、何になるのだろうかと。



 少し不安を覚えつつも、彼女は目の前にリューに、初めて出会った他人ではあるが、それでも信用し、全てを話した。


 そして、必ず彼女をこの国から出してもらうように頼みこみ…‥‥その返答を彼女はごくりと唾をのんで待った。



「‥‥‥そうか、そういうわけならいいだろう」


 その言葉を聞き、彼女はほっとした。


 ようやく、この憎々しい国から出ることが出来る。


 復讐はしたいが、崩壊する国であるがゆえに、やってもむなしいだけである。


 ならば、今この国から逃れる方が大切だと思い、彼女はリューの後をついていくことに決めたのであった‥‥‥


 

‥‥‥というか、預言ですでに滅ぶの決定しているのはどうなのだろうか。

どれだけ酷いというか、神にすらも見捨てられた国というべきなのだろうか。

神聖国とは、まさに名ばかりだったに違いない。

次回に続く!!


‥‥‥そろそろモフモフ成分を投入しようと計画中。シリアスムードを払しょくしたいし、なによりもモフモフを作者が求めているからである。



―――――――

『ちょっとおまけコーナー』


【今回私たちって出番なかったですよね?】

【それを言わないほうが良いカナ‥‥‥この後書きで、語れるからまだましカナ?】

『ええ、だいぶましだと思いますヨ?世の中には出番が一度きりの方もいますからネ。毎回どこかで出ていた、古参の貴女たちはまだいい方ですヨ』

【古参って‥‥‥まぁ、私が一番リュー様と付き合い長いですけどね】

【‥‥‥そういえば主殿の幼少期からいると言っていたカナ?その頃の主殿ってどういう子どもだったのカナ?】

【抱きしめたら窒息死する子供でしたね。‥‥‥さすがに反省しています】

【‥‥‥お主、自分の体形を把握していなかったのカナ?】

【だって当時、私って従魔になる前はほぼボッチだったんですよ!!自分の姿に気を使うこと自体余りありませんでしたし、まさかそうなるとは思いませんでしたもん!!】

『いや、そこは分かるべきでしょウ。‥‥‥私よりもカップが上なのですからネ』

【あ、あれ?ちょっと怖い目をしていないですか?いや、本当にこわいんですけど、ちょっとその手に持った物は何ですか!?】

【なんか飛び火がこっちにも来ているカナ!?大体お主はゴーレムだし、体形ぐらい造形できるカナ!!】

『‥‥‥いやまぁ、それなりに私もあることはありますヨ。ですがね、バランス的なものを考えると、これ以上の増量は美を失いマス。それなのに、私よりも大きな貴女方はそれでも美しいのデス。‥‥‥ええ、ちょっとぐらい切除、いえ、それは物騒ですので中身が出そうな吸引をするだけでも大丈夫でしょウネ』

【目のハイライトがない超怖い状態なんですが!?】

【ゴーレムなのに、意外とそのあたりは気にしていたのカナ!?】

『問答無用デス。いっその事、アラクネとスキュラから取れたものとして市場に売ってみましょうかネ?吸えば小さくなるだろうし、その分を儲けられるだろうし、私は満足ですし、一石二鳥どころか三鳥デス!』

【【いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!】】


‥‥‥その後、何とか荒れ狂うゴーレムから彼女たちは逃げきるのであった。


あれ?どうしてこうなったこのオマケ。

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