雪の花弁
師走の月になると愛しいキミを思い出す
キミと初めて出会った月だから
白い小さな雪が舞い降りてきた
まるで花弁のような牡丹雪
無意識のうちに両手で雪の花を優しく包む
雪が好きだったキミ
今はどこにいるのですか?
私の掌の中で消えた雪の花
「 雪はすぐに消えてしまうから雪が好きなんだ 」
キミの言葉が甦る
こんなに沢山の雪の花が舞っていても
こんなに沢山の雪の花で埋め尽くされても
いつかは溶けて無くなってしまう
そんな儚い雪がキミの好きな理由
ただ静かに深々と雪が舞い降りる
この雪の花が見えていますか?
キミの好きな雪が今降っているよ
灰色の空を見上げ無数の雪の花弁が風に流れる
一片の雪の花が私の顔に触れた
冷たいけどそれはどこか暖かい
やっと会いに来てくれたんだね
雪が消えてしまう春の頃
この儚い雪と同じように
キミも消えてしまったから……
今は私の傍にいるのですか?
暖かい雪の花が頬に触れる
私は涙が零れた
また師走の月にキミに出会えた
ような気がしたから……