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王城での報告

たまに話を振り返ってみると、すっかり忘れさられたキャラがいたりする。

長く書くと、こういう事もあるんだよなぁ…‥‥

SIDEリュー


 王城に到着後、リューたちはアレン国王に謁見していた。


 ランを従魔にする際に聞いた、隷属の首輪に関する報告をするためである。



 ほぼ強制的な労働環境、上位種族がいるのに守ることもせず、色々おかしいその娼館の実態。


 雇っている相手に対しての酷い虐待などの話を終えると、アレン国王は難しい顔をしていた。




「ふむ…‥‥なるほど。確かにどう考えても違法営業というか、国際的に禁止されているはずの隷属の首輪の使用が疑われるし、そうだとしたらその背後にいる者などが問題になるな」

「どこかの国そのものが背後にいるか、あるいはそれだけの影響力を持つ何者かが関与している可能性もあります」



 まだ完全に確定したわけではないが、嘘でもない話のようなので信憑性は高い、


 それに、どうやらこの件の娼館とやらが立地するのは…‥‥


「ランの足取りを本人の記憶によるもので、幼少時代故のあやふやな部分もありましたが、何とかいとぃお特定したとするならば‥‥‥」

『計算上、この地域なのデス』


 リューの言葉に続けてワゼが前に出て、地図を広げてその場所を指した。



「この地域は‥‥‥このザウター王国内ではなく、思いっきり他国だな」


 その大体の予測位置を見て、アレン国王は顔をしかめた。


「しかも、その国は‥‥‥またあの面倒自称神聖なる国か」



…‥‥なんとなく予想はついていたというか、面倒ごとの予感はしていたが、その娼館が位置する国は『神聖国エルモディア』。


 あの大学園祭で、騒動を引き起こしたとされる迷惑国である。



「確定はしていませんが、その国ならばありえない話ではないでしょう」

「いや、ありえないどころか確定だろうな。何しろあの国は腐敗しているというか、屑が蔓延してきているというか‥‥‥‥」


 ほぼ確定というほど、信頼の無い屑が多くなっているそうで、もうありえない話ではないようだ。



 この場合、隷属の首輪もしくはそれに類似する魔道具(マジックアイテム)の違法大量所持という事になり、国際的にも大きな批判が殺到することは間違いない。


「奴隷制度がある国でも、流石にこのような隷属の首輪といった魔道具(マジックアイテム)の使用どころか、取引も禁止されている。使用しており、なおかつ大量に保管しているとなれば…‥‥それを口実に潰すこともできるだろう」


 そうアレン国王は言った。



…‥‥ちなみに、ひとえに国を潰すといっても、何も武力行使だけがその手段として扱われるのではない。


 隷属の首輪というのは他の国からも禁止されている道具。それを奴隷でもないというか、ただの娼館に大量に使われているとしたら、どれだけ酷いのかよくわかるだろう。


 その使用されている噂を、さり気なく他の国々にばらまくだけでも、元から冷たい目で他国からも見られていたらしい神聖国は、さらに厳しい目を向けられることになる。


 証拠がないとか言ってきそうものだが、あくまで国での噂であり、何処から流れてきたのかわからないようにすれば、何処にも言えないだろうし、言ったとしても自分たちの常とう句である「関係ないし、逆に名誉棄損だ!!」みたいなことを返されるのは目に見えているだろう。




「そもそも、大学園祭時にかの国がモンスターを仕向けてきた証拠もそろえてあり、関係ないとか言ってきそうなものだと厄介であったが…‥‥この件は使えるな」


 そうニヤリと、アレン国王は思いっきり悪い笑みを浮かべた。


 今まで何度か苦渋を飲まされたこともあったようで、これを機会に盛大な仕返しを始めるつもりなんだろうけど‥‥‥‥その笑み、なんかこっちが悪役みたいなのですが。


「‥‥‥えっと、以上で報告を終えます」


 なんとなく、その悪だくみに乗せられそうな予感を覚え、リューたちはさっさと報告を終えて退出した。


 こういう場合、ほぼ確実に巻き込まれるだろうしね‥‥‥‥あくまで報告しただけであり、あとは国同士で勝手にやってほしい。




 そうリューは思っていたが、ある事を彼は忘れていた。


 ここは王城、つまり国王の住む城。


 そして国王という事は、この国で一番偉い人。あのアレン国王は普段は宰相が入院するほどやらかしているが、それでも一番この国で権力を持っているのである。


…‥‥つまり、王命としてその企みをやらされる場合、そう簡単に断ることができないのを、彼はすっかり忘れていたのであった。


―――――――――――――――――――――――――

SIDEアレン国王



 リューたちの退出後、自身の執務室に戻ったアレン国王は考えていた。


 今回の報告にて、ようやくあの迷惑国を叩ける機会を得たのだ。


 その機会を、どれだけ利用し、徹底的に相手に大打撃どころか崩壊させるだけできるかアレン国王は考える。


 諸外国にこの件を密かに噂に乗せて、周囲から徐々に追い詰めることもできるが、決定打としては威力不足というか、もう少し派手にいきたい。


 それに、とことん迷惑をこうむっているのだから、痛い目どころか地獄を見せてやらないと気が済まないのである。


「さて、どのようにしてやるべきか‥‥‥」


 そうアレン国王は考えを巡らせ、いかにして有効活用するべきか様々な案を頭の中に思いつく。



「‥‥‥そういえば神聖国内にあの集落とかがあったはずだし、うまいこといけばそこの協力もできるはずだし、不満を持つ者たちにそれとなく先導もできるな」


 いっその事、国内から反乱を引き起こさせて自滅させたほうが面白いかもしれない。


 そうアレン国王は考えて、その案をまとめていく。


「…‥‥ついでに、我が娘の将来の婿となるリュー殿にも働いてもらうか。この報告をしたのはあいつだしな」


 にやりとアレン国王は笑いながらつぶやき、その企みを完成させる。


‥‥‥すでに、リューを巻き込むことは決定したのであった。


―――――――――――――――――――――

SIDEリュー


「‥‥‥なんだろう、今報告しなきゃよかったと後悔する自分がいる様な」

「リューの言うとり、わたくしも何か感じましたわね」

【確かに、なんか悪寒がしましたね】

【ピキッツ、面倒事やって来るかな?】

【嫌な予感というか、面倒くさそうな予感はするカナ】

【なんとなくだけど、あの国王の腹黒さを垣間見たような気がするのだよ】

『皆さん、ある可能性を忘れているというか、思いつかなかったのでしょうカ?』


 ただ一人、ワゼだけは皆が感じた悪寒の正体を察したが、あの国王の事だから分かっていたことではないだろうかと自分で納得し、言わないのであった‥‥‥



既にフラグは回収されたようであった。

果たして、アレン国王はリューに何をやらせるつもりであろうか。

そして、件の神聖国はどう出てくるだろうか。

次回に続く!!


‥‥‥ちなみに、ワゼは予想がついていたので準備をすでに済ましていたりする。一家に一台、このメイドいたらすごい便利そうだ。いや、一台?一体?一匹?一人?ゴーレムってそのあたりがややこしい。

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